第3話人殺し貴族は海に死す。

今年の10月は暑いですね。

中頃から一気に気温が下がるから気を付け無いとです。

中国の大型倒産も心配です。


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野宿をしながら、川で汗を落としながら、5日程すると海沿いの町に着いた。


道中はコインに魔物避けを付与して食事や睡眠を取った。

街道を行くときもそのコインを持って歩いた。

効果が切れるとコインは消滅するが、3日は持つ事が分かった。

中々エコな魔力の使い方だ。


この町では前の町の領主から出された身分証明書を見せて入る。

流石に領主の裏書きが有る身分証明書(カード)は効いたのか、衛兵が最敬礼で入れてくれた。


町に入って直ぐの事だった。

門の手前で馬車がもの凄い速度で走って来るのが見えた。

「あっ!、危ない」

言う間も無く、馬車が干物を売りに行く親子をはねた。

「何を・・・?」

馬車に乗った貴族風の若い男が、「邪魔なんだよ」と言って、そのまま門を抜けて行ってしまった。

「なんじゃ、あやつは」


親子に町の人達が駆け寄ったが、男の子をかばった母親は瀕死と言うか即死の状態だった。

俺は慌ててコインに魔力を込め治癒を施したが、母親は助からなかった。

血は止まっても内臓がやられていたと、後から医者に聞いた。

俺も少し目眩がしたので、あれがおそらく精一杯だったのだろう。


『お主、自分の命を賭しても人を助けようとしたからのう。前の町ではな。だから治癒魔法にも制限をかけておいて正解じゃった』

どうやら女神は死なぬ様に俺の魔力に制限をかけたらしい。


母親は直ぐに葬られた。

男の子を町の職員が孤児院に入れようとしたが、男の子は頑なに拒んだ。


聞くとあの馬車のふざけた男は領主の息子らしい。

だからこの町の孤児院なんかには入りたく無いのだとか。

行き掛かり上、町の職員に事故(事故なんかじゃ無いと説明したが取り合って貰えず)の証言から、葬儀まで男の子の側にいた。

その為か、男の子に一緒に旅に連れて行って欲しいと言われた。


合計5日の逗留だったが、男の子の家の後始末やら、同行する男の子の身分証明書等を町の職員にお願いした。

財産は僅かで家賃で相殺された。

そうして2人で旅に出たのだが。



朝早く町を出て街道脇の浜辺で休憩してると、側に馬車が止まりわらわらと数人の男が出てきた。

まだ山の稜線が紫より暗い時刻なので顔がよく見えない。


囲まれた。

何だこいつら?。

そしたら1人の男が年配の良い身なりの男に話しかけた。

「親父こいつらだ」

「ふむ、悪いのう。お前らに恨みは無いが、ここでサメの餌に成って貰う」

「何言ってんのかな?、馬鹿なのお宅達」

「・・・不敬罪だな始末しろ」

囲んでいた男達が剣を抜いた。


やっと顔が見えた。

「あ~あんたあの馬車の糞野郎か」

「ふん、邪魔な虫がウロチョロするからだ」

ブッチン!。


切れた切れましたよ。

それと同時に俺はコインを投げ、風を巻き起こした。

俺と男の子の回りを竜巻の様に風が舞う。

貴族の親子と殺し屋みたいな男達がグルグルと風に巻かれて、沖の方に行った時、俺は1枚のコインで海中に土の壁を作った。


ガシッ、グシャ!、バキィー。

土の壁にぶっつかり男達は海に落ちた。

それはナブラの様だった。

バシャバシャと音を立てて、多くのヒレが血の海へと変えた。

既に絶命した男達をサメが食べ出したのは、たったの数秒後だ。

ここはサメの多い海の様だ。


「お兄さんありがとう。仇を取ってくれて」

「行くか」

俺は人目の無いうちに男の子と街道を急いで歩いた。


次の町であの町の領主親子と傭兵10人がサメに食われたと聞いた。

宿の食堂で商人が噂していた。

「なんで海に入ったんだろな?」

「いやあ、わかんないけど、流石にあの海に入るとか無いよなあ」


2日逗留して次の町へ行く。


今度は割りと大きな港町に着いた。

ペリンゼと言うらしい。

仕事斡旋ギルドも大きかったので、仕事を探して見る事にする。

植物採取・鉱物採取・護衛・町の掃除・個人的なお願い・運送等々様々な依頼が張り出されていた。


宿を取り改めて仕事斡旋ギルドで男の子と仕事を探す。

鉱物採取を出すと、お子様連れでは駄目と言われた。

大丈夫なんだけどなあ。

護衛を出したら帯刀すらしていない姿に拒否された。

仕方無いので植物採取にしたら、街道付近にと言う条件が付いた。

森に入ったら責任は取れないと言う。

「分かりました」

そう言って町の外に出た。


村で育って農業や狩猟の手伝いの経験から、植物には知識が有る。

貴重な薬草から食用の物等持って帰ったら、森に入りましたねとかなり怒られた。

次の日からは運送にしたよ。


隣村からの卵の運送だ。

ストレージに入れ運搬用の馬車に乗せて貰ったが、大変に喜ばれた。

普通馬車で2往復の処を1往復で済んだからね。

一時間も掛からないが、これで1日の仕事が終わった。

宿代と食事代引いても儲けがあったが、5日に1度ではちょっとね。


3日目に何と領主から護衛依頼を受けた。

例の町の領主の裏書きが有ったからね。

噂を聞いた様だね。


王都への10日間の雇われ護衛だ。

ついでに王都へ行けるので有難いけど、片道だけ請け負ったので残念そうな顔をされた。

ごめんね。

旅烏なんだよ俺達。


明後日の朝早く出立だ。


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子どもが居ちゃア、コイン確保がままならねえ。

コケねぇんだよ。

シコシコと。

シコシコぴっちゃんシコぴっちゃん。

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