第34話 大事件発生!!?? 後編



小一時間掛け、牛のような生き物はシチュー、ステーキなどに調理されていた。

火を起こしたり、水を運んだりするのも魔法で出来てしまうので便利だと思った。


「その魔法はこうした方が良いぞ。」


意外にも人の世話を焼くタイプらしい魔王様は、ライルに魔法を指南していた。

部下に慕われているのはこう言うところなのかもしれない。


「おお!美味そうだな!!!」


水浴びからジェイクが帰ってくる頃には、もう全ての準備が終わっていた。


「せっかくだからさ!

これも開けちゃう?」


食事の中盤ごろに、リーアが瓶を取り出した。


「お!ワイン持ってきたのか!!!」


「でも、グラスが無いですよ?」


僕の言葉を聞いた魔王様の手が光る。


「これで良いか?」


手には5つのワイングラスが握られていた。


「さっすが!!!魔王様!!!サンキュー!!!」


ジェイクがグラスを受け取り、全部のグラスにワインを注いで配る。


「旅の成功を祈って!かんぱーーーい!!」


久々のアルコール、楽しい仲間たち、キャンプのような雰囲気の中で忘れていた。

僕は、、、、、酒が弱い、死ぬほど弱い。

二杯目を飲み終えた辺りから記憶を失った。






「コウ!!!コウ!!!起きろ!!!」


ジェイクの声で起こされた時、森の中は明るかった。

体感だと昼前くらいだろう。


「おはようございます?」


寝ぼける僕の肩を掴んで、ライルが叫ぶ。


「タクシーがありません!!!

位置を把握することは出来ませんか!!??」


ライルの言葉が僕の意識を現実へと引き戻した。

タクシーが、、、ない???


「嘘でしょ!!??」


昨日タクシーを停めたところへ走る。

草が倒れ、たしかにそこに車があった証だけが残されていた。

森の奥へとタイヤ痕が少し続いていたが、途中で消えていた。


「嘘、、、。」


全身の力が抜け、その場に座り込んでしまう。

仕事に必要不可欠、旅にも必要なタクシーが消えた。

車内にあった僕の全財産も共に、、、。


「コウさん!!!

位置を把握することは出来ないんですか!!??

リーアの行方はわからないんですか!!??」


先ほどよりも大きな声でライルが叫ぶ。

リーア???

そういえばリーアの姿が先ほどから無い。


「リーアさんがどうしたんですか!!??」


「覚えてないんですか!!??

昨晩、リーアはタクシーの車内で寝たんです!!!

近くを探しましたが、居ません。

リーアはまだタクシーの車内にいるはずなんです!!!」


全身から血の気が引いていくのを感じた。

リーアさんが消えたタクシーの中に!!??




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