第23話 勇者参上 前編



「この人が魔王なの!!??

イッケメーーーン!!!」


「油断するな!!!

襲い掛かって来るかもしれないぞ!!!」


「マジで魔王なの!!??

初めて見た!!!」


相変わらずの騒がしさに耳を塞ぎたくなる。

連絡先を聞こうとするリーア、杖を構えるライル、ベタベタ触るジェイクに囲まれて魔王様は心底嫌そうな顔をしている。


「王よ、他に適任は居らんのか?」


魔王様はお怒りのようで、国王様を睨みつけていた。


「もー!静かに!

魔王様怒ってるじゃん!」


国王様が怒るが、威厳が無さすぎる。

三人は全然聞いていない。

その様子を見て、隣で騎士団長が大きく息を吸った。


「勇者一行!!!

国王様、魔王様の御前ですよ!!!」


騎士団長の大きな声が城に響く。

一瞬で空気がピリッとした。


「お前も気に入った。

我の城で雇ってやっても良い。」


「遠慮します!!!」


先ほどよりも大きな声で、魔王様の誘いをお断りしていた。


「聞け、お前たちは我と共に妹の元へと行く。

人間と魔物の共存のためだ。

黙って着いて来い。」


魔王様は説明が苦手なようだ。

これじゃ三人には伝わらないだろう。


「いいぞ!」


「はーい!どこでも一緒に行きます!」


「国王様のご命令とあれば。」


さすがアホ×3。

もっと詳しく聞きたいとか無いらしい。

まあ、僕には関係無いからどうでも良い。


「じゃあ魔王様、勇者御一行様、後はよろしくお願いします!

良い知らせを待ってますね!」


精一杯の笑顔で4人を見送る。

そんな僕を魔王様が不思議そうに見えている。


「お前も行くのだぞ、コウ。」


耳から入ってくる言葉を、頭が理解するのを拒否していた。



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