6月27日
白組が優勝して、わたしたちは負けて、泣いてる子もいて、それで体育祭が終わって、すぐ六月になったら中間テストで、放課後はみいちゃんと一緒に図書室で毎日勉強、とかいって結局ちっちゃい声で喋って、そしたら大きい声で笑っちゃって、静かにしてくださいって言われちゃったりして楽しかった。
でも全然与野井さんには会えなくって、みいちゃんにグチったりしてたら、いつのまにか与野井さんに告白しちゃおうとかそんな話になっちゃった。全然そんなんじゃないんだけどってすごい言ったのに、みいちゃんはなんか楽しんでる感じ。
「誕プレあげちゃいなよ!」
「誕生日知らないもん……」
「え知らないの? 次会ったら絶対きいて!」
「むりだよ! 絶対むり、全然喋れないし、ていうか、そんなの急に言ったら引かれちゃうし、絶対むり!」
「えー、じゃあバレンタイン?」
「来年じゃん! ていうかたぶん彼女とか絶対いるよ、かっこいいもん」
「でもおじさんでしょー? 彼女いても絶対るみちゃんよりおばさんだし、男なんて結局若い子のほうが好きなんだから大丈夫だって!」
「おじさんじゃないから! 与野井さんはほんとにかっこいいの、おじさんって言わないで」
はあーい、ってみいちゃんは笑いながら返事。絶対わかってない! はあ、ってわざと大きくため息をついてみたらみいちゃんはまた笑った。
放課後の教室にはわたしたちだけしかいない。他のクラスにはまだ何人かいるみたいでたまに笑い声が聞こえるけど、それ以外は静か。外は雨だから、いつもは校庭でやってる部活も体育館だし、大事な話をするのにぴったりな感じ。でも話し相手が全然ぴったりじゃない!
「ていうかさ、与野井さん与野井さんって言ってるけどさ、下の名前知らないの?」
「え? 知らないけど……」
「なにそれ! ダメじゃん!」
「ダメって……だってそんなのきけないじゃん」
「きけないじゃん、じゃないの! きくの!」
わかった? ってすごい迫力のみいちゃん。大きくてキラキラした目。なんか、自分もこんなに強い子だったらよかったのに、って思った。
「あ、ねえもうすぐ五時半! 帰んなきゃ」
「ほんとだ」
帰ろ帰ろ、ってばたばた荷物をまとめて、廊下ですれ違った担任の先生にさようならをちゃんと言って、校舎を出たら雨もちょっとやんできててよかった。
もうすぐ夏。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます