第41話魔力廻戦。
「・・・サンダホですか」
あの少女の顔がよぎった俺はフランに応援を要請した。
関所をスルーして来やがったよ。
「面倒臭い」
「いやいや」
「今回は隠密行動だからいい」
サンダホヘ向けての街道でフランと合流した時の会話だ。
爺と中年のおっさんと超美人の奇妙な一行は、関所近くの町をスルーしてサンダホヘ向かった。
「魔力量ならギザの方が上でしょうに」
「私が使えるのは1種類の幻影魔法ですよ」
「人をも殺せる幻影だけどな」
「貴女は私より遥かに魔力量が上だし、魔法の種類も豊富で遠隔も使える」
「まあまあどちらも俺からしたら規格外だから。ただあの娘の魔法は怖いんだよね。夢で攻撃出来るとか有り得んわ」
「攻撃ってハニトラでしょ」
「遠隔で人の心を攻撃出来るフランならわかるだろ怖さが」
「ハニトラって言っても貴方を好きで虜にしたいのなら本望でしょ」
「いやいや、リィファ以外の女性は拒否します」
「・・・主様はリィファ様一筋の立派なお方です」
「まあ私が誘いを掛けても動じ無かった程だからね。だけど人間の割には少し規格外の娘のようね」
「そもそも遠隔で人の夢に入り込む魔法は人では無いかもです」
「えっ、ギザはあの娘は人では無いと思うの?」
「魔物とも違う様ね。ギザでもご主人様でも感知出来て無いからね」
「まさか・・・」
「心当たりお有りかしら」
「妖狐とか・・・」
「妖怪の類いですか」
フランによると妖怪だと始末が悪いらしい。
フランもある意味妖怪の類いで、魔物と妖怪のハーフだとか。
そう言えばセイレーンって妖怪だよな。
純粋な妖怪だと力は五分かも知れないとフランは言った。
・・・マジか。
反魔法バリアと反妖術バリアも体に掛けておいた。
俺はイメージで掛けたけど、正直違いがわからない。
{お姉ちゃん何処行くの}
❬彼処にほら美味しい串焼き売ってるよ❭
{串焼きなんて僕お金無いよ}
❬お姉ちゃんがおごってあげる❭
「お姉ちゃんは何者なの?」
❬あらどうしたの、お姉ちゃんはお姉ちゃんよ❭
「お姉ちゃんは何者なの?」
❬何言ってるのアルミちゃん❭
「お姉ちゃん・・・俺は名前なぞ一度も名乗って無いぞ、お前はそもそも妖怪か人間なのか?」
「あらあら、夢の中でも我を取り戻すなんて強情ね」
「人の記憶とか探るなよこの化け物め!」
「貴方の夢に入ったら偶々お姉さんが居ただけよ」
「その人は十二の時に亡くなってしまった優しい近所のお姉さんだよ。お前の様に心を弄んだりしねーよ」
「あら、そう」
「お前は何が目的で、何者なんだ、妖怪か魔物か」
「あら失礼な人間なのよこれでも」
「こんな魔法は聞いた事が無いぞ」
「う~ん。固有スキルかしら」
「この世界では芸術や職業等にみられるが、魔法で持ってる奴なんて初めてだな」
「だって職業で使えないでしょう」
「そりゃ夢を乗っ取るスキルなんて気味が悪いからな」
「乗っ取る訳じゃ無いわよ。現に貴方は精神力で心を開かないし」
「当たり前だサキュバスみたいな真似をしやぁがって」
「初めて好きに成った人に興味が湧いたし、男女の営みにも興味が有ったから、貴方ならあげても良いと思ったのよ」
「悪いな俺には裏切れない最愛の人がいる。だから無理だな他を当たれ」
「完全に嫌われたみたい。諦めるわ・・・」
「いちおう敵だから名前を聞かせて貰おう」
「敵・・・ですか。名前は友加里。家名も有って塩川友加里」
「・・・・・」
「どうかしたの?」
「あんた日本人か?」
「!!、貴方・・・何者なの?」
「俺は前世が日本人だ。この世界に赤子として生まれ変わった。十五の時に前世の記憶が目覚めた男だ」
「それでかあ~。何か懐かしいものを感じたのは。私は神様が異世界間を移動中に誤って、この世界に引き摺り混まれたらしいの。酷い話でしょ。当時未だ中学生だったのよ」
「今は高校生って処か」
「そうねあれから五年だから高校二年ってとこね」
「若くてチャーミングだから、男からしたら引く手あまただろ」
「この世界の人が未だ信じられないのかも知れない・・・そんな感じ」
「そんなに悪い奴等ばかりでは無いぞ、現に俺は嫁さんに全幅の信頼を置いているし、知り合いの貴族とも仲が良い。市井では平民は優しくて親切な人が多い」
「知ってるわ。今のカコもおかみさんに出会えたから・・・。でも男の人は怖かった。手を引っつかまれたり、冒険者みたいな真似をしてた時は荷物持ちで置いてきぼりにされたり、体目当てで森で襲われそうに成ってこのスキルで心を撹乱して逃げたわ」
「それはパーティーが悪かったな。器量が良いし優しそうだから利用されたな、この世界の住人として謝るよ。だけどなお前のスキルはおそらく神からのギフトだ。使い道を間違えると神の逆鱗に触れるぞ。この世界には十の神が居て、更に上にもっと凄いのがいてる。ギフトを与えた神以外は容赦なく罰を与えるぞ。それにギフトはチートな処が有って、それだけで生活面で潤う。要は使い方次第だ」
「夢の中に入り込む魔法でどうやって生活するのよ・・・」
「それな、普通の人には出来ない魔力量だそうだ。この世界ではドラゴン級かも知れん。お前は魔導師として一級品と言う事だ。ゴンドラの水主としても乗り心地良かったぞ、何かしらしていたのか?。」
「微かに癒し音や癒しボイスを使ったわ」
「もしかしたらお前には看護士が向いているかもな。だけど完全蘇生となるヨミガエリは出来ないらしく、行おうとすると都市処か国や大陸単位で吹っ飛ぶらしい。他の人を皆殺しにしてしまうと神が言っていた。死ぬ運命は変えてはならぬそうだ」
そこで会話は途切れた。
俺が目を覚ますとこの魔法は効果を失う様だ。
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