第28話 旅への準備 後編



リュックを背負い、街を目指す。

到着してすぐに、道具屋へと足を運んだ。


「これ!これ!」


初めてジェイクたちを乗せた時に、ライルが使っていた財布を手に取る。

金銭は基本タクシーの中で袋に入れて保管していたが、買い物に出る時に不便だった。

ポケットに適当に入れた小銭は、取り出しづらかったのだ。


「これ、いくらですか?」


店主らしきおじさんに声をかけた。

白髪に、丸メガネ、強面なのが道具屋っぽい。


「それか?30ペイズだ。」


タメ口!!!

RPGの道具屋っぽさがあって良い!!!


「これでお願いします!」


リュックの中から30ペイズちょうどを店主に手渡した。


「おお、まいど。」


そっけないのも良い!!!

店主に感動しながら店を後にし、一度自宅に戻った。


「さすがに全財産を家以外で出すわけにはいかないからな、、、。」


リュックの中身は僕の全財産だった。

財布の値段がわからなかったので、全部持って行った。

本当はその場で財布へ移し替えたかったが、不用心過ぎると思ってやめた。


「さて!身軽になったし、もう一度街へ行かないと!」


物を運ぶ手間を考え、今度はタクシーで出かけた。

旅をしたことがないので、準備は難航。

旅行とは訳が違うし、寝泊まりは野営かタクシーの中だろう。


「食料、水、寝袋、生活用品はオッケーかな?

あとは、、、一応アレを買っておくか!」


食料は日持ちする物を中心に、1週間分くらい買い込んでおいた。

水はもっと多く買った。

今日ほど荷物が無限に入るトランクに感謝したことはない。

足りなくなった時は魔王様、勇者一行なら何とかしてくれるだろう。


「こんにちは!」


アレを求めて僕が尋ねたのは、薬屋だ。


「回復薬はありますか?」


「こちらです。」


店員が案内してくれた棚には、大中小色とりどりの瓶が並んでいた。

瓶の中はどれも液体で満たされている。

ステンドグラスのように綺麗だった。


「各種3本ずつください!」


結構な額の買い物になったが、魔王城への運転でお金はたんまり稼いでいる。

余裕で足りた。

さすが最高難度のダンジョン、運賃は街とは桁違いだ。


「タクシーの中は安全だけど、降りることもあるだろうし、、、念のためな。」


旅の準備を終えた僕は、夕飯やお風呂に早めに済ませていつもより早く就寝した。



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