第53話 猫の村 後編



タクシーでルナの村へと向かう。


「ディープインパクト〜!!!

久しぶりだね〜!!!」


ついハンドルに頬擦りをしながら、タクシーに話しかけてしまった。


「ディープ?なんだそれ?」


ジェイクに興味を持たれてしまった。

何も言わないが、魔王様もジッとこちらを見ている。


「このタクシーの名前です、、、。」


恥ずかしくて顔から火が出そうだ。


「いい名前だな!かっこいいじゃん!!!」


ジェイクが褒めてくれたのが救いだった。

魔王様にも何か言って欲しかったが、彼はニヤッと笑うだけだった。


「そういえば!!!

狼たちは置いてきて大丈夫なんですか!!??」


無理矢理にでも話を変えたかったので、気になっていたこと魔王様に聞いてみた。

(ちなみに馬車は魔王様が一瞬で消し炭にして片付けていた。)


「自力で帰れる。

腹が減れば狩りでもするだろう。」


リーアの匂いを辿れるのだ。

自分たちの匂いを辿って帰ることも可能なのだろう。


「本当に可愛いわね〜!」


ルナにデレデレのリーアとジェイクが、死にそうな顔色のライルを励ますことは無かった。






「そろそろ見えてくるぞ。」


タクシーで2時間ほど走ると、ルナがそう言った。

それを聞いた好奇心の塊のジェイクが、窓を開けて半身を外に出す。


「ん?なんか、、、木デカくね?」


そこで僕も気がついた。

リーアを探していた森よりも、明らかに木が大きくなっている。


「ハイドラシルの木だ。

世界一高い木と呼ばれている。

ここはハイドラシルの森だ。」


ルナが解説をしてくれた。


「大きいと150mくらいにはなるぞ。

ここらの倍以上の高さだな。」


「これの更に倍、、、。」


想像もできない高さの木があることだけは確かだった。





「着いたぞ。」


ルナが言うので、全員タクシーから降りた。

ライルのことはジェイクが引っ張り出していた。

猫の姿だったルナが、ジャンプしてクルリと宙返りをすると獣人の姿に戻っていた。


「すっげーーーー!!!!

ツリーハウスだらけかよ!!!」


ハイドラシルの木には無数のツリーハウスが建設されていた。

気を削って中に入れるようにもなっている場所もある。

展望台のように柵で囲まれている場所もあった。

隣り合う木の枝にはロープがかけられていて、籠もついていた。

あれで物資の受け渡しをしているのだろうか。


「ルナか?」


無数のツリーハウス、ルナの村に感動していると背後から声をかけられた。





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