第2話お金が入ったので旅に出る。

哲也って漫画(劇画)が有る。

おそらくモデルは阿佐田哲也さんかな?。

蛭田有海(ひるたあるみ)はもじってみた。

アサをヒルに、テツをアルミに。


────────────────


両親に、うちは兄弟が多いので俺は旅に出て、色々な世界を見たいと言ったら、あっさりと了解されてしまった。


まあ体の良い口減らしとも。

穀潰しは傭兵にでも成るしか無いから。

幸いに金は有る。町へ行って両替したからね。

「重たいな、これ」

歩いて旅をするので(勿論長距離は馬車を使うけど)常時3キロの金貨に水筒や食料その他の装備で、出来るだけ軽くしても20キロに迫る。

で農業の手伝いをしてたが、さすがに旅をすにはちときつい。


が、しかし途中で気が付いた。

ステータスに有るスロットルもスロット用コインも西大陸の硬貨(金貨)も、ストレージとか言うのに全部入ってて、唱えると出し入れが出来るのだ。

こっちの(東大陸の)両替した金貨も出し入れが出来るんとちゃうかな?。

試しに1枚出し入れしてみた。

でけた。

水筒も試した。

でけた。


今は全部入れてる。

あの女神優しいやん。

スロットルの付録とか言ってたけど、こっちの方が凄く役に立つ。

てかこれで飯食えるがな。

さてと大した見送りも無く旅に出たんだなこれが。

非常~に淋し~い。

俺って要らない子?。



旅を満喫・・・まんき・・・のはずが。

何かなあ、何故こうなるのかな?。

街道を歩いて3日目。

ミュウのいた町で食糧を買い込んで、ミュウに別れを告げて今に至る。


ん~ンンン?。

あれは盗賊かな。

何か前で馬車が襲われてる。

護衛は3人だけど、相手は12人かなあ。

護衛は怪我人が出てるなあ。

俺ってさあ、前世でもしょーも無い人間でさ、色んな事から逃げまくって、きつきつ生きて来たんよ。

人様の役にたった事何て一つも無かった。

いや有っても逃げてた。

根性無しで女にもてず、告白も出来ん甲斐性無しやった。

このままひっそり隠れてたら・・・ええやんけど。


女神様ご免な、折角第二の人生貰うたけど。

「うおおおー!」

ヘへヘ、剣も無し何も無し。

有るんはな、わけ分からんスロットルアロイコインだけじゃあぁ~。

「喰らえぇー!!」


「っんだ!?」

「何だあいつ?」

バラバラバラ。

ペチッ、パチッ、パンッ。

盗賊に隙が生まれた。

護衛が一斉に斬りかかる。


「ぐはっ」

「ぐえっ」

「ぎゃああぁ」

ドンッ!!。

グシュ!。

あっと言う間に5人が倒された。

たまらず逃げる盗賊だが、3人ほど俺に斬りかかって来る。

ああ、死んだな俺。

仕方無いのでコインを投げてみる。

「お前らもパチスロで死んでみい」

カッ!。

ボッ!。

ボォーン!。

一人は頭にコインがめり込んだ。

一人は腹に風穴が空いた。

一人は上半身が完全に無くなった。

・・・呆然と俺は立ち尽くした。


しばらくしてようやく気が付くと向こうでは一人捕まっていた。


護衛の1人が近付いて来る。

「有り難う助かったよ」

「あっ、いや別に」




その日は彼らの馬車に乗せて貰い、今は野営をしている。

「そうなんですか」

「ああ、あんたが殺った3人の内2人はあの方の兄妹だよ」

「跡目争いだったんですね。すっかり盗賊かと・・・」

「あんな卑劣な襲い方したんだ。盗賊と一緒だよ。死体もあれじゃ身元不明だしね」

「また襲われる可能性は?」

「有るだろうね。あと妹と兄がいるからね。妹はともかく兄がねえ」

「あの方女性ですよね。普通領主とかだったら男が跡目を継ぐのでは」

「ん~、正直言って男兄弟3人とも出来が悪すぎてね。あの方を推す声が多い」

「でもあの方は継ぐ気が無くて辺境の町へ行く処だったんでしょ」

「疑り深いんだよね。出来が悪いからさ。白昼堂々と襲って来やがったけど、2人死んじまったな」

「怪我をされた方は大丈夫ですか」

「そうだな装備の上からだから傷は浅い。大丈夫だろう。一応消毒はしといた。ほらこれだ飲むかい」

「いや、夜警中ですから」

「ちと寒いからワシは頂くけどな」

「ははは」



流石にその日の夜は襲っては来なかったし、彼女(領主の長女)の赴任先の町に無事着いた。

「これからどうなさいますか?」

「この町でしばらく逗留して考えます」

「あの、よろしかったら屋敷で護衛として働いて貰えませんか」

「あっ、自分剣は全くですので」

「でも魔法のコインで倒されたとか、側に居て下されば助かります」

「・・・咄嗟に動ける様な訓練は受けていないので」

それでも側に居てほしいと懇願されて、護衛として屋敷に住む事に成った。

旅が目的だったんだけどなあ。

跡目争いとか長く成るかもね。



等と思っていたら長兄がゴロツキを雇って襲って来た。

馬鹿なのかな長兄って。

相手は30数人。

こっちは新たに屋敷の人を加えても8人程度。

俺はコインを地面に仕込んでいた。

試したけど念じると爆破したのだ。

正面から突っ込んで来るとか、策無かこいつら。

全員爆死した。

肉片と化した辺りはグロテスク極まり無かった。

よく野良猫等が車にひかれているあれの焼け焦げ版だった。

暴漢とは言え処理をして埋葬した。

流石に前世でも現世でも人の肉片を処理したのは初めてだ。

列車の飛び込みを処理する人の気持ちが分かった気がする。

無縁仏として女神様に彼らをともらって 貰った。

手が数日経っても血の匂いがする気に囚われた。

仕方無いとは言え自分の業として捉えた。

怨むならあの方では無く俺を怨め。

そう心で唱えると、辺りから瘴気が昇って消えて行く気がした。

女神様に感謝した。

この手で30数人殺した。

その気持ちが重かったけど、彼らが天に召され、後の世に転生されると女神様からお言葉を授かった。

それにより大分気持ちが落ち着いた。

本当に感謝しか無いので、近くの神殿に御供えをしたら、コイン100枚も贈れと声がしたので、一緒に供えた。

良いのかな?、あれの元は俺の精液なんだけど。



『妾は神では有るが、人の精気をも糧としておる』

「サキュバスかあんたは」

『それゆえにお主のコインは人の命を奪えるのじゃ。それと逆に傷も治せるが、その場合お主の精気も少し削られるから、心して使え』

「何処までやれば死にますか?」

『わからん。わからんから気を持って行かれそうに成れば止めよ』



程なくしてあの方は領主と成った。

長兄の行方が分からぬらしい。

あれ?、30数人の中にもしかして居たのかな。

今と成っては知るよしも無い。

あの方も遺品を探そうとはしなかった。

無縁仏の墓を掘り返しても家名が汚れるだけだしね。

領主と成った10日後に元領主は亡くなった。

3ヶ月後妹さんも嫁ぎ先ヘ行った。

流石に自分の護衛も解いて貰い旅に出る事にした。

一応引き留められたが、貴族社会は性に合わないと領主邸を後にした。



別にあの方とのロマンスなんて無いよ。

敵に回すと厄介だから引き留められただけだからね。

「ええ、どうせもてまへんわな」

などと道中捨て台詞を吐いてみた。

実はあの方凄く可愛くて好みだったのだ。


数ヶ月雇われの身だった為お金が増えていた。

まだ血の匂いが抜けない気がして娼館ヘ行く気にも成れなかった。

「あーあ、コインが貯まるなあ。別のが溜まってるから抜かなきゃあな」

オカズはあの方だった。

ご免なさい。



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戦いの場面少しやり過ぎたかな。

想像して気持ち悪く成った方ご免なさい。

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