第24話 勇者参上 後編



「僕もですか!!??」


魔王様から飛び出した予想外の発言に、頭が真っ白になる。


「人間を傷つけるなと言ったのはお前だろう。」


いつの間にか僕が発案みたいになってるじゃん!!!

事の重大さに意識が遠のく。


「またタクシーに乗れんのか!!??」


すっかりタクシーを気に入っていたジェイクが、キラキラした目でこちらを見ていた?


「それは良いな、タクシーで向かおう。」


魔王様がニヤリと不敵な笑みを浮かべる。

外堀がどんどん埋められていく。


「あれ?でもタクシーって4人乗りじゃなかったかしら?」


リーアの言葉に希望の光が差し込んだように感じた。

彼女が女神様のように輝いて見える。


「そうなんですよ!!!

僕、魔王様、ジェイクさん、ライルさん、リーアさんの5人ですよね?

定員オーバーなのでお乗せする事が出来ません!

いやー、残念だなあ!」


逃げ道を見つけ、顔が緩む。

危険な旅になることは間違いないだろうし、この人たちと行動したくない!!!


「じゃあ私留守番するよ!

ジェイクはこんなんでも勇者だし、ライルは魔法使えるから居た方がいいよね?

私テイマーだから今回はそんな出来ることないし!」


リーアの言葉でジェイク、魔王様が僕を見て微笑んでいる。

これでタクシーで行けるだろう?って顔してる、、、。


「コウ、行ってらっしゃい!」


そう言ったリーアの笑顔は映画やドラマの犯人のようだった。

こいつ!!!自分が行きたくないからって僕を嵌めたのだ!!!

タクシーの乗車人数の話題に触れ、僕が定員オーバーと言い出すことを見越していた!!!

自分がこの件からスムーズに降りられるように画策していたな!!??

僕はリーアの手のひらの上でコロコロと転がされていたのか!!??


「くっ、、、!」


悔しいが何も反論することが出来ない!!!

タクシーが3人乗りだったら、、、せめて5人乗りだったらリーアも道連れに出来たのに!!!


「なら、5人乗りにしてやろうか?」


上空から聴き覚えのある声がして、僕は天井を見上げた。




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