第38話 僕の大切な人 後編



「リーア、あの子だけが特別なんです。」


なるほど、やっぱり。

僕がずっと疑っていたことが、確信に変わった。


「ライルさんはリーアさんのことが好きなんですか?」


「え!!??そうだったのか!!??」


僕の質問にジェイクが先に反応した。


「ジェイク!お前気づいてなかったのか!!??」


ライルが目を見開いて驚いている。

僕も驚いた。

こんなにわかりやすいのに、3人で行動していたジェイクが気づいていなかったなんて。


「あー、俺そういう難しいのわかんねえんだわ!」


ジェイクが自分の頬を両手で押しつぶし、変な顔をしながら言う。


「リーアは覚えていないだろうけど、子どもの頃に一度出会っている。

街で転んでしまった僕に手を差し伸べてくれた。

ひどい言葉を放った僕にも優しくしてくれた。

それからずっとリーアだけが好きなんだ。」


ライルにとってリーアは初恋の相手で、ずっと片想いをしてる相手のようだ。


「そんな人と勇者の仲間として再会するなんてすごいですね!」


「運命ってやつじゃんか!!!」


話を聞いて僕たちの方が盛り上がってしまう。


「いや?

そこは運命でも何でもないですよ。

僕が仕組んだことなんで。」


「「仕組んだ!!??」」


ジェイクも同じところが引っかかったのだろう。

同時に言葉を発していた。


「僕がリーアを推薦したんです。

ちょっとしたコネがあるので。」


コネで勇者のパーティ決めるな、国王。


「あの日からずっとリーアを見守ってきました。

雨の日も、風の日も、毎日。

勇者一行としてリーアと旅が出来るなんて夢のようです!」


あ、これ多分ストーカーだ。

やばいやつだ。

なんて言おうか悩んでいたら、思っていることが口に出てしまう人が隣にいた。


「お前、それストーカーじゃねえか。

気持ち悪りぃ、、、。」


ジェイクがドン引きしている。

クズを見る目でライルのことを見ている。


「ストーカー?

そんな物ではない。

純粋に彼女のことを守る騎士(ナイト)さ!!!」


甘酸っぱい恋バナをしているつもりだったが、まさか犯罪を暴いてしまうとは、、、。


それからライルはリーアの素晴らしさ、好きなところを僕たちに語ってくれた。

リーア日記なるノートを手に持ちながら、、、。

魔王様が戻ってくるまで10分程だったが、僕には数時間に感じられた、、、。



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