第4話(もしも)とか(仮に)の話しですよ。
5日間ひたすら平和な街道を行く。
夜営は無しで村の宿に泊まる。
丁度良い距離に村がある。
宿場町と言うやつだ。
然したる峠も無く、険しい道も無い。
穀倉地帯の真ん中を行く感じで盗賊もいない。
「王都までこんな感じ何ですか」
「そうですよ。だから魔物も盗賊も出た話は、ここ50年は聞きませんねえ」
「いやあ、護衛と聞いてたので拍子抜けです」
「念には念ですし、規則で護衛は雇う事に成ってますから」
「そう言えば、町を出る時幾つかの隊列で出てましたね」
「そうです。個人でも幾人かが纏まって旅をします。今回私達は時間的に同行する旅人がいなかったので、あなたを雇いました」
「確かに朝早かったですもんね」
「あの時間に門を出るには複数の隊列か、護衛がいないと門を開けてくれません」
「成る程」
7日目に湖の側の道を通った。
「何か出るならここですね」
「止めて下さいよ。まあ確かにカルデラ湖みたいに、山に囲まれてますけどね」
「大昔に何か落ちたらしいです。だから唯一の少し険しい道に成ります」
「何かが・・・落ちたんですか」
「火の玉が落ちて多くの人が亡くなったと聞いてますけどね」
隕石かな?。
「あの低い峠を越えて下の村で1泊しますので急ぎますね」
「!!・・・」
「ワイバーンです。気を付けて下さい皆さん」
初めて目にする。
話しには聞いていたが。
あれがワイバーン。
刺激しないようゆっくりと馬車は峠のてっぺんに差し掛かる。
魔力量からして正直どうなるか分からない。
俺は高射砲をイメージして飛ぶようコインに願いを込める。
最悪を考える。
もしも、仮に、魔力量が足りなければ・・・。
何せ手で投げる以外に飛ばした事が無いのだ。
皆死ぬ。
俺だけならまだしも・・・。
何かでストレージには生き物は入らないと読んだ事が有る。
・・・細菌は?。
ウィルスは?。
食べ物には少なくとも何かしら付いている筈。
魔物の死骸かて、魔物が死んでもその他が生きている可能性が、或いは脳細胞が生きている可能性が。
・・・・・。
ストレージ収納なら魔力の消費は少ない。
グワッ、グワッ、ギャオォー。
「くそ!」
空を見るとワイバーンが此方へ向かって来る。
・・・収納!。
「へっ?」
「何だ消えたぞ」
「気を付けろ!。何処からかまた来るぞ」
しかしそれきり何も起きなかった。
何事も無いかの様にその後は無事王都に着いた。、
・・・・・出せない。
これ絶対出せないよー。
多分他の物に何事も起きていないから、ワイバーンも時間停止のまま入ってるんだろなあ。
出した瞬間襲われるよなあ。
肥やし確定。
護衛料を貰いに坊やと仕事斡旋ギルドへ行く。
受け付けで少し待たされて、護衛料を貰って振り返ったら・・・。
あれ?、坊やが見当たらない。
色々辺りを探すが見当たらない。
焦ってギルドの職員さんにも探して貰うも見当たらない。
それから町中探し回るが見当たらない。
検索魔法では坊やは特定出来ない。
年齢と男の子で検索しても無数に反応が出て分からない。
憲兵所や色々な役所に捜索をお願いして探すも夜に成ってしまう。
途方にくれて王都の広場の噴水脇に座り込んだ。
足腰が悲鳴をあげる程歩き回ったが見つからない。
どうしょう・・・。
「あんたどうした?」
カンテラを持った憲兵に職質された。
「あれ、あんた昼間の少年を探してる人か」
「はいどうしても、坊やが見つからりません」
そう言って俯く俺を憲兵所に連れていく。
「済まんが今日はここで寝てくれ」
ぼや~と聞いて俺は中のベッドに座った。
牢には施錠はされ無かった。
「探さなきゃ・・・」
出ようとするので仕方無く施錠されてしまった。
ベッドの上で途方にくれるしか無くなる。
翌日目に隈を作った俺を数人の憲兵達が、両脇を抱え込んで馬車に乗せた。
「ちょっと王都の郊外で怪しい馬車を見つけてな。職質しょうとしたら振り切って逃げだしゃあがった。」
「はあ?」
「畑の小屋へ逃げ込まれてよ。馬車に乗ってたとおぼしき子供を人質として、盾にしてやがるんだ」
「えっ、もしかして誘拐」
「おそらくな。その中にあんたの坊やも居るかも知れん」
現場に着くと憲兵隊が取り囲む小屋があった。
しばらくすると中なら男と子供が出て来た。
「マルク!」
「あれはあんたの坊やか」
「はい」
男は坊やの首にナイフを突き付け飯を要求して来る。
もう1人の男が女の子を抱え込んでナイフで脅して来る。
「早くしろ!、こいつら殺すぞ」
その時数人の憲兵弓隊が構えた。
「ぎゃあー」
「「「あっ」くそっ」」
弓隊は退いた。
女の子が背中を刺された。
男達と引き摺られるマルクは小屋へと入った。
慌てた憲兵数人が女の子を抱いて戻って来る。
「早く薬で止血しろ!」
「取り敢えず布で抑え付けて血を止めろ」
俺も慌ててコインを体に当て治癒魔法をかける。
「良かった。幸いに傷が浅くて治りました」
「ありがとう助かったよ」
連れて来られた憲兵の隊長みたいな人にお礼を言われたが、一応安静にするよう女の子を現場から遠ざけた。
「あいつ等躊躇無く人を殺しゃあがる」
「隊長ヤバイですね。長引くと何人殺されるか」
・・・・・また男がマルクを連れて出て来た。
「あと一つ王都の鐘が鳴るまでだ。飯を持って来ないならこいつを殺す」
俺は密かに子供やマルク達に絶対障壁(バリア)をかけていた。
女の子みたいに刺されてはたまらない。
意を決して男に俺は歩み寄る。
「あっ、おい待て」
隊長が何か言うがここはやるしか無い。
目の前に出したのはワイバーン。
ギャオォォー!!。
「子供は大丈夫だ小屋ごと吹き飛ばせー」
何故かワイバーンに命令してみた。
すると・・・。
ワイバーンは翼を激しく動かして小屋を吹き飛ばした。
マルクと子供達は絶対障壁に守られそのままの位置だが、人攫いの悪党どもは吹き飛ばされ、気絶や絶命していた。
憲兵隊が子供の身柄を確保して、生きている男等を縛りあげる。
瀕死で尋問も出来ない者はその場で息の根を止められた。
・・・・・キュイキュイ。
キュ~ンとワイバーンが俺にすり寄ろうとしている。
「えっ?・・・」
敵意の無いその姿に、俺はワイバーンが頭を擦り寄せるまで硬直していた。
擦り寄せて来るので思わず頭を撫でてしまった。
するとワイバーンは気持ち良さげにキュウ~ンと鳴いた。
「人を攻撃しないなら飛んで行っても良いよ」
そう言ってみたが・・・。
ワイバーンは離れない。
仕方無く収納した。
「あんた飛んでも無い魔物使役してんな」
隊長に言われたが別に使役でも召喚獣でも無いんだけど。
まあいっか。
困惑したが別の所で放してあげよう。
王都の憲兵所で表彰され金一封も貰えた。
本当に中金貨1枚入ってた。
日本円で30万円くらいだ。
憲兵所で宿も紹介された。
「と言うより後で呼び出しがあるらしいです」
と憲兵の1人が笑いながら言った。
何だろうあの笑いは?。
翌日本当に呼び出しをくらった。
「謁見?・・・、謁見ってあの王様とかに会うやつですか??」
「まあ王様では無く1人の大臣だけどな」
「大臣ですか」
「ああ、憲兵総監だな」
隊長の言うにはどうやら警視総監と言うより法務大臣的な方らしい。
軍は防衛大臣みたいな人が別にいるようだ。
要は警察と検察と裁判官のトップなのだろう。
まあ王様で無くて良かった。
謁見の後に職業斡旋ギルドカードに臨時憲兵官民の称号を付与された。
???何だこれ。
「特別な民間の憲兵委託です」
「えっと、つまり自由に旅も出来る憲兵さんて事ですか?」
「俺が悪い事したらどうすんの?」
って聞いたら。
「自分の身も省みず人助けする人が悪行ですか?、無いですねそれ」
どうやら色々知られてるらしい。
「貴方かなり2人の領主様から信頼されてますね。王都にも報告が上がっていて、信頼のおける護衛と有りますよ。しかもかなりの手練れとか」
「いや、剣も体術も使え無いですよ」
「でも恐ろしい魔法の使い手だと聞いています。あの獣魔が召還出来る人を聞いた事有りませんしね」
「あっあれは召喚獣では無くて、懐かれただけです」
「・・・懐かれた?。ワイバーンにですか。」
笑われてしまった。
ワイバーンは人に懐くモノでは無いらしい。
召喚獣としても有り得ないとか。
・・・はてな?。
王都で観光しながら時折外に出て、森で2匹の魔物を収納してみた。
すると2匹とも俺に懐いた。
どうやらストレージに生きたまま収納すると召喚獣扱いに成る様だ。
ワイバーンとミニマムボアと黒土蜘蛛のテイマーに成ってしまった。
不思議とかわいい(*≧з≦)。
それぞれ、イバン・チビ・黒太郎と名付けた。
やったね今日は(ゴーレムは後ろから前からお好きにどうぞ)で8000枚も出たから嬉しい。
(一杯出たね)
なっちゃあ~ん。
癒しキャラ相手に・・・。
俺は何をしているやら。
側でミニマムボアがプキッと可愛らしく鳴いた。
────────────────
そこは(なっちゃん)じゃ無くて(葉子)だろとつっこんでみる。
ツッコミだよ、挿入じゃ無いよ。
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