第11話 三人目の乗客 中編
僕は今なぜか王様とテラスの円卓に座り、お茶を飲んでいる。
珍しいらしいクッキーのようなお菓子と、紅茶が並ぶ。
勧められてお菓子を少し食べたが本当に美味しかった。
もっと食べたいけど、何かマナーとかあったらわからないからやめておいた。
「ごめん、ごめん!
タクシーって乗り物乗ってる人連れてきて!ってお願いしたら、なんか罰したいのかなって勘違いされちゃったみたい!」
大きなお腹を抱えて王様がケラケラと笑う。
「何かの罪で連行されたのかと思い、驚きました、、、。」
僕の返答に更に笑い声が大きくなる。
「いや!罪は罪だよ!!!
申告しないで勝手に営業しちゃダメに決まってるじゃん!!!
面白いこと言うね、コウ!」
いや、罪なのかよ!!!
じゃあ騎士の対応が正解じゃねえか!!!
とツッコミを入れたいが王様には言えない。
神にはスラスラと言えたのに。
「申し訳ありません。
異国から来たもので、この国の法律を知らず、、、。」
罰せられるのは嫌だったので、言い訳しておくことにした。
「ああ!やっぱり異国の人なの?
不思議な乗り物乗ってるからそうじゃないかな〜とは思ってたんだよね!
名前も珍しいし!」
さっきから思ってたけど、この王様すっっっごいフレンドリー!!!!!
「あのタクシーってやつさ!
空飛んだり透明になったりするって本当?」
「はい、目的地に合わせて飛んだり、透明になったりしてます。」
王様まで噂が広がってて驚いた。
「わしも乗っていい?」
「、、、え?」
「陛下!!!
あのような不可解な乗り物にお乗りなることはお辞めください!!!」
王様と僕がタクシーに向かっていると、僕を連行して来た人が必死で止めに入る。
ナギリス国の騎士団長らしい。
「えーー。
なんでダメなの?
面白そうじゃん!」
「ダメなものはダメです!!!
万が一、陛下の身に何かあれば困ります!!!」
もっと言ってやれ騎士団長。
この王様お気楽過ぎるぞ。
「騎士団長?
このタクシーという乗り物には国民が関心を持っている。
民のことを知り、民のために国を運営するのが我の勤めだ。
タクシーの安全性を確かめなければ、大切な国民を乗せことは出来ん!!!」
いや、すでに大勢乗せました。
「陛下、、、。
そこまで国民のことをお考えだったのですね、、、。」
あ、ダメだ。
この人たちが甘やかすからこんな王様になったんだ。
今理解した。
「では、私も陛下と共にタクシーに乗ります!!!
陛下は私がお守りします!!!」
「騎士団長、、、!!!
ありがとう!!!」
丸め込まれた騎士団長も共に乗車することが決定した。
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