第33話 大事件発生!!?? 前編



「すいません、、、僕のせいで、、、。」


現在、僕たちは地上を走っていた。

未開の土地で、周りには木々が生い茂っている。

3人には魔王様が酔い止めの魔法を掛けてくれていたが、それでも空を飛ぶのはやめた。

僕が周りに興奮しすぎて、全然進まないからだ。


「飛んでも良いのだぞ?」


魔王様はずっとそう言ってくれるが、僕のせいで旅が長引くのは申し訳なさすぎる。


地図を見せてもらうと、この世界には大きな大陸は1つだけだった。

大陸の周りには大小様々な島があり、ナギリスと魔王城は同じ島にあった。

大きさはどうやら北海道くらいみたいだ。


島は大陸の西側にあり、目指す場所は大陸の東側。

魔王様の主な活動範囲は大陸の西側で、東側には行ったことがないそうだ。

知らぬ場所には飛ぶのは危険も伴うし、この人数では厳しい、らしい。


「そろそろ休もうぜ?

俺、腹減ってきた!!!」


時刻を見ると、もうすぐ夕方になりそうだった。


「どこか拠点にしやすい場所に、停車しましょうか!」


川が近くにある洞窟を発見し、そこで夜を明かすことになった。

タクシーの中で寝るのは一人、二人が限界なのでどうしても寝場所の確保が必要だった。


「俺は狩りをしてくる!

この中なら動物でも、魔物でも、何かしら居るだろ!」


そう言うとジェイクは森の中へと入っていた。


「私は川で水浴びしてくる!

ライル、行くわよ!」


「えっ!!??

お二人で水浴びするんですか!!??」


素朴な疑問が口に出てしまい、リーアに睨まれる。


「見張りよ!見張り!

ライルは絶対に私の水浴び覗かないんだから!」


「リーアの嫌がることはしないよ。」


ライルはジェイクには厳しいが、リーアには紳士的な対応をしていることが多い。

女性には優しいようだ。




「ライル!!!

これ捌いてくれ!!!」


二人が水浴びから戻ってきて、火を起こし終えたところでジェイクも戻ってきた。

血塗れのジェイクは、肩に茶色い毛の塊を担いでいた。


「それはなんだ?」


「わかんねえ!

牛に似てたから、多分美味いだろ!」


ジェイクが担いできた生き物をよく見ると、確かに牛っぽい顔だった。

しかし、おでこには三つ目の目があり、僕が知っている牛ではなかった。


「これは、、、食べられそうだぞ。」


ライルが眼鏡を掛けて、牛を観察していた。


「どうしてわかるんですか?」


「この眼鏡は鑑定の能力があるんですよ。

一応国宝となっているのですが、国王に貸りました!」


国宝ホイホイ貸りるな!!!貸すな!!!


「こちらで夕飯を作りましょう。

ジェイク、お前は水浴びをしてこい。」


「血塗れだもんな〜俺!」


大笑いしながらジェイクは川へ向かい、僕らは夕食の準備を進めた。

自分の分の食料+αがトランクの中で眠っていることは何となく言えなかった。



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