第29話フッカル国の内陸へ。

たこ焼き作った港町から少し行った大きな港町。

国の名前と同じフッカルの町。

首都では無いがこの国一番の規模を誇る。

首都はここから馬車で10日の内陸に有るマーカル。

大昔に防衛の為遷都した様だ。


「ご主人様大きゅうございますね」

「でかいね。隣の海洋国の元王都よりでかいよ」

それ程大きな町だったフッカル。


町は石造りレンガ造りが基本で建物も美しいく、中世ヨーロッパの町並みを彷彿させる。

「これ程の美しい町並みは我が国には無いな」

「そうでございますね」



時は遡って石像宮殿での事。

「どうしたギザ?」

「フランから伝言です。私に対してですので緊急では有りませんよ。御子息のリッカ様がカランと言う町の代官に成られました」

「へえ~そりゃまた」

事の顛末をギザパンから聞いて今日の内にカランに転移する事にした。

「先ずは海産物の仕入れだなぁ。それから宿の確保。その後で行くよ」

「解りました宿でお待ちしております。ご夕食はどうなさいますか?」

「・・・う~ん。いちおうお願いしておいてくれ」

「分かりました」


それから俺達は海産物の仕入れと、宿を確保した。

「それじゃギザ飯までには戻る」

「行ってらっしゃいませ」



「カランかあ2度来ただけだなあ」

町の門から見えない所に転移して、門兵に身分証を見せた。

「アルミ様悪いご冗談を、どうぞお通り下さい」

顔はしっかり覚えられていた様だ。

道普請等で荷馬車で来てたから顔は見られている。


役宅に赴くとリッカの横に見慣れない少女がいた。

「父上お久し振りです」

「おう、活躍しとんなお前」

「いえ、この方のお陰で前の代官の横領が分かりまして、今はこの状況です」

「これはこれはお嬢さん、この度は息子達に御協力頂き有り難う御座います」

「いっ、いえとんでも御座いません。私達は犯罪者ですから」

「村の事を思っての事。元領主として逆にあなた様の状況に胸を痛めております。今の私目には権限が御座いませんのでどうかこれで御勘弁を」

「えっ、えっえ!?」

無理矢理金貨百枚を彼女(ナサーレ)に渡した。

何とか納得して貰い、リッカの手伝いの魔導師としてお願いした。

まさか義理の娘に成るとは思わなかったけどね。


「また、何度か寄せて貰うぞリッカ。ギザも連れてな」

「お父上もお元気で」

「お父上は止めてくれよ」

「人前ではそうはいかないよ父さん」




さて時を戻して。

「ギザ3日ぐらいフッカルの町に滞在しょうか。海産物ももっと仕入れたいしな」

この日は宿を確保して港で海産物を買って(岩海苔や寒天まで有った)、神殿でアルストフ様に御供えをした。

例によって子供達に後で食べられた様で、アルストフ様より追加注文が来て、部屋の中で供えた。


3日観光して首都へ向かう。

この国は議会制だけど貴族院だ。

だが、王は崇拝されていて下手な政治をすると、民衆が暴動を起こし悪い貴族は追放されるらしい。

結構民衆の力が強いのは、王を担ぎ上げ反乱を起こし、貴族側と手打ちをした過去が有る為だ。

そして貴族院の他に民衆の議院が有り歯止めをしている。

日本の参議院より強い力を民衆議院は持っている様だ。

一寸複雑な議会制だけどね、軍は民衆の出が大半なので貴族ではクーデターを起こせない。

下手をしたら民衆側にクーデターを起こされる。

貴族の力はもう殆ど無いと言われている様だ。


10日かかるけど俺のはゴーレム馬車なので早く着きそうだけど、途中で馬車が壊れた商人一家を乗せた為、通常の速度で行っている。


一般には旅の食事は野菜は最初の2日ぐらいが限度で、後は漬け物に成る。

肉や魚は塩漬けの物で、湯で戻して戻し汁と共にスープにする。

穀物は堅パンとか戻し粥とか団子汁それに乾燥パスタ。

ソースは担々麺の様な挽き肉を使った固形物が多い。

アイテムボックスでも持って無いと俺達の様な食事は旅では出来ない。

だけどこの世界には味噌も醤油も有ったので、それらを使って乾燥させた物がある。

実は俺は西京漬の様な物が余り好きでは無いのだが、何せ味噌は携帯出来る。

だからまあ味はましなのだけど。

そんなこんなで商人一家と交互に食事は提供しあった。

俺達からは新鮮な魚介類とか野菜とか肉が出て、びっくりされると共に大変羨ましがられた。


「雨ですな」

「ぬかるむから2日は動けんな」

少し雨量が多くて3日も街道脇で過ごす羽目に成ったが、土魔法で小屋を建てたのでまあましだ。

商人一家とその他の馬車の人達の為に5つ作ったけどな。

ついでに屋台飯もやったよ。

雨の中馬で行き来する人や他の馬車の人達に人気だった。

特に焼きおにぎりは馬で行く人には好評だ。

各小屋の横には水瓶が置かれている。

近くに川が無いからね。


雨が上がり1日して土も乾いたので出発だが、・・・残して行きませんかと、商人一家に言われたので後の人の為に小屋はそのままにした。

街道の広場も広げちゃったしね。



まさかの首都まで後1日なのに。

なのに盗賊。

馬車が4列隊をなしてるのに。

相手は14人って正気かこいつら。

この隊列は雨の日から一緒に来たもの。

でも14人で襲うには無理が有る。

馬車内から弓も射てるし、護衛も3人いる。

勿論子供もいるが旅慣れた大人ばかりで、剣も帯びている。

槍も積んでいる。

となればこいつら少なくとも一級傭兵が数人いるよな。

・・・容赦は必要無い。

覆面もしていないから皆殺しにする気かも知れない。

うん、容赦の必要無しと判断。


先ずは林の影にいる弓の3人を黒太郎とギザパンにお願いする。

もちろん隊列に絶対障壁をかけた。

「前の数人はイバンお願い!」

ギャオオォー。

「「「「なっ!?」」」」

ゴオオオー。

俺が後ろに行く間に数人イバンのブレスで焼け死んだ。

コインで横の数人の頭を飛ばす。

後ろに着くと黒太郎に3人が拘束されていた。

残りの一人にコインを投げ爆死。

そして片側の馬車列に行くとギザパンが一人を噛み殺し、後の二人は弓で射殺されていた。

生き残ったのは黒太郎が拘束した弓の1人と後ろの3人、もう2人の射手はギザパンに喉を切られていた。

前では逃げる2人をイバンが踏み潰した。


一瞬の出来事に拘束された盗賊は震えて声も出ない。馬車から覗いてた人が怯えたので、黒太郎とイバンは収納し、ギザパンは人形に戻ってもらった。

盗賊のいちおう遺品と身分証は取って、土魔法で埋めておいた。

木の板を立て御供えをして手を合わせて女神様に祈る。

「来世は真っ当に成ります様に」

拘束した4人はコイン魔法で荷車を出し、俺の馬車の後ろで引っ張って首都に向かった。

着いた時には夜に成って門は通れない。

拘束した盗賊の4人は憲兵隊に引き渡し、俺達は城壁の外で一夜を過ごした。

朝土の小屋を元に戻そうとしたら、門兵にそのままでと言われた。

よく夜に成って入れない人がいるらしい。


朝イチで門を潜ると、だよね。

憲兵隊が俺達の馬車列を有る場所へ引き連れて行った。

あれ?、これは正規軍の駐屯地。

だよね、残りがいるよね盗賊の。

事情徴収の後盗賊の根城へ(連れ去られる)俺とギザ。

だよね、正規軍と一緒に討伐。


イバン空から近付く者やここから逃げる者を偵察な。

黒太郎は森に逃げる盗賊の拘束な。

「ギザ中の複数の盗賊を撹乱してくれ」

「了解しました」

「それじゃ隊長侵入しますか。・・・隊長?」

正規軍の隊長が洞穴の前で固まっている。

「今のあなたの召喚獣ですか」

「そうですよ。何か?」

ワイバーン・・・・・黒土蜘蛛とかブツブツ言ってるので。

「早く指揮お願いします隊長!」

「あっ、音を立てず斥候を前とし侵入せよ。」

俺とギザも先頭で入る。

コイン魔法で隠蔽を全員にかけた。


中の広場前に見張りが2人いたが斥候が苦もなく倒した。

まさに声もあげられずに。

「突入」

小さい声の号令の下一斉に入る。

ガタガタ。

「なっなんだ貴様ら!?」

ギザが人形を解き盗賊を惑わせる。

皆ふらふらと歩き笑っている。

正規軍は一気に全員拘束した。


「ギザもういいぞ」ギザミパンサーの幻術は解かれた様だ。

正気に戻った盗賊の頭と思われる男に隊長が尋問する。

どうやら外に5人食糧を捕りに行ってるらしい。

魔獣も獣もいるので手練れだろう。

正規軍は九人1組で5班に別れ外を捜索した。

イバンの爪に1人。

黒太郎が2人。

3人を捜索中の一班が拘束した。

切り上げて街道で一泊し昼に町に戻った。


正規軍駐屯地で泊めて貰い翌日金一封を受けてようやく解放された。


昼に宿を確保して町を散策。

一寸服がくたびれて来たので、ギザと俺の古着を買いに店に入った。

「らっしゃ・・・あれ、凄腕の傭兵さん」

「ああ、一緒の馬車列の親子さん」

ここで小一時間話をして古着を安くして貰い出たが、あの商人一家のお店も教えてもらえた。

穀物や乾物を扱う大店らしいが、あの時は馬車が壊れて番頭が別の馬車を用立てに戻って行く時だった。

それで俺に首都まで主人一家を乗せてくれる様頼んで来たのだ。


まあ御礼を言われるのも木っ端づかしいので店には行かないよ。


宿に帰り日が落ちた頃リィフアの元に転移した。

「あっあっあっああー」

「はあはあ」「あっあっ」「ふっふっはあはあ」

ぐちゅぐちゅ。

ぐっ・・・「あっ、でっ出るリィフア」

久し振りにリィフアと営む一夜に成った。

リィフアに抱かれると凄く安心するのはなぜかな?。

リィフアの肌に触れてると気が落ち着く。

リィフアが絡めた足を解くと俺は萎えたものを抜いて、リィフアと自分の物を濡らした布で拭いた。

そしてリィフアと裸のまま寝た。

朝リィフアにキスをして転移で宿に戻った。


もし生まれ変わったらまたリィフアと過ごしたい。

本当に側に居るだけで落ち着く人だ。

大好き。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る