117:簡易結界
家に戻り、メイド二人を即、寝かせることにする。
「だからさ。無理しなくて良いと何度も言ったじゃん……」
「それでは自分たちが納得出来ません」
もー。君たち元々メイドのプロってわけじゃ無いじゃん……警察官、しかも元警察庁公安って……国家公務員じゃん。エリートじゃん。
家に着き、車から降りるなり、森下さんがクラッとバランスを崩す。とっさに、強引にお姫様抱っこをする。
そのまま部屋に運ぶ。
「申し訳ありません」
松戸さんが答え、森下さんが俯く。
「君ら二人とも軽いから問題無い。前に運んだときに二人一遍に小脇に抱えて楽勝だったし」
二人が顔を伏せた。あ。そうか。あの時こいつら裸か。いや、シーツで包んでたよ? あれ? 違う女の子だったかな? というか、呆然としてたっていうか、目が虚ろで反応無かったけど、あの時のこと、ほぼ全部覚えてるんだよな。
とにかく「寝とけ」と言い含めて、二人を部屋に押し込めた。森下さんはベッドに放り投げておいた。
「ふう……」
そりゃ溜息もでるよね。うん。なんか疲れた。イロイロと収穫……新情報というか、知らない情報を手に入れられたし、成り行きだけど、人類でも最高峰に近いんじゃ無いか? ってレベルの武人に弟子入りも出来た。
盛りだくさんだ。
でも、別に普通に話し合いをして、すんなりと行っても良いよなぁ。
と、思いつつ、ダンジョンへ向かう。
本当の収穫はここからだ。俺予測では……。
「シロ、転送」
「あいなのよぅ」
そして、即……。
「シロ、帰還」
「早いのよぅ」
----レベルアップ----
「レベルアップなのよぅ」
おお。やはり。ってでも、それだけか。新しいシステムとかスキルは解放されなかった……。
【連打】を習得しました。
忘れずにその【連打】を考え、想像する。うん。何も覚えないな。
面倒でも、スキルを覚えたら、個別に想像しなければならない。でないと、こないだの行貞さんとの対戦時みたいなことになる。
ちなみに、あの時覚えた「二撃」「三撃」という技は、非常にスムーズに二撃、そして三撃を繰り出せるという必殺技だ。多分、今回の【連打】でより効果アップするんじゃないかと予測する。
【鑑定】で自分のステータスを確認する。
名前
天職 拳闘士
階位 30
体力 81 魔力 86
天職スキル:【先先】【拳闘壱】【蹴術】【拳闘弐】【連打】
=隠蔽=========
天職
階位 27
体力 25 魔力 107
天職スキル:【迷宮】【結界】【鑑定】【倉庫】【収納】
習得スキル:
【気配】【剣術】【盾術】【受流】【反撃】【隠形】【加速】【棒術】【魔術】
=隠蔽=========
お。おお! 拳闘士のレベルが30に! これでいつでも魔術士に転職可能だ!
さらにメイン天職である、
というか、今回、訓練らしい訓練は、師匠との稽古のみだ。
つまり、ダンジョンでのレベル上げよりも、効率だけであれば、現実世界で稽古を重ねた方が上ということだろう。
それこそ……牧野興産戦の時の様に、戦った相手にトドメを刺していなくてもだ。
まあ、またある程度レベルが上がると、上がりが鈍るんだろうけど。
とはいえ、時間が無限にある(俺の寿命というリスクはあるけど)ダンジョンでのレベル上げは、没頭し、専念することで各種スキル習得、スキル上げなんて活動に向いている。さらに魔術の訓練はダンジョンでしか出来ない。
つまり……
・ダンジョン:リハビリ、スキル上げなどの短調な繰り返し訓練、スキルや魔術を駆使した戦闘、魔物との戦闘
・現実世界:大量の経験値取得、拳闘剣術などの肉体的な能力向上?
となる。圧倒的に現実世界での訓練が素晴らしいのだが、まあ、うん。余り考えずに暴れてしまうと牧野興産戦の様に派手なことになって、後始末が大変な事になるんだよな。
味方になってくれた以上、今後俺が暴れると一番苦労するのは、多分三沢さんだ。隠蔽するってかなり大変だからなぁ。
当然、俺も身バレして、自宅を襲撃されっぱなしっていうのは避けたい。
というか、そもそも自宅バレは大きな弱点になるので内緒でいきたい。
結界があるから俺がいる間はどうにでもなるが、離れている時に火でも付けられたらたまらない。というか、そういう魔道具……無いのかな? よく考えなくても自宅襲撃は怖いな。二人もいるわけだし。
「シロ、結界の魔道具って入手出来ないの?」
「結界の魔道具……はあるのよう。DPで交換できるようになってるのよぅ」
ん? モニターのDP交換のページを表示させる。このページの項目はレベルアップと共に徐々に増えている。
DPで交換できるアイテムの欄に、いつの間にか冒険者必需品っぽいものが追加されていた。
魔物除けの香
ロープ
布きれ
松明
油
清浄の葉
火口箱
簡易結界
「シロ、簡易結界って?」
「魔物除けの結界が張られるのよぅ。一つで大体、小さい天幕を覆える感じなのよぅ」
天幕? まあ、テントだよな……。10コ……いや、20コあれば自宅の敷地をバッチリカバーでき……るかな? どうかな?
「起動可能な時間は?」
「装着した魔石によるのよぅ。小さい魔石なら30時間くらいなのよぅ」
「……いま、毎回手に入れてるのってオークの魔石かな?」
「なのよぅ」
「それを装着すると?」
「……大体300時間くらいなのよぅ」
300時間……12日ちょいか。交換忘れないようにしないとな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます