第22話 国王と魔王 後編



「この契約、魔族側に利点が無いのでは?」


羊皮紙を手にし、内容に目を通した王が言う。


「、、、無いな。」


魔王様多分そこまで考えてなかったと思う。

勢いでここまで来ちゃってると思う。


「魔族のパワーや、空を飛べるなどの力を畑仕事に活かして頂くのはどうでしょうか?

他にもできる仕事があれば、お願いしたい。

平和条約、、、というより〝共存〝という道を歩みたいのですが、、、。」


国王様!!!

チャランポランだと思ってたけど良い人だったのか!!!


「ナギリスの王よ、我はお前が気に入った。

今後この国に危害をもたらす者があれば我が排除しよう。」


血生臭い発言だが、魔王様なりに国王様に敬意を払っているっぽい。


「ありがとうございます!!!」


魔王と家来感が拭えないが。


会合はそれぞれが自分の大臣や、部下に報告をしてから共存の道を目指そうということで落ち着いた。


「ああ、ひとつ忘れていた。」


国王様と別れる際に魔王様が何かを思い出したようだ。


「我には妹が居る。

先代から魔王を継ぐ際に妹と大陸を分け合った。

あいつを説得せねば共存の道は無い。」


「なんで!!!もっと早く言わないんですか!!!」


まとまりかけた共存の道がダメになりそうで僕は少々言葉が強くなってしまった。


「すまん、忘れていた。」


「申し訳なさそうな顔くらいしてください、、、。」


言葉では謝罪していたが、ビックリするくらい表情が変わっていなかった。


「まあ我が説得しよう。

失敗したら力づくで納得させる。」


このお方は実の妹にも容赦はしないらしい。


「そちらからも代表を出せ。

人間の意見も妹に聞かせよう。」


魔王様の言葉に、国王様は隣にいた騎士団長を

チラッと見た。

騎士団長はすごいスピードで首を横に振っていた。


「私を行かせると仰るのならば、今日限りで退職させて頂くか、自害致します。」


絶対に行きたくないらしい。


「辞めちゃうのは困るよ〜!

あ!そうだ!」


国王様が何かを閃いたらしい。


「勇者一行をお供させましょう。」


勇者一行って、、、。

嫌な予感しかしなかった。



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