第38話水の都サンダフォの町。

どうも日前みかんでおます。

ちょっと長物を試してみました。


他の作品を見るとやはり七千字代はかなり長いですね。

ライトなノベルなのでやはり二千字辺りが良いのかも知れません。

そこらにしときます。

────────────────

春も真っ盛り。

まさに闌の頃。


隣国の温泉町からヒルダ領に帰る途中、小さな村の里山が白く淡い薄ピンク色の花に染まる場所が有った。

直ぐ隣には大きな川と大きな町がある。

間違いないあれは桜だ。

いや桜に似た花だ。


脳裏に刻んで空を行く。

関所手前で降りて、関所で身分証を見せる。

少し行った関所から見えない所で再び軽に乗って空を行く。

休憩所も峠の野営所も大丈夫かを確認してヒルダ領の山地を、上から眺めて回る。

ヒルダ領は他国に隣接した僻地では有るけど、落ち着きのある田舎でとても好きだ。

この山あいの村々にあの桜っぽいの植えたいな。

綺麗だろうな。


ゆっくり飛んでいてマルクの所に行こうとふと思った。


マルクには領主を引退して旅に出る前に会ったきりだ。

ノウスに向きを変え到着。

「「アルミのおじちゃんお久し振りぃ」」

マルクの子供達ユウリとナズナに迎えられほっこりしてると、マルクがやって来た。

「アルミ久し振り」


この日はマルクの家に泊めて貰った。

どうやら相談が有るらしい。

マルクの嫁さんはホーリスと言ってとても明るい活発な人だ。

何処にでもいるおばさんっぽくてひたしみ易く、二人の子持ちだ。

美人と言うよりチャーミングな方でよりモテる感じかな。


今回はその嫁さんの実家に帰ると言う話だった。

嫁さんの親父さんは、嫁さんの兄に鍛冶屋の工房を譲って隠居生活だったが、どうもその兄の身体が思わしく無い。

「先が長くないかも知れなくてね」

とマルクが呟いた。

「そんなに悪いのか?」

その質問に嫁さんは。

「今は床に着く事が多く成ったみたいで、お父さんもマルクに来て欲しいみたいなの。子供達は独り立ちしてるけど、兄嫁は外で働いた事が無い箱入り娘だから」

「マルクはどうするの?」

「もう弟子に工房を譲る話はしたよ。実は荷物も纏めてる」

「そっか、じゃあ俺はマイクロバスを息子から借りるよ」

「いいの?」

「当たり前だマルクの為だ」



「ストゼロから西に5日くらいの町で大きな川の側だよ。サンダフォって所」

「サンダルフォンかよし行くぞ」

「サンダフォだよ。本当、アルミは地名覚えないね」

「俺の町なら覚えてるぞ」

「それアルミの家名だから。ラ・ヒルダだから」


そんな遣り取りをしていると、マルクの家族と荷物を積んだマイクロバスは、国境の山地を越えケーナル国へ入った。

「ここケーナルって国名なんだ」

その声にマルク一家はずっこけた。

そして関所手前で降りて関所に向かう。


「あれ?、この前の魔道具よりデカいですね」

「こっちは大人数と荷物が多い時に便利なんだ」

「どちらも私達からしたら凄いですよ。羨ましい」


関所を通り空に上がって西へ行く。

「あっ、関所の役人に飛ぶところを見られた」

「今更」

マルクに言われてしまった。

「懐かしいなあ」

それはストゼロの町だった。

マルクが僅の間修行した町だ。

その時に嫁さんの親父さんと知り合っていて、嫁さんがマルクを覚えていたらしい。

嫁さんの初恋の片想いが実った訳だ。


「何と速い!?」

「1日かからないからね」

嫁さんが驚いていると何故かマルクが自慢気に言う。

「あの町がサンタフェなんだ」

「サンダフォね!」


「これはまた空から見るのと大間違いだな」

「サンダフォは水路の町ですから」

まるでベネチアみたいだ。

「アリアかよ」

「何?それ」

「あの女の娘の服装」

水路を行き交う小舟を操る娘の姿はARIAを彷彿とさせる物だった。

「アルミって制服フェチなの?」

「・・・悪いかよ」

確かに俺はセーラー服が大好きだ。

そしてあの水主の娘の服装は有名な癒しアニメの服装に似ていて大好きだ。

マルク一家にドン引きされて、ホーリスさんの生家である鍛冶屋に着いた。

「道が広くて助かったよ」

そう呟く俺。

「ただいまお父さんいる」

出て来たのは兄嫁みたいだ。

「あっ、ホーリスちゃん来てくれたの」

「お兄ちゃんどんな具合」

「もう・・・だめみたい・・・」


あわただしく時は過ぎた。

僅か2日後にホーリスさんの兄は息を引き取った。

まあホーリスさんは間に合って良かったと言うべきか。

葬式やら何やらで、1週間が過ぎて、マルクは鍛冶屋の職人達に挨拶をした。

人間関係構築するのに大変そうだなと、俺はまさに傍観者だ。

マルクの義父とブランデーを呑み交わして過ごしている俺は、何者なのかと訝しがられている始末。


マルクの義父ヌートさんに町をゆっくり案内して貰った俺は、今は一人で例の小舟に乗っている。

可愛いなあ。

町を見るより水主の娘さんを見ている。

完全に危ないオヤジである。


なんて時はゆっくり流れるのだろうか。

少し最近忙し過ぎてこんなのんびりした時に飢えていたのかも。

ちらっと娘さんを見ると少しはにかみ顔を赤らめて顔を逸らした。

俺が若かったら恋してたな。



桟橋に着いて船を降り娘にお金を渡した。

すると船着き場の女将にどうでしたかと言われた。

「いやあこういった遊覧もエエですね。景色も最高でしたよ」

「そうですか有り難う御座います。また御利用下さいね。この娘の案内はどうでしたか?、未だ新米水主なうえ恥ずかしがりやで、上手く案内出来たでしょうか」

「あっ、ああ大丈夫でしたよ」

顔を赤らめたのは恥ずかしがり屋だったからか。


まあそんなもんさ人生。







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