第11話ミュウの最期。


ギーガンの金貨を手に入れて3ヶ月が経っていた。

新しい家も買えて引っ越しも済ましたし、マルクも冬休みで帰って来てる。


久々に仕事が見つかったと言うか、特級傭兵に成ると意外と仕事が無い。



護衛の仕事で家を空けて半月ぶりに帰って来た。

その日俺はリィファを後ろから抱いて自身の硬く成った物を押し当てた。


「ちょっ、まだ明るいわよ」

「リィファさんが好き過ぎて我慢出来ない」

「馬鹿!何言ってんの、マルクはもう学園の寮に居るから良いものの」

「いいんだ」

「あっ、もっもう。お願いベッドでベッドでして、あっああー」


俺はリィファを抱えてベッドに運ぶと優しく押し倒しキスをした。

次第に舌を絡めディープなキスの後は、これまた濃厚な愛撫をする。

「あっ、どうしたのアルミ?ああ」

俺はリィファの股間に顔を埋めて愛撫を繰り返す。

リィファの何時もより少し激しい喘ぎ声に興奮の絶頂に達した俺は、彼女の中に挿入して何時もより激しく腰を振った。

「あっ、あっ」ビクビクっと、簡単にイッテしまう。


「本当にどうしちゃ・・・」

俺はリィファをうつ伏せに返すと、また後ろから挿入した。

今度は少し優しくゆっくりと腰を動かす。

でもリィファの喘ぎに興奮して直ぐに激しく腰をストロークした。

またイッてしまうと、リィファを仰向けにして片足を持ち上げ入れようとしたら・・・。

「ちょっ、ちょっと待ちなさい」


「ごめん」

「ふう、全くもう・・・」

やりすぎた。

リィファが拒否しないのを良い事に強引過ぎた。

「私を愛してくれるのはいいけど、何が有ったの?」


「リィファは俺が死ぬまで側にいてくれる?」

「・・・何当たり前の事を言ってるのかしら、貴方はお互い看取る迄いてくれるの」

「俺、リィファさんで無いと駄目だ。リィファさんは温かく包み込んでくれて、側にいると凄く安心出来る。心にリィファさんがいると旅に出ても仕事に不安が無いんだ」

「有り難う私もよ。貴方が帰って来てキスをしてくれたら、また穏やかな1日が過ごせるわ。まあこんな日も有るけどね。うふふ」

「ごめんね、旅先で精神が不安定になっちゃった」

「話してくれる?」

「うん」


ちょっと寒いね。

毛布では寒いのでリィファさんを後ろから抱える様にして、厚手の布団を二人で被りベッド横の壁にもたれた。

「あら萎んじゃったわね」

「ってリィファ擦らないで・・・今話すから」


俺は護衛の旅先での事を話始めた。



商人の護衛で町を出て六日目の村での事だった。

よく知ったと言うか、初恋のミュウがそこにいた。

「何よ!、殴らないでよ」

「うるせえ売女のくせに口答えすんな!」

「誰が売女よ、稼ぎの悪いあんたにここまでついて来てあげたのに」

「へん、誰がついて来いって言ったよ。女なら他に腐る程おるが!」

「だったらお別れねこの甲斐性無しが」

そんな剣呑な状態で彼女はスタスタと何処かへ行ってしまった。

懐かしい顔だったけどなんだか話が出来る様子では無さそうだ。


今日はここで宿を取るので会えば話をしよう。

そんなつもりだったけど、翌朝には彼等は出掛けた後だった。

目的地の町の手前の峠で異変は起きた。


「お前ら何のつもりだ」

「金と積み荷くれたら命までは取らねーよ」

盗賊は8人、護衛は俺1人しかも剣は帯びていない。

相手はそんな俺を見てもう勝ったと思っている。

「盗賊なら話は早い。討たせて貰うぞ」

「はあ、何言ってんだお前?」

俺は有無をも言わさずコインを8人に投げた。

7人はその場で絶命したが1人は生かしておいた。

コインの一つを風魔法の空気弾に変えて打ったのだ。

7人の遺体はストレージに収納し、気絶した男は手足を縛りあげクツワを噛ませて馬車に入れた。


町に着くと憲兵に男は引き渡した。

商人さんも証言してくれて遺体は無事に引き取って貰えた。

その日の夕方に憲兵さんから拷問したが、男には他に仲間がいなかったので明日の朝処刑すると言われた。


朝商人さん達と帰る前に俺は処刑に立ち合った。

手を合わせ祈りを捧げる間に男は絞首刑に成った。

事前に麻痺薬草を朝飯に使い殆ど気を失っていたので、恐怖や苦しみの無いせめてもの情が有った。

しかし、ポツリと男は確かに失った気の中で呟いたのだ。

「ミュウ」と。


祈りながら俺は背中に大量の汗が流れるのを感じた。

ガクガクと震えその場に倒れ伏した。

びっくりした憲兵に抱き起こされた俺は、「7人の遺体の覆面を取って見ても良いですか」と言うのが精一杯だった。


震えながら涙を流しながら覆面を剥がすと、三人目の顔のそれは紛れも無くミュウだった。

恥も外聞も無く俺はその場で泣き崩れた。

初恋の相手をこの手にかけてしまった思いは、自分でもどうしようも無くしばらく泣いていた。


商人さんと憲兵さんに事情を説明して、遺髪と遺品を貰う事が出来た。

帰りは商人さんが各村での商品を調達するので日にちがかかった。

俺は必死で素を取り繕い護衛をこなしたが、商人さんが今度俺の生まれた村に行くので、連れて行ってくれると言った時、涙で情けない顔のままお願いしますと返事をした。



そして今リィファに、5日後俺の生まれた村に行きたいとお願いしている。

リィファは後ろに顔を向けキスをすると、私も連れて行ってくれないかと言った。

「うん」


その日はそのまま横に成って就寝した。


4日目に学園の寮にいるマルクに、俺の生まれた村に二人で行くのでしばらく留守にすると伝えた。

「新婚旅行代わりになるね」

何も知らないマルクはそう言って送り出してくれた。

リィファに俺は、「ミュウの家族に殴られても止めないで欲しい」事を頼んでおいた。


直線距離に街道が有ったので意外に早く村に着いた。

「10日と2日で着いたわね」

「まさかこんなに近いとは」

俺は少し驚いている。



ミュウの家族に会い事の顛末を告げ頭を下げた俺は、目をつむり正座して殴られるのを待った。

・・・・・。

すると母親がポツリと話した。

「あの子はね昔からあなたの事が好きでね、よくお嫁に行くならアルミの処が良いって言ってたわ」

・・・・・「えっ、俺はミュウにフラれましたけど」

「ちょっと男の子みたいだから恥ずかしかったのよ。変な事言っちゃったて泣いてたわ」

「・・・知りませんでした」

「あなたのせいじゃ無いわ。でも悪い男に捕まったわね。あんなの止めなさいって言ったら、怒って男について町を出ちゃったの」

「まさか盗賊に成り下がるとは・・・」

お父さんは泣き崩れた。


「直接手を下したのは俺です。この場で好きな様にして下さい」

「あの子はあなたが凄い傭兵に成ってたって言ってたわ。綺麗な奥さんもいるって」

「わざと・・・おそらくはわざと覆面を取らなかったと思う。お前に殺される為にな。凄い傭兵だと知ってたから・・・・・だから」

涙を流しながら父親は俺に「有り難う。捕まって処刑されるより、お前に討たれる方が数倍幸せだったと思う」そう言った。

・・・・・。

俺もリィファも、ミュウの両親もその場でただ泣くだけだった。


ようやく気を取り直した俺は、遺髪と遺品それに香典としての金貨を手渡してミュウの家を後にした。


「実家に寄らないの?」

「穀潰しって追い出されたんだ。寄る気にはなれない」

「・・・そう・・ね」

「後で老いても生活に困らない様に金貨を送るよ。育ててもらった恩は忘れては無いし、ちょくちょく様子は見ようと思う」

「いづれは会ってあげてね」

「・・・うん」



商人さんに有り難うって言ったら、海岸回りで帰路の護衛を頼まれてしまった。

了解して夫婦で夜警等をして帰った。

「どうだった」

帰るとマルクが家にいて旅の感想を聞かれた。

学園祭前の準備で一時帰宅しているそうだ。

お土産を皆で食べていると、マルクが相談にのって欲しいと言う。

「学園祭の屋台の品が思い付かなくて」

「屋台かあ・・・う~ん」

「あれはたこ焼き」

「タコが無いよ」

「そっか」

パチスロスーパー(もうあれは景品コーナーじゃ無くてスーパー)でたこ焼き器を換えて、御多福ソースとお好み焼きの素と野菜や鰹節も換えて作った物だ。


その夜は考えが纏まらず寝たが、そっと中華そばやソースとマヨネーズ、それに青海苔と鰹節を大量にコインと交換してストレージにしまった。



「ふひひ」


















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