第31話レッドパンサー。
メンヒル目指して13日目。
10日目ぐらいから僅かばかり登り勾配の気配だけど、後ろを振り返って初めて坂なのに気付いた。
コランナイトって町に入る。
「5日ぶりに宿のベッドだよ。嬉しいな」
オリオネが呟いた。
俺達はウレタンパッドで寝ているが、他の護衛は薄い敷布と毛布で寝ている。
結構慣れないと背中が痛い。
なので下に刈った草を敷いたりする。
「ギザそんなに強い魔物は出て来ないな」
「あの山脈の二千メートルより上なら別格の魔物がおりますよ」
「・・・行かないから絶対に」
「ご主人様・・・おそらく護衛している商人は、その辺りの魔物の素材の買い付けですよ」
「それって命懸けで採って来たから高いよね」
「一生暮らせるだけの金額でしょうね」
そんな話をギザとして宿で眠りについた。
翌朝は綺麗に晴れた穏やかな暖かい日の出発と成った。
実に気持ち良い気候だ。
道中でギザが教えてくれる。
「ご主人様ここらはレッドパンサーの生息地です。お気を付け下さい」
「レッドパンサーって獰猛でよく人が襲われるやつだけど、そこまで強く無いよね」
「ネコ科は普通単独で狩りをしますが、レッドパンサーは例外で群れで狩りをします。それは個体が他のネコ科より弱く、そして頭が良く奇襲をかける事に有ります。ですから気を付け無いといけません。過去に一級が引率して全滅したと聞いています」
それを聞いた俺は前もって三百枚のコインに付与魔法を三種類掛けておく。
少し頭が良いだけでは無さそうだ。
前からヘルンがやって来る。
「アルミさんレッドパンサーって奴が出て来る可能性が有るので気を付けて下さい。あいつら普通と違って人間みたいな頭を使った奇襲をかけて来ますからね」
「成る程ね、有り難う」
ヘルンは前衛に戻って行く。
「うん、前方が騒がしいな?」
「私らの隊では無くその前の馬車の様ですよ。ここは動かない方が賢明です。行けばその隙に襲われます。奴らそこかしこに隠れていますね」
俺もコイン魔法で索敵してみたが、確かに辺りに数十匹はいる。
成る程ねえ・・・。
どうやらヘルン兄弟が加勢して事なきを得た様だ。
奴等も動けなかったが、静かに森の中を移動してついて来る。
危険なので前の単一の馬車も隊に入って来た。
3日間つき回されて疲れが溜まって来る。
ギザによるとそれも狙いらしい。
「ギザ少しずつレッドパンサーの数が減っているようだが?」
「夜の間に私目が狩っております」
「それは有難いが、お前は寝ていないだろう」
「ですから昼間ご主人様に馭者をお願いしておりますし、昼間にも少し狩っております」
「あっ、索敵に集中してるからと思ってたら寝てたのか、しっかりしてるなあ・・・」
「逆に敵の方が焦り始めてますね。あと1日で生息域を出ますので、あの岩が回りに有る所に集まり出しております」
「そこで来るか」
「間違いなく」
俺は前衛にギザが言った事を伝えた。
「あの人は索敵が出きるんですか?、凄いですね」
「希少な魔法ですねえ」
ヘルン兄弟に驚かれたので始めて希少な魔法と知った。
俺は後衛に戻って馭者台に座った。
もう40過ぎだけど、領主の間もあっちこっち行っては身体を動かしていたので、走って移動しても息は切れていない。
前世とは違うのだよ、前世とは。
「ここで止まって下さい!」
岩場の手前で大声で合図を出して、間髪入れずコイン魔法で空爆した。
「広域障壁!」
レッドパンサーの反応の有る所全体に、三枚のコインで結界をかけた。
「「電撃!」」
俺とギザで数回その辺りに電撃を放つ。
「未だ12匹残っています!、商隊に結界を張りますので、皆で倒しに行きましょう」
「馬車は大丈夫か?」
「俺の結界は最大級の強さです。安心して下さい」
そう声を掛け合流した前の馬車の護衛含めた8人で、生き残りのレッドパンサー12匹を狩った。
あれ!?、見事な動きでレッドパンサー三匹を瞬殺したあの脇差し、ソニーネやんかさ。
俺とギザが三匹を、5人パーティーが六匹狩って終了した。
レッドパンサーの生息域を出るとさすがに一匹も索敵に掛からない。
そうこうして、次の町に着いた。
実はギザが密かに狩ったレッドパンサー含めると三十五匹に及んでいたのだが、これは皆が警戒して監視していたから出来たのだ。
その事を伝えて公平に分ける旨を述べ了承して貰った。
「それはひじょうに有難い。こちらは助かりますよ」
「わっ私まで良いのですか?」
「ソニーネ勿論だよ、皆がいないと出来ない事だからね」
ギルドで換金すると、肉は安いが毛皮が高価で、1人頭80万円相当に成ったよ。
毛皮が15万円で肉が1万円相当に成るらしい。
鞣す前で十五万は結構良い値だね。
この日は宿で早めに寝た。
「あと5日でメンヒルに着きますが、この間は集落が有りません。夜の監視等御苦労様ですが、何卒よろしくお願いいたします」
「「「「「「「了解」」」」」」」
「アルミ様標高的には六百に達しております。夜間の警戒には暖かい服装が必要かと思います」
俺は馭者をしながら(馬と荷台は共にゴーレムなので実は馭者は不要)パチ屋スーパーで景品交換をしておいた。
「これ何?」
「下に着ている服にこうやって貼って使います。1人1箱お渡ししますから、夜にお使い下さい」
そうして6人に使い捨てカイロ14時間仕様を渡した。
「アルミさんスゲーなこれ、夜中も朝方もずっと温かったよ」
「こんな魔道具始めてだわ」
そんな感想を次の日に貰った。
本当に便利だよな使い捨てカイロ。
2日目3日目と何事も無く過ぎた。
そんな4日目ギザが注意を促す
「標高は九百近いですね。禿鷹の魔物が出て来ます気を付けて下さい。奴等は夜目が利きますから」
やはりその夜中禿鷹の魔物が襲って来た。
なんとか他の護衛も三匹斬り倒したが、俺はかなり苦労した。
追尾機能のコイン魔道具(小型ミサイル魔動力タイプ)を撃とうにも敵が見えなかった。
仕方無くギザが電撃で撃ち落とした。
「ギザすまん」
「夜間の魔物襲撃は余り経験しておられぬ様ですね」
「空からの夜間襲撃は初めてだな。ライト追尾機能ミサイルも開発しないと・・・」
この夜俺は照明弾ミサイルを作った。
「こいつ食えるけどそんなに旨くねえしな、使い道ねえから埋めとくか」
「ならそれ下さい」
「食うのか?」
「いえ、身体を研究してゴーレム作ろうかなと・・・」
「出来るの?」
「あっ、うちの馬車馬ゴーレムですから」
「「「「「「(・・・汗)」」」」」」
「フッカルに戻ったら、私目にもゴーレム馬車作って貰えませんかね。お代は弾みますから」
クルトンに土下座で懇願されてしまい承諾した。
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