160:蟻の軍団

 ドアをくぐる。


「シロ。ダンジョンに跳ばして」


「ハイなのよぅ」


 一瞬で見慣れた自作ダンジョンの入口に到着する。気力が途切れるのが不安なのか、なんだか、急いでしまった。こちら側に来たらもう、為す術は無いのだ。諦めてゆったり進めよう。


「シロ、帰還」



「ハイなのよぅ」


----レベルアップ----


「魔術士レベルアップなのよぅ。迷宮創造主ダンジョンマスターレベルアップなのよぅ。スキル【手加減】を覚えたのよぅ」


名前 村野久伸むらの ひさのぶ


天職 魔術士

階位 38

体力 84 魔力 95 


天職スキル:【平静】【魔術壱・弐】【魔増】【復唱】


=隠蔽=========

天職 迷宮創造主ダンジョンマスター

階位 28

体力 26 魔力 110 


天職スキル:【迷宮】【結界】【鑑定】【倉庫】【収納】


習得スキル:

【気配】【剣術】【盾術】【受流】【反撃】【隠形】【加速】【棒術】【拳闘】【手加減】

=隠蔽=========


 まあ、【手加減】は今回の奪還劇でアイツらを殺さなかったことで入手したのだろう。


 というか、これまでサッパリ上がらなかった迷宮創造主ダンジョンマスターのレベルが一気に3も上がっている……。普通、RPGなんかだと敵にトドメを刺さないと経験値って入手出来ないよな……。それが【手加減】して敵を殺さなかった方が入手経験値が多かった……ということだろうか。なんでだ?


 思いつくのは……クエスト完了時経験値入手方式のRPGか。敵を倒しても経験値は手に入るけれど、何か課題があって、それをクリアすると経験値がガッポリゲット出来るヤツだ。物語、メインストーリーが進むとレベルが上がる事が多かったな。


 メインストーリー? いやいや……それはないか。もしもそんなモノが設定されているとしたら、もう少しドラマチックだろうし、俺の気まぐれに対応できてたら……自由度が高すぎる。


 この後、眠く……あ。眠くなってきた。前に一気に倍以上レベルアップした時ほどじゃないけど、眠気が……。


 フラつきながらも、居住区のベッドに倒れ込んだ。


 次に目が覚めた時には……あ。タイマーをセットしておくのを忘れてた。まあ、たっぷりと寝た。


「シロ、ブロック出して」


 元気はつらつで音声コマンドを入力する。元気良いな。俺。


「はい、なのよぅ」


 出現する大広間ダンジョン。これでもかってくらいオークを設置してある。そうだった。こいつらを範囲魔術で 一気殲滅して稼いでたんだ。


 今回はこのオークの配置換えを行って、真っ正面からレベル上げを行おう。


レベル21 オーク

レベル22 リーダーアント

レベル23 オークソルジャー

レベル24 オークメイジ

レベル25 ボム

レベル26 ファングベア

レベル26 ガードアント

レベル27 クラブオーガ

レベル27 ソードオーガ

レベル27 クリティシャン

レベル28 アッシドスライム

レベル29 アッシドリザード

レベル30 ストーンゴーレム

レベル30 クィーンアント

レベル31 ソルジャーオーガ


 オークよりもレベルが上で似たような強度の敵で……として考えると、多分、オークメイジまではあまり変わらないハズだ。あ。これ、クィーンアントを一体、その周りにリーダーアントを複数配置して、一気に殲滅すれば……ボーナスも入りそうだな。大部屋のみのダンジョンってボーナス入らないからなぁ。久々に狙ってみるかな。

 アントの強度はソードアントがレベルアップして強化した感じだろうし……。俺の「剣術」+切り裂きの剣が通用するハズだし、感触的に「石棘」も……いけるんじゃないかな……。


 ちょっと冒険だけど……やってみよう……かな。DPは大量にあるし。もしもまだレベルが足りないとなれば、取っておいて、もう少しレベルが下のクラブオーガやソードオーガの大群に設定しなおせばいいか。


 広間の奥にクィーンアント。これはサイズがでかい。Lサイズだそうだ。


 ……スゲーグロい。


 腹がデカい。そして、若干透けて中が見えている。あ。これ、腹の中に卵を抱えてるのか……うわっ。細かっ。なんていうか、SF映画で見たエイリアンの母体……に似てる気がする。討伐するのに時間が掛かっていると、中の卵からソードアントとかが孵化して来そうだ。

 そして、そのデカい腹の上にちょい大きめのアントの上半身が載っかっている。そこから生えている手足? が長い。先っぽはソードアントと同じ感じで刃になっている。サイズが大きくなっているし、切れ味抜群なハズだ。

 

 ここに、ソードアントを30体、リーダーアント20体、ガードアントを10体ずつ設置する。

 ガードアントって当然ながら、クィーンアントを守る為にいる、親衛隊、近衛蟻ってやつだよな……。当然だけど、レベル26のコイツとも戦ってない。あ。そもそも、リーダーアントとも戦ってないや……オークよりもレベル上じゃん。さっきDPで買うまで所持してなかったし。

 ソードアントとは数え切れないくらい死闘を繰り返したから、なんとなく蟻に慣れてる、プロフェッショナルくらいの感覚になってた。


 それにしてもギュウギュウ詰めだなぁ。モンスター密集度合いは満員電車に近い。オーク部屋に比べるとかなり詰め込んだが、蟻だからね。現実だと重なったりしても生きてるし。彼ら。


 ……どれくらい経験値貰えるんだろう? ある意味こんなに統一感のある広間、モンスターハウスは初めてだ。なんていうか、ワクワクする。


 特に……Lサイズの敵は初体験だしな!


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近況ノート:160_2:髪を切る サポート限定外伝

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