095:ダンジョン籠り
あーーーーーーーーーーー。
面倒くさかった。やったのは自分だから後始末しないといけないのはその通り。だけど。その後の云々はなぁ。全部投げ出して無視しても良かったんだけどねぇ。
取り合えず、自分の中では一段落したので、念願のダンジョンに籠もる事にする。
えーと。何してたんだっけ? ああ、そうだ。
まずは現在の俺を確認する。
名前
天職 魔術士
階位 9
=隠蔽=========
天職
階位 12
=隠蔽=========
ダンジョンは、トロールを大人買いして、30匹ほど大広間に配置している。
そうそう。そういえば、モンスターハウスを利用して範囲狩りをしてたんだった。
ヤバいな……なんか、いちいち確認しないと忘れちゃうな。現実世界での出来事が濃密すぎなんだよな。主にバトル面で。
っておかしいだろ……。そもそも、現実世界ってあんなにバトルバリバリだったっけ? 仕掛けたのは自分だからしょうがないけど。
それにしたって……だよな。
なんだよ、「かのもの」って。超能力者がバリバリにいたってことも、それに日本が護られていた……っていうのも知らなかったしなぁ。
さらに問題なのは、彼らが「仮のもの」「化の者」「
日本という国の長い歴史のほぼ全ての期間で「人間扱い」されてこなかった……そんな超弩級の差別を受けてきた者達……そりゃもう、日本人に対して凄まじい怨みを抱いていておかしく無い。というか、俺がその立場で虐められてたら、枷が外れたと同時に復讐する。
やばいな。日本。ピンチ。これまで経済的とか、国際的に危険な事は何度もあったと思うんだけど、直接物理的に「既に攻撃開始されている」のがヤバい。
という無駄に考察するのもこっちの世界は非常に適している。向こうでの時間が進まないっていうのは大きいよなぁ。
まあ、いいか。とにかく俺がやらないといけないのは、自己強化、自身のレベルアップだ。
反省すべき点は多々ある。
純粋に「気力」の使い手との戦闘では後手後手に回ることが多かった。
さらに、超能力……多分、各種戦闘系の特化スキルが存在することで、身体能力だけでなんでも凌駕できると思うのは浅はかだって事も判った。
父母も亡くなり、天涯孤独の身。
守りたいものなんて、それほど無いと思っていたけれど、護りたい世界、いや、社会、コミュニティーは存在するのだ。
今回の事で言えば、知り合ってすぐの三人娘はともかく、森下社長、そして、社長の会社、大切にしている社員を「傷付けたくない」と思ったのは確かだから。
とりあえず、今回は長期間合宿のつもりでこちらに入った。
まずはとことん……効率化してして行こうと思う。
前回、オークのモンスターハウス範囲狩りでうはうはしてたのをさらに、効率化していきたい。
とはいえ。現状では……続きからやっていくのがベストか。
「シロ、ダンジョンへ」
「はい、なのよぅ」
えっと……どうやるんだっけ? ああ、そうか。モンスターハウスと化している大広間に向かって、「火球」を大量に投げ込むだけのお仕事だっけ? か?
ということで、何も考えずに「火球」をポイポイと投げ込んでいく。
あまり力を込めて想像してしまうと、あの、廃工場やビル上階を消し去ったレベルの火力が再現されてしまう。それはね、さすがにダンジョン自体を崩してしまいかねない。
なので、適度に。というか、以前やっていたのを何となく思い出しながら発動させる。
ほぼ一瞬……だ。
炎の塊が大広間を覆い尽くす。
ああ、そうだ。この一瞬の炎が妙に美しいんだった。キャンプの焚き火をじっと見つめるかのような感じで……落ち着く。中のオークさんにしてみれば、たまったもんじゃないと思うけど。
焼き尽くすまでにそれほどの時間は必要無い。
あーこれこれ。ラクラク。ぶっちゃけ、レベルが上がるだけで、技量は追いつかないんだけどね。
とりあえず、副職の転職を最優先、目指すことにした。
「ちなみに、転職は選択した後、レベル30以上にならないと変更可能になりません。最初の選択は特に悔いの無いようにお願いします」
これだ。天の声さんからのアドバイス通り、別に最初に魔術士を選んだことに後悔はしていない。
正直、現実世界での戦闘で重要なのは、気力に対する理解、様々な状況判断、瞬発力だと思う。
魔術による呪文の行使は非常に強力なのだが、あまりに大規模破壊に特化されている。今回戦ったことで良く判ったのは、正直これ以上の力は直近では必要無い。
必要だと思われる状況判断、瞬発力を伸ばすには、術士系ではなく、戦士系の天職が適しているはずだ。
ということで、魔術士をまずはレベル30にして、さっさと転職しようと思う。
候補としては……剣士、拳闘士、盗賊あたりだろうか? 特に盗賊はイロイロと役に立つスキルとか覚えられそうな気がする。戦闘特化なら拳闘士……だろうか。己の拳で戦えるとなれば「威力の微調整」が可能になると思う。六角棒で手加減するの非常に面倒くさかったんだよね……。
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