24.やっぱり人間が一番怖い?
スマホをブレザーのポケットにしまい、溜め息を堪えてグラスを掴む。
何をやってるんだか。もしかしたら吸血鬼事件についても何か書かれているだろうかと、僅かながらに期待はしていたと言え。
自分で気分を害する行為をしておいて、どんどん暗い方へ転がり落ちて行く思考を阻もうと、リンゴジュースを飲み干しグラスを置く。
「ええ一気飲みですか?」
スマホでブラッドオレンジジュースの撮影中だった
「
私は苦笑交じりに答える。
「そうだね。気を付けるよ」
裁さんは写真はもういいのか、両手で構えていたスマホをしまって唇を尖らせた。
「そうですよ。勿体無い。
「君の言う通りだ。でもね裁さん。君の情熱はありがたいけれど、自分の願望の為に、人を巻き込むような事はしちゃいけないよ」
善意を切り捨てるような事はしたくない。けれど、こちらにも君の情熱に劣らない信念がある事は伝えなければと、言葉を継ぐ。
「
ジュースも飲まずにじっと聞いていた裁さんは、様子を窺うように口を開いた。
「……本当ですか?」
私はもう、苦笑いしか出来なくなる。
「これだけ言葉を使って伝わらないんじゃ、もう君の誘いを断り続けるっていう態度で示すしか、私には手が無いや」
「だって苦笑いばっかりで、ちゃんと笑わないんですもん。天喰先輩」
拗ねるように放たれたその言葉で、時間が止まったと錯覚した。
裁さんは躊躇うように目を泳がせると、そのまま少し、俯いて続ける。
「……その部員、私にとっては先輩に当たる方が、言ってました。今年の春、街に雨が降るきっかけにもなった、
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