第7話 二人目の乗客 前編



神が降りた後、お腹が空いた僕はナギリスで腹ごしらえをした。

空から見えた城の前の広場で、屋台料理を楽しむことにした。

タクシーは城の裏手の林の中に駐車した。

駐車中でも透明にする機能は使えたようだ。


「これ、一つ下さい。」


言葉は通じるが、この国の文字は読めない。

メニュー名が読めないので“これ“と指差して注文をする。

海外旅行に来てる気分だ。


「あいよ!!!」


と言っておじさんから渡された料理は肉まんのような白いパンに魚と、葉物の野菜、茶色いソースが掛かっていた。

本当は肉を食べたかったのだが、知らない国で知らない肉を食べる勇気がなかった。

まだ魚の方が抵抗なく食べられる。

言葉や、食文化などまだまだ知らないことが多すぎる。


ベンチに座ると、早速パンにかぶりつく。


「うっっっま!!!!!」


思わず声が出てしまう程の美味しさだ。

ソースはバーベキューソースのような味だ。

これは肉の方も食べたくなるな〜。


「よう!」


僕が座っているベンチの隣に男が座ってきた。

RPGに出てくるキャラクターみたいだ。

銀色の鎧のような服を着ていて、金の髪に青い瞳をしている。

腰には大きな剣が見えた。


「どうも。」


コミュ障が発動する。


「さっき空飛んでたやつだろ?

急に消えたからびっくりしたんだぜ!

あの乗り物は何て言うんだ?

初めて見た!」


この人、めちゃめちゃ声がでかい。

周りの人にすっごい見られる、無理。


「あれはタクシーです。

お客さんを目的地まで運ぶ乗り物です。」


「タクシー???

初めて聞いたな!

面白そうな乗り物だ!」


この世界にタクシーが存在していないのは、どうやら本当のことみたいだ。


「俺も乗ってみたいんだが、良いか?」


お客さんは欲しいけどこいつか〜!!!

うるさいし、距離感近いし、なんか嫌だな〜。


「よし!行こう!

タクシーはどこだ?」


男が立ち上がる。

まだ返事をしていないのに、二人目の乗客が決定してしまった、、、。


「ジェイク!

何をしている!

寄り道している暇はないんだぞ!」


「も〜!

どこ行ってたのよ!」


男女の二人組が話しかけてきた。

お客さんはジェイクという名前らしい。


「ジェイクがご迷惑をお掛けしませんでしたか?」


どう見ても職業は魔法使いですって服と帽子を身につけ、杖を持った男の人が僕を気遣ってくれる。


「いえ、特には。」


「ごめんなさい。

この人ちょっと強引なところあるから。」


その洋服で何を守れるんだろう?冬はどうしてるんだろう?と思う露出多めの女の人だが、どうやら良い人のようだ。


「迷惑なんて掛けてねえよ!

な?タクシーの人!」


「タクシーの人?

お前なんだその呼び方は!

俺はライルと言います、こっちはリーア、そしてこのアホはジェイクです。」


「これはご丁寧にどうも。

俺は佐伯 光です。」


「サエキコウさん?

珍しいお名前ですね!」


佐伯と光の間に空白を入れてほしい。

この世界苗字って文化ないのか?


「コウと呼んでください。」


「コウ!タクシー乗せてくれよ!

ライルとリーアも乗ろうぜ!!」


「タクシー?

タクシーってなんだ?」


「お客さんを目的地まで運ぶ乗り物です。」


2回目の説明を済ませた。


「魔王の城まで運んでもらおうぜ!!!」


「「「え?????」」」



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