異世界でタクシー始めました!!!
enmi
第1話 白い世界
目が覚めると真っ白な空間にいた。
天井も壁もなく、どこまでも真っ白な空間。
手を伸ばしても床に触れることはできないので、この空間に浮いていると表現するのが正しいかもしれない。
昨日慣れない酒を飲んでからの記憶がない。
服装は昨日のまま、黒いパーカー、白いTシャツ、デニム、履き慣れた白いスニーカー。
酒を呑んで酔ってこの空間に来たのか?
ここはどこだ?え?天国とかか?
「おーーーーい!!!」
叫んでみると声がどこまでも響いていった。
この空間はどこまで続いているのだろう。
「あ!起きた?」
不意に背後で声がした。
男の声だった。
知らない声に恐怖で身が固まる。
振り向きたい気持ちと、振り向きたくない気持ちが混ざり合う。
「お?無視か?」
声に苛立ちが含まれたのがわかった。
僕はゆっくり、ゆっくり体ごと後ろを振り向いた。
「やっぱ聞こえてんじゃねぇか。無視すんなよな〜。」
そこには僕がいた。
いや、僕は僕だから目の前のこれは僕じゃないんだけど。
首から上が僕と同じなのだ。
真っ白の袴姿で白い足袋と下駄を履いた僕が、直立で腕組みをして浮いていた。
「佐伯 光(こう)だよな?おはよう!」
僕が僕の名前を呼ぶ。
「おはようございます。」
反射的に挨拶を返してしまった。
「おー!挨拶はできるタイプな!良いじゃん!!!そういうやつ好きなんだよ俺!」
顔が僕なのに性格全然僕と似てなくて違和感ありすぎ!!!!
「えっと、、、どちら様でしょうか?」
僕の問いに袴姿の僕がポカンとする。
そして、大笑いした。
「どちら様ってどう見たって神様だろうよ!!!ギャグ???腹いてえ〜!!!」
お腹を抱え、目に涙を浮かべていた。
笑いすぎたと思う。
「光、当選おめでとう!で、お前特技とか資格とかある?」
笑いながらどこからかボールペンとバインダーを取り出して僕に聞く。
「いや、1からちゃんと説明してくれよ!!!
神様?神様って僕の顔してんの???
てかここどこ!!!日本か?天国か?僕死んだのか?
何に当選したんだよ!!!!
1から、順序立てて説明しろーー!!!」
僕は思わず神様相手に怒鳴ってしまった、、、。
「お前、そんな大きい声も出せんのな。
もっと大人しいやつかと思ってたわ。
言葉が足りないとか、説明不足とか悪い癖だってよく言われるんだよ、悪いな!」
自称神様は僕の気迫に驚いた様子だった。
怒られると思ったが、謝ってくれて拍子抜けした。
「1からか〜。どこから説明すっかなあ。」
そう言いながら目を瞑り、ペンで頭を掻く。
しばらくすると目を開け、僕の顔をじっと見た。
「システムからだな!!!!」
笑顔で言われた。
何もかも意味がわからない。
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