第27話 旅への準備 前編



神と別れ、みんなのところへと走って戻った。

30分ほど離席してしまった、、、。


「コウ!腹痛かったのか!!??

大丈夫か!!??」


ジェイクはアホだけど誰にでも優しい。

体格も、性格も、勇者に向いていると思う。


「ありがとうございます!

実は車の改造をしてたんですよ!」


ニッコリとしながら、リーアを見る。


「5人乗りにしてきましたから、リーアさんも一緒に行けますよ!」


リーアの顔が上からどんどん青くなる。


「良かったな!リーア!」


ジェイクがリーアの頭をワシワシと撫でる。

髪の毛がぐちゃぐちゃだが、そんなことを気にしている余裕は無さそうだ。


「それぞれ用意をしておけ、明日出発する。

タクシーでも長旅になるだろう。」


「おう!明日な!」


ジェイクは“敬語“と“恐れ“を知らないらしい。

まるで友達のように魔王様と話す。


「生意気な小僧め、、、。

まあ、良い。

コウ、明日お前の自宅の前で逢おう。」


突然魔王様の体が中心に向かって縮んで行く。

そのまま野球ボールくらいの黒い塊になって消えた。

魔王城へと帰ったのだろう。


「俺らも準備しようぜ!

じゃあな!コウ!」


「明日はよろしくお願いしますね。」


勇者一行も明日に備えるらしい。

3人とすれ違う時、リーアだけが僕のすぐそばを通った。


「二度と余計なマネすんなよ。」


無邪気で可愛らしい見た目からは、想像出来ないほどの低くて怖い声だった。

魔王様並だった。


「コウ、今日は帰ってゆっくり休みな!」


恐怖で動けなかった僕を、国王様が帰宅するように促してくれた。

膝の震えをなんとか抑え、ゆっくりと自宅へと向かった。


「準備って、、、何したらいいんだろう?」


自宅のソファーに座って考える。

服はこれがあるから必要ないし、、、やっぱり食料とか?

勇者と魔王が一緒に居るし、タクシーの中に居れば傷つくことはないから武器は不要か?


「街に行くか!」


とりあえず街を見て周り、必要そうな物を買うことに決めた。




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