第12話 三人目の乗客 後編



「おお!これがタクシーか!」


街の北には林があり、奥には山々が広がっている。

タクシーは林の中に停めていた。


「陛下、本当にお乗りになるのですか、、、?」


騎士団長の顔が青くなっている。

多分怖いんだな。


「安全性については保証します。」


神様がくれたし、落ちたりはしないはず。

何かにぶつかっても車体も車内も傷つかないって言ってたし。


「早速乗せてくれ!!!

ここから城まで透明になって空を飛んでくれ!!!」


大興奮の王様は助手席へと乗り込む。

騎士団長は後部座席だ。


「では、ナギリス城まで。」


エンジンを掛け、ブレーキから足を離すと車体が少しずつ浮いていく。

アクセルを踏むと前進した。


「見ろ!!!

騎士団長!!!浮いたぞ!!!進んだぞ!!!」


「ひえええええ!!!」


俺を連行した時の偉そうな態度は見る影もない。


「それで方向を調整しているのか?」


王様はハンドルに興味を示した様子だ。

ジロジロと運転席を見てくる。


「はい。

これを右に回せば右に、左に回せば左に方向を変えられます。」


「ほー!えいっ!!!」


王様が急にハンドルを握り、右に思いっきり回した。


「えっ!!??

うわ!!??」


急いでハンドルを戻す。


「はっはっはっは!!!!!

本当だ!!!

曲がったな?」


「二度とハンドルに触らないで下さい!!!!」


騎士団は後部座席で気を失った。




「いやー!楽しかった!!!

ありがとう、コウ!!!」


城に着くと王様は満足そうに笑っていた。

多すぎる乗車賃にビビったが、ありがたく受け取っておいた。


「コウ、他に欲しい物はないか?」


どうやら褒美をくれるらしい。


「営業許可と、駐車場が欲しいです。

駐車場って言うのはタクシーを停めておける場所のことです。」


甘えられるのなら甘えておこう。


「よし、わかった!!!

大臣、コウのために家を一つ用意してくれ!

タクシーが停められる家を!

城の近くが良い!」


「え?家?」


「家が出来たらすぐに知らせる!

じゃあな、コウ!」




こうしてなぜか僕は住居、営業許可、駐車場を一気に手に入れた。


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