第10話 三人目の乗客 前編
僕は今兵士によってナギリスの国王の前に突き出されている。
手は縄で後ろに縛られ、自由に動くことは出来ない。
僕が何をしたって言うんだ!!!
ジェイクたちを魔王城からナギリスに届けた後は、一般市民を運んでいた。
最初は遠巻きに見てる人や、逆に興味津々で話しかけてくる人ばかりだった。
最近では街の人々に受け入れられ、お年寄りの買い物の足になったり、観光客を運んだりしてそこそこ順調に稼いでいた。
拠点となる宿も決め、仕事を終えて寛いでいると突然兵士が3人入ってきた。
「タクシーなる怪しい乗り物の使い手はお前だな!!!」
「え!!!???
はい!!!」
「捕らえろ!!!!!」
僕が返事をすると、兵士の一人に床に押さえつけられた。
動けない間に手と足を縄で縛られる。
「このまま王城へと連行する!!!」
二人の兵士に担がれ、宿の外に停まっていた馬車の荷台に投げ入れられた。
こんな事になるならタクシーの中で寝泊まりしておけばよかった!!!
透明になるから人から見えないのに!!!
睡眠の質と快適さを優先したらこれか!!!
「陛下、タクシーという乗り物の使い手を連行して参りました。」
城に入る前に目隠しをされ、体感で15分は歩かされたと思う。
座らせられ、目隠しを外された。
明るさに慣れるのに時間が掛かったが、見えるようになるとそこは大きな部屋だった。
中央にはレッドカーペットが敷かれ、奥には大きな椅子に老人が座っている。
赤いマントをつけ、白髪に白髭、頭には王冠が乗っていた。
漫画やアニメで見た王様、王様がいる部屋、そのものだった。
「ご苦労。
お主、名は何と言う?」
「佐伯 光です、、、。」
恐る恐る王様の質問に答えた。
「サエキ コウ?
珍しい名だな。
なんと呼べば良い?」
「コウと呼んでください。」
友達かよ!!!!!
「陛下、この者どう致しますか?」
僕を連行した騎士に睨まれる。
もしかしてやばい?????
違法営業とかだった?????
「どうって、、、。
一緒にお茶でもする?
あと、ずっと聞きたかったんだけどコウなんで縛られてんの?
悪いことでもしたの?」
「へっ!!!!????」
王様の予想外の言葉に先ほどまで僕を睨んでいた騎士があほ面をしていて面白かった。
ざまあみろ!!!!
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