第2話 システム
「お前のいた世界はね、人が増えすぎたの。
だから俺ら抽選して当選したやつを間引いてんの。
他の人が少ない世界に呼んで、人口を調節してんの。
どこかの世界だけ発展するのはバランス悪いし、他の世界に悪影響なわけ。
ここまではわかるな?」
いや、わかんねーよ!!!!!!!
って言い掛けたが、とりあえず最後まで聞いてから質問しようと思った。
「で、お前は当選したわけ。
今からお前が行く世界は魔王が支配してて、魔物が人殺しまくるから過疎化しちゃったの。
当選したのにそんな怖い世界行ったら死ぬだけじゃん〜!って思うじゃん?
だから特典で良いものあげてんの。」
どんな良いもの貰ったら、勝手に違う恐ろしい世界に連れて行かれることと釣り合う?
何を貰っても行きたくない。
「俺らが魔王殺せば解決するんだけど、神様って自分らが作った世界に干渉しすぎるのNGなんだよね〜。
神様同士でやりたい放題になっちゃうじゃん?
だから元々その世界にいたやつを強くするか、他の世界のやつ連れてきてるわけよ!」
僕に全然関係ない事情で連れて来られてることに驚愕した。
若くして死んだからかわいそうで転生とかじゃないんだ、、、。
「納得は出来ませんが、理解は出来ました。
その上で拒否したいです。」
僕は挙手をしてから発言した。
「あー、拒否したい?
元の世界のほうが良かった感じ?
でも拒否出来ないんだな〜!これが!
元の世界でお前死んでんの!」
悪びれる様子もなく言う。
「死んでんじゃねえか!!!!!」
これにはさすがにツッコミを入れてしまった。
「いやいや!お前周りの人間が急に消えたらどう思うよ!怖いじゃん!
失踪とかにしようかな〜って案も出てたんだけど、警察とか大変かなって思ってこれに落ち着いたんだよね〜!
大丈夫!お前次の世界では生きってから!な?」
笑いながらとんでもないこと言いやがる。
「で、お前特技とか資格とか何かある?
まだ書類届いてなくて手元にないんだよね〜。」
見せられたバインダーに挟まれた紙は、白紙だった。
「いやいやいやいや!!!!!
まだ納得してないから!!!!!
何次の話始めてんの???」
僕がツッコミを入れると、神がバインダーを振り上げた。
振り下ろされたバインダーは僕の脳天を直撃した。
「しつっっこいんだよお前!!!!!
元の世界には戻れないの!死んでるから!
次の世界に行くしかないの!!!!
神は世界に干渉出来ないからお前は中途半端な状態なの!!!
死後の世界にも行けねーからお前永遠にこの世界にいろよな!!!!」
永遠にこの世界????
天井も、床も、壁も、何もない。
ただの真っ白世界に永遠に???
呆然とする僕の姿を見て、神は舌打ちをした。
「チッ!何度も同じ話しさせんなよ。
こっちも暇じゃねえんだわ。」
酷すぎる。
「で?資格は?特技は?
何回も聞かせないでくれる?」
イライラしてるのか、ペンでバインダーをガンガン叩いている。
圧迫面接のようだ。
「特技はありません、、、。
資格も特にありません、、、。
あ!運転免許ならあります!AT限定ですけど、、、。」
自分で言って情けなくなる。
21年間生きて、自分には何もない。
元の世界でもコンビニでバイトするただの大学生だった。
「特技無しかよ!!!!!
運転免許か〜。」
神は懐に手を入れると、小さな本を取り出した。
「配送ドライバーか、タクシー運転手だな。
俺のオススメは断然タクシー運転手!!!
配送ドライバーだと荷物の積み下ろしとかあるけど、お前無理そうじゃん。」
僕の腕を指差して言う。
たしかに、筋肉があるほうではない。
「就職ですか?」
「就職っていうかジョブチェンジ?みたいな?
格闘技とか剣道とかやってると勇者を選べるし、看護師ならヒーラーとかかな〜。
何も特にないやつに勇者やらせる神もいるけど、俺はやらせない。
死なせたくないし。」
あれ?割りといい神様???
「お前のタクシーのスペック確認する?
ちょっとは安心出来ると思うけど。」
懐からスマートフォンのような物を取り出して、画面を見せてくれた。
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