第11話 チャチャチャマッチャがマッドで待て待て狂ッテ狂ッタチーパーチー!(後編)

 ラヴがどうなったかはわからない。ただ言えることは、今ここにいるのが三人だということ。私たちは誰一人言葉を口にせず黙って歩いていた。疲れきっていたのもある。いつも何はなくとも喋っているダイナでさえ表情が重い。私はここに連れて来られた頃のラヴについて傍迷惑なウサギ程度に考えていたけれど、これが不思議なもので共に戦い、生き残ってきた今となってはかけがえのない戦友だった。彼が奴隷から解放されるためにMBRに参加し、何故だかどうして私なんかを選び、そして私たちを守って爆発した。勝手すぎる。もう私がここにいる意味なんてないじゃん。せめて私の知らないとこで勝手してよ。だめだ。泣いちゃう。


「泣くな」

「ユトしゃぁん、わたし」

「まだ死んだと決まったわけじゃない。今は信じろ。あのバカならまたどっからかひょっこり顔出すだろって。だから泣くな」

「腹、減らねえか。朝からなんも食ってねえ」

「お前は黙れ」


 二人は切り替えてる。そうだよね。私がしっかりしなきゃ。それにユトさんの言うとおり、あいつはまだ生きてるかもしんない。いや生きてる。次あったら殴る。決めた。


「さあて嬢ちゃん。どうしますかな?」

「このチームはお前のオーダーにかかってる。ウサギ野郎の不在中はよろしく頼むぜ。アリス」

「了解。次の収縮エリアはここから北東のココ。旧市街エリアです。とりあえずここを目指しましょう。ただ」

「なんだ?」

「途中にレストランがあります」

「アリス、お前まで」

「食事は大事です。腹が減ってはというやつ」

「だいたい営業ってんのか? こんな馬鹿げた島でレストランなんて」

「以前、ミハイロヴィチってネズミがやってる武器屋にラヴに連れってもらったことがあって。それがココほら。今は安置外ですけどこのマップモニターには表示されてるんです。わざわざ店名が載ってるポイントはおそらく運営側の息がかかってる謂わば中立区域ではないでしょうか」

「嬢ちゃんそりゃあ、冴えてるぜ! ああ、もうヨダレが止まらねえ!」

「しかしなあ……この《メニーオーダーズ》って名前、めちゃくちゃ引っかかってんだよなあ」

「ダイナ、行っちゃいました」


 ユトさんは大きなため息を吐いた。ラヴ、待ってて。私たちは必ず最後まで生きる。でもこの四人は誰一人だって欠けたくない。全員で帰る。だからラヴも絶対生きてて。スッと抜けていった一迅の風。それはあたかも彼の返事のようだった。俺たちの戦いはこれからだ!(他意なし!)

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