第66話(追加)

 エルダーゴブリンジェネラル追撃もいよいよ佳境を迎えます。


 休憩中に奇襲してきた精鋭のゴブリンナイト率いる二百匹のゴブリンソルジャー群を撃破したアリシア達は周囲を警戒しつつ武器や防具類の装備や怪我を癒やし、体力の回復を待ちました。


「うちのパーティーは武器と防具の装備終わったよ。しかしまあ、アリシアちゃん強過ぎだわ〜。何処で修行したの? 」


「そうですか? 名もない村に有る近くの森で師匠に色々教わったんですよー」

《うむ、なかなかに充実した修行時代だったな》


 冒険者達はアリシアの強さの秘訣を聞きたがり雑談が始まります。


 当然、何パーティーかは周囲の警戒を怠らないようにしていましたが冒険者達はアリシアの強さの秘訣に興味津々でした。


「名もない村の近くの森……って、魔物の棲む森のルシオンの地とかじゃないよね? あの巨大な魔物が封印された魔境って言われてる……」


「はい、そこですよー」

《そうそう、辺境の中の辺境のだ〜れも来ねぇ魔境だよ》


「彼処って入れたの? 昔、度胸試しに入ろうとした馬鹿が透明な壁に顔面打ち付けて大量に鼻血出して涙目で帰って来たって笑い話が有ったような……」


《あー、あの壁に顔面打ち付けたら痛いわな。俺も暇潰しに壁に穴を空けようと無駄な努力したしなー》


「あー、師匠も外には出れませんでしたねー。何故か私だけ普通に入ってマッドベアとかと訓練してましたけどー」

《うむ、何故かアリシアだけ入れたんだよなー。アリシアのおかげで精神体の俺も外に出れたんだし》


「は?今、マッドベアと訓練してたって言った?あの銅級ランクの化物クマだよね? アレと訓練してたの? 」


「そうですねー、師匠が死んで二年間は、ほぼほぼ毎日一回はマッドベアを倒したり、ジャイアントラットやホーンラビット狩ったりしてましたよー」

《ふむふむ、ちゃんと毎日の訓練はしてたんだな》


「マジかよ~、アリシアちゃんて十歳だよな……八歳から銅級のモンスター倒してるってレベルどんだけなの? 」


《アリシア、レベルは伏せとけ。とりあえず分からんと言っとけ》


「え~と、レベルはどれだけかは分からないんですよー。ブックもあまり見ないので」


「そっか、そうだよな。他人のレベルを聞くのは失礼だったわ。済まんなアリシアちゃん」


「あはは、赤狼団のザナハとドラ、ゴブリンナイトなんかを討伐する程度のレベルではありますね」


《コラコラ、調子に乗るでないアリシア》


(すみません師匠)


「そりゃ心強いな。俺達はゴブリンソルジャーにギリギリのラインで勝てるか勝てないかって感じだし、もう格上のゴブリンナイトは簡便してほしいよ」


 冒険者達は賞金首やゴブリンナイトを瞬殺出来るアリシアの強さに安心感を覚える。


 アリシアの強さは冒険者達の生還率を上げ、アリシアの提供してくれた装備やポーションなどもこれからの闘いで生き残れるかの生命線だったりと、冒険者達のアリシアを見る目は信頼感に溢れていた。


「おい、先行してた偵察隊が戻って来たぞ!」


「では、エルダーゴブリンジェネラルの情報を」


「伝令!エルダーゴブリンジェネラルは多数のゴブリンナイトと共に東の洞窟前に布陣、こちらを迎撃する構えのようです」


「多数のゴブリンナイトだと?マジか?」


「エルダーゴブリンジェネラルとゴブリンナイト約五十体が方陣を組んでました」


《ゴブリンナイト五十体か……それは欲しいな》


(え?)


《とりあえず、味方には付与魔法のバフにゴブリンナイトへの弱体化は必須だな……会敵したら初撃で死なない程度に手加減して吹き飛ばしてやれ。瀕死にしたらインベントリに引き摺り込んでやる。あとは冒険者パーティー毎に一体を相手に戦えばよかろう》


「おいおい……あの精鋭ゴブリンナイトが五十体?冗談じゃねぇよ」


「アリシアちゃん、どうする?ここまでやればゴブリンは再びエレノには襲来しないと思うんだが……」


「うーん、今エルダーゴブリンジェネラルを逃したら後々に大変ですよ?再度スタンピードが起きたらエレノが滅びます」


「そうだよね。何か策はあるの? 」


「とりあえず皆さんを魔法で強化して、相手には弱体化の魔法を掛けます。会敵後の魔法の一撃でゴブリンナイトの数を減らしますので、一パーティーが一体を相手にする形でどうでしょうか? 」


「うーん」 「どうかな? 」


 ゴブリンソルジャー戦での終盤、自分達を単体で壊滅手前まで追い込んだゴブリンナイトの強さに冒険者達は完全にビビっていました。


 今は進退の岐路に立たされ、多数の冒険者達が退却を選ぼうとする始末です。


《煮え切らん奴等だな。確かに冒険者にはゴブリンナイトを倒せる力は無さそうだ。多数のゴブリンをアリシアが一人で倒せるほど世の中は甘くはないのだがな》


(確かに、一体一体ならば勝てるでしょうけど、ナイト五十体とジェネラルだと不安です)


《弟子よ、そこで負けると言わんところが俺は不安だよ》


「ここまで来たんだし、俺等のレベルも多少は上がってるからなんとかなる!って……思っちゃったらいかんよなー」


「命有っての物種だし、どうするよリーダー? 」


「他力本願かもしれんがアリシア嬢の強さと魔法に賭けるか……」


「ゴブリンナイトを瞬殺だもんなー、いけるかも? 」


「俺のパーティーは参加するぜ! アリシアちゃんには何度助けられたか分からねぇし、俺達はもう少しで銅級になれるとこまできてるしな」


「私のパーティーも参加しますよ。な~に、徹底的に防御して負けなければ良いんです」


「はあ…ここで逃げたら着いてきた意味ねぇよ! なあ、この装備とポーションをくれたのは誰だ? アリシアちゃんだろ? 十歳の女の子だけ行かせて情けなくないのかよ! 俺等は冒険者だろうが! 」


「へいへい、ゴブリンソルジャーとの闘いでズタボロになったのを高価なポーションで助けて貰った恩は返そうぜ! なあ、みんな! 」


 一旦退却する向きだった冒険者達の意見は前進で固まりました。


 しっかりと装備を整え、休憩をとり、体力を回復させた冒険者達に各種付与魔法の重ね掛けをした上でアリシア達はエルダーゴブリンジェネラルの討伐に動きます。


 数刻後、冒険者達が辿り着いた東の洞窟前、そこには鉄壁の布陣を敷いた百戦錬磨のゴブリンナイトの群れと、数々の勇士から奪った魔法の装備で完全武装したエルダーゴブリンジェネラルが待ち構えていました。



 65話と66話の間の話が抜けてました。


 たまーにコピペの失敗ってありますよねー。

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