第21話 国王と魔王 前編



ナギリスの城、国王との謁見。

レッドカーペットの先の玉座には何故か魔王様が座っていた。


「お前は我より偉いのか?」


謁見後すぐの一言で、国王は玉座を差し出した。

魔王様は足を組み、偉そうに座っている。

国王は青ざめている騎士団長の後ろに身を隠し、顔だけ覗かせていた。


「お前がこの国の王か?」


魔王様に聞かれた国王がすごいスピードでうなづいてる。


「はい!魔王様!」


会ってすぐだが、もうすっかり魔王様の家来のようになっていた。


「我はこの国と平和条約を結ぶ。

良いな?」


どうやらナギリス側に拒否権を与える気は無いらしい。


「平和条約、、、?」


突然の提案に国王はポカンとしている。

そりゃそうだ。


「そこのコウが我らの人間に対する行いを快く思っていないと言うからな。

もう人間を捕らえぬ、殺さぬ、傷つけぬ。」


魔王様の言葉に国王が僕を見る。


「コウ、、、何者なの?」


ただのしがないタクシー運転手です、、、。


「書類を用意した、署名せよ。

人間に危害を加えた魔物は我が殺す。

我が人間に危害を加えた際には制裁が下る。

そういう契約魔法を掛けた。」


魔王様が右手の人差し指を立てると、ジワジワと紙が現れた。

教科書かどこかで見た羊皮紙というやつに似た茶色の紙だった。


「我が先に署名しておこう。」


そう言うと、手にフッと息を吹きかける。

すると、羽のついた筆記具が現れた。

魔王様の魔法に見惚れていた。


「え!!??」


次の瞬間、僕は自分の目を疑った。

魔王様が自身の手の甲を筆記具で刺したのだ。


「血液で署名することで契約魔法は完成する。

王よ、お前も署名しろ。」


この世界の魔法バイオレンスすぎる、、、。




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