第26話青天の霹靂少女。
───ヒルダ領都。
アルミが石像宮殿にいた頃、ヒルダ領都では凄く小さい騒ぎが有ったけど、誰も気付かなかった。
「リッカ様・・・その者はハニトラで御座います」
そう言ったのはホワイティ。
リッカはアルミの次男。
そのリッカが町で暴漢に襲われていた少女を助けたのだが・・・。
護衛に就いていたホワイティの発言がかの如く。
「・・・・・ハニトラ?」
「そっ、そこですか。ゴホン、ハニトラとはハニー・トラップ。すなわち美人局の類いですな」
「びじんきょく?」
「いや、ここ異世界ですから。何故にどうやって漢字変換なさいますか?。・・・美人局と書いてツツモタセと読みます」
「ああ、ヤラセだね」
「リッカ様・・・最初から分かっておいででしたね。てか漢字をどうやって」
「くそが、バレてやがる」
「ああどうすべかなあ?」
「荒事は・・・」
「はあ~、退散しましょ皆」
「そうは参りません」
ホワイティがこの場から逃げようとする彼等の前を立ち塞ぐ。
「痩せっぽち止めとけ」
「犯罪者を逃がす訳には参りません」
「はあ、荒事は嫌なのよ。退いてくれる」
「ホワイティからは逃げれ無いよ」
「坊主俺達をなめてるのか」
「お嬢少しで良いか」
「・・・仕方無いわ」
「氷結!」
「チェイン!」
パキィーンィーンイーン。
「えっ!?」
「ほう、私の氷結を弾き返しますか」
「私のチェインが切られた・・・」
「投網」
「リフレクション」
バチバチバチ。
「ぐわっ!?」
「僕の投網には雷魔法がある。跳ね返しても雷迄は無理だったようだね」
「おい!、大丈夫か?」
返事が無い。
どうやら一人は完全に気絶したもようだ。
「氷結!」
「「「わっ」わわっ」くっ、殺せ!」
はい(くっころ)頂きました。
「坊っちゃんご主人様の書斎のラノベ読みすぎです」
「あはは」
「さっさと殺せえー」
叫んだ少女の前髪がはね上がり可愛い顔が見えた。
ドキッ。
このくっころ少女に僕は恋をした。
そんな少しの気の緩みをつかれた。
ピカ!!。
ドオオーン。
「ぶはっ、ホワイティ大丈夫か?」
「ええ坊っちゃんこそ大丈夫ですか」
「あ~、なんか逃げられたみたい」
「まさか雷の衝撃と熱で氷結を解くとは・・・不覚を取りました」
「凄いね。あんな大魔法使えるなんて」
「・・・何でハニー・トラップ仕掛けようとしたのですかねえ?。私目の二段階氷結を破るくせにですよ」
「まあ三段階使ったら凍傷起こしちゃうし、仕方がないね。にしても僕の雷撃と同じ程度の魔法かな、もしくはそれ以上か?」
「・・・雷の魔法は使えるものが少ないですからねえ。ご主人様は神託スキルで特別ですし、ギザパンなんて五百年の歳月で会得してました。坊っちゃんはご主人様のスキルを一部受け継いでおられる。だからあの少女は余計に何者か気に成ります」
「一応犯罪未遂なのでマーキングしておいたよ」
「恐れ入り屋の鬼子母神です」
「それお父さんの口癖。鬼子母神って何なの?」
「ホワイティ・・・お父さんから継いでると思うのだけどね、スロットルって知ってる?」
「!?、もしかして坊っちゃんストレージお持ちで」
「何それ?」
「アイテムBOXの上位版で御座います。・・・えーとステータスバーから検索出来ますが」
「ステータス開いてと、・・・あっ本当だストレージって増えてる。ああ、これかあ・・・でも、お父さんが持ってるのと違う柄のコインが要るみたい。使い方わかんないや。それに・・・」
「それに?」
「とっぽいギャルはボサノバに酔いしれる・・・なんだよこれ」
「(ご主人様の機種はゴーレムは後ろから前からどうぞ)と言うそうです」
僕は顔を真っ赤にした。
僕のも絵柄が少しエッチだけど、それは物憂げな若い女性がワイングラス片手に、雨だれが流れる窓に寄りかかったもので、ドレスのスリット越しに綺麗な太股が見える程度のものだ。
僕にはそれでもエッチなのだ。
後ろから前からってそのままじゃん。
その日僕は初めての戦闘の疲れからか、夢精してしまった。
しまった下着汚れたよなって思ったらジャラジャラとコインが出て来た。
・・・意味が分かんない?。
そのコインの中に手紙が有った。
[女神アルストフより、このコインは貴方の自慰により、一回辺り五千枚得られます。スロットルをお楽しみ下さいね。尚出たコインは景品交換所でお好きな景品と交換出来ますよ。そしてこれはくれぐれも他言無用です]
僕はこの日から女神の策略により猿と化した。
女神様酷い。
リッカは数日後再びマーキングした女魔導師を発見した。
今度は逃がさない。
僕にもコイン魔法が使えるのだ。
女とその共三人に障壁魔法を裏にしてかけてチェインで拘束した。
チェインを切ろうにも障壁を裏にしてかけているので切れない。
魔法が障壁で跳ね返るのだ。
そのせいで女の服はボロボロだ。
町中を歩くので彼女には僕のマントを掛けた。
屋敷に連れ帰って尋問した。
もじもじして股間と胸を隠しているが魔法を解くと逃げられるので解けない。
仕方無いので毛布を掛けてあげた。
彼女は前髪を上げて顔を見せると未だあどけない少女だ。
僕と同じ歳くらいに見える。
もうパンツも破け見える寸前で、胸なんか露出してたので、僕も彼女も顔が赤いが、尋問を続けた。
「何故ハニトラ仕掛けた」
「あんたが金持ってそうだから」
「金持ち狙いか、金が何故欲しい」
「村の橋が落ちたのに3年も役人が何もしないから」
「えっ、何処の村?」
「20日山道を歩いた所のリント村」
「ホワイティ誰の管轄か分かる?」
「カランの町の代官で、ワットンですね。フランに聞いて来ましょう」
僕は彼女達に交換所で持って来た親子丼を食べさせていた。
こちらからは障壁を通過出来るのだ。
それは敵に魔法を撃てる為の機能。
人目も憚らずガツガツ食べていた。
余り量も取って無いのかな。
そこへホワイティがフランからの報告を持って来た。
「あれ?、3年前に予算は出てるよね」
「はいそうです。職人や土工の派遣も申請されています」
「着服か」
「ですね」
「フランとお兄さんに現地で処理して良いか聞いて来て」
「分かりました」
「一代官の不正と有ってフランと兄(領主)と僕が彼女達を連れて赴く事に成った。ホワイティが留守を預かる」
「一応チェインは解くが障壁は解かない。後ろを向くからこの服を皆着なさい。あっ、その前にクリーン魔法をかけるね。広域クリーン」
彼女彼等は驚いていた。
「もしかしてあんた私らを何時でも殺せた?」
「勿論凶悪犯罪ならそうした」
「私ら運が良かったんだ」
「何これ!?」
村まで行く魔道具とマイクロバスを説明した。
実際父がコインで交換した魔道具だからね。
これがあったら橋が要らなけど、神様スキルなのでもう無理だろう。
橋を見て貰う為職人や建築士も乗せて出発だ。
カランに着いてワットンを伴いリント村に到着した。
流石に何の工事もされていない橋を前にワットンも言い訳が出来ない。
横領を認めた処で拘束してマイクロに乗せた。
流石に3年も待たせたので僕が橋を造ると言うと、フランと兄が「「はあ~?」」と言った。
僕がコイン魔法の土属性を使ったら、何時から出来る様に成ったのかと聞いて来た。
それは後で。
橋を土魔法で造ると職人や建築士に見て貰う。
強度は大丈夫のようだ。
土魔法で岩を造りアーチ式の橋を造ったが、土台もしかっり造ったので時間かかかり夜に成った。
「リッカ大丈夫か」
兄が魔力が少し枯渇状態の僕の心配をしてくれた。
今は全員でリント村に留まっている。
明日には帰る予定だ。
少し回復した僕は景品交換でカツカレーを全員に配った。
この時もう彼女彼等の障壁は解除。
そして次の日全員で領主邸に帰還。
ワットンは地下牢に入り、彼女等の罪を裁く。
「リッカお前は今日からカランの代官だ。・・・人手不足なんだよ。頼むよリッカ」
「うん分かった」
「しばらく会えませんね。淋しいです」
「ホワイティ今までありがとう」
「で、リッカ彼女等はお前に任す。未遂だからな。お前の保護下に置く処分で良いだろう。お前達カランの町からは一年間出られんぞ。出たら牢屋行きだ。分かったな!」
「「「「はい!」」」」
「領主様寛大な処分有り難う御座います」
「原因はこちらに有るのでな、この処分で手打ちとしようなリッカ」
「兄上有り難う」
準備は1日で終わり(少ないのだ)カランの役宅に向かった。
ワットンの側近3名は引き継ぎの後、3ヶ月前から伝えた通り更迭した。
本人等の意思もありスムーズだった。
後任は、魔導師の彼女の取り巻きが優秀でそのまま引き継いだ。
探す手間が省けて良かったよ。
外に出られ無いので外交的な事は元からいた人に頼んだ。
それからは管轄内の整備に忙殺された。
ワットンが横領してたので整備が遅れていたのだ。
農地整備したら税が増えたので街道や山の植林、その他諸々の整備に使えたのは嬉しい。
3年もかかったけど妻(魔導師の彼女)の助けや、本当に取り巻きが優秀だったのには感謝だ。
時々父が来たけど管轄内の管理には役に立たなかったのは内緒。
でもギザパンは優秀だったね。
伊達に五百年も生きて無いね。
その中で子どもが生まれたけど、そっとコイン魔法でステータス検索したら、雷系の魔法がかなりチートだった。
─────────────────
「ギザ(ギザパン次男がカランの代官に成ったって本当?」
「はいフランから念話で聞きましたよ。あれ?、あっそうか。ご主人様にはもうそう言ったのは報告しないのですね」
「・・・まあ隠居親父だから良いけどね。アルストフ様コイン百枚と取っておきのたい焼きを供えます。有り難う御座います」
俺は石像宮殿に有った十神柱像のアルストフにお祈りをして、元王都を後にした。
『こっこら!』
アルストフの叫びが聞こえたので後ろを見ると、子供達が御供えのたい焼きを食べていた。
「アルストフ様後でちゃんとあげますから怒らない怒らない」
『必ずじゃぞ』
・・・・・。(笑)
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