第42話 脱出大作戦 前編




「ん、、、?」


頭痛で目が覚めた。

最悪の朝だ。

イケメンと飲むお酒が美味しすぎて、昨日はついつい飲みすぎてしまった。

今は何時だろう?

ずいぶん明るいけど、、、。

仲間たちに声を掛けようと、起き上がって窓の外を見る。


「はあ!!??」


窓の外は一面青空。

視界を下に向けると、木々が広がっていた。

飛んでいる。


「出発するんなら起こしなさいよ!!!

って、、、アンタ誰?」


運転席に座っているやつは、明らかにコウより座高が低かった。

フードのある真っ黒なローブを被っていて、姿は見ることが出来ない。

襟の大きな服で、顔は目元以外全部隠れている。

そこで違和感に気がついた。

そもそもこのタクシーは5人乗り。

私が横になっていたら、ライルとジェイクは乗れない。


「アンタ誰って聞いてんのよ!!!」


運転している主は何も言わなかった。

運転席を蹴ったが、効果はないようだ。


「こっち向きなさいよ!!!」


殴ろうとした私の拳が、運転席まで届くことはなかった。


「降ろせ!!!」

「アンタ誰なのよ!!!」

「私をどこに連れて行くつもりなの!!!」

「何とか言いなさいよ!!!真っ黒野郎!!!」


数分文句を言い続けると、ついに真っ黒野郎が口を開いた。


「黙ってろ。」


そう言いながら、懐を探ってなにかを取り出す。

そのまま私に何かを突きつけた。

向けられたのは拳銃だった。


「クッソ、、、。」


真っ黒野郎の言う通りにするしかなかった。


確かタクシーは外からの攻撃は効かないってコウが言ってた。

ってことはテイムした動物や魔物に襲わせても無駄ってことか、、、。

コイツに攻撃することも出来ない、、、。

詰んだ、、、。

そうだ!!!窓を開けて叫べば、みんなに聞こえるかも!!!

そう思い、窓を開けるボタンに手をかけた。

コウが昨日教えてくれたボタンだ。


「余計なことはするなよ?」


再び銃口を向けられる。

窓を開けるボタンは一瞬しか押すことが出来なかった。

これでは意味がない。


「わかったわよ、、、。」


どこに連れて行かれるかはわからなかったが、とりあえず大人しくすることにした。

ずっとタクシーに乗ったままってことはないだろう。

トイレにも行きたくなるし、車内に食料もないのだから食事だってするだろう。

チャンスはあるはず。

タクシーから降りたら、この真っ黒野郎をぶっ飛ばしてやると心に誓った。





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