第41話・水源池までのピクニック
「魔法使い殿!今日はどちらへ?」
「あー、ケビンさんじゃないですかー、今日は薬草探しに北の水源地までピクニック……いやいや冒険に行くんですよー」
「そうですか。お気をつけて!」
「はーい!ケビンさんも巡回のお仕事頑張って下さいね♪」
「アリシア!俺達も居るぞ!」
「ああ、久しぶりのオルソン兄さんとパスカル兄さんじゃないですかー」
「おいおい、久しぶりじゃないだろ!せいぜい2日ぶり位だよ。またうちの母ちゃんに会いに来てくれないか?腰の調子は前より凄く良いんだけど、町暮らしは息苦しいらしいんだ。ついでに特製の干し芋も渡したいらしいよ」
「分かりましたー♪便利な回復魔法を覚えましたから、エルさんも腰痛とはさよなら出来るかもしれません。私も会いたいのでエルさんによろしくー」
「おう!ありがとな!母さんに伝えとくよ」
「アリシア……たまには弓矢も使えよ。腕が落ちるぞ」
「はーい!パスカルさんもお仕事頑張って下さいねー」
「おう…気をつけてな!」
《ふむ、あの二人、たしかエルダーゴブリンジェネラルの洞窟に捕まっていたようだが元気そうだな》
(そうですね。何ででしょう?)
《あの二人は他の兵士よりも位階がかなり高い。ゴブリンを数十匹は倒しておるのかもしれんな》
(そういう事ですかー)
アリシアはエレノの町の北門を出て北上しながら手当たり次第に素材を集めていきます。
集めると云うか、インベントリが進化して自動でアイテムと認識した物を収納していくので、周りから見れば普通に散歩している子供にしか見えません。
アリシアは道を歩くだけで大量の素材やアイテムを手に入れながら小川を上流に向かって歩いて行きます。インベントリ内のルームの機能で部屋が色々と有るので、小川に生息するエレノサーモンなども収納されて行きました。
大量の素材の内容は……薪や薬草に特上の薬草、ハーブにレインボーハーブ、ワイルドベリーや山菜にマッシュルームやクレソンなどが有り、インベントリ内のルームには生きたエレノサーモン、エレノキングサーモン、エレノアユ、エレノキングクラブ、ロングハンドシュリンプ、その他に大量の小魚
や水草などが手に入ったようです。
「うーん、相変わらず水源地は綺麗ですねー。でも、先客が居ましたか。久しぶりに弓矢の訓練をしましょうかね♪」
《しっかり狙って射てよ》
「グオオオオオオ!」
アリシアが水源地に着くと先客のマッドベアが居たので久しぶりに弓矢を使って狩りを行います。
先ずはゴートの鍛治工房で得た知識を参考にして強力な狩猟弓と鋭い鉄矢25本をアイテムボックス内で造りました。
「さて、久しぶりの熊さん退治ですねー。行きますよ!ピアシングアロー!」
ヒュバン!ズドッ!……ドス!「グオ!?」バタン……「ありゃ?一撃で死んじゃったら弓矢の訓練する意味無いじゃないですか!」
《あー、やはりそうなるか……元々の力にネームドのエルダーゴブリンジェネラルのプラナが入っているからな》
アリシアの矢はマッドベアの額を貫き後ろへ飛んでいき、遠く離れた大木に深く突き刺さりました。
今のアリシアの全力はマッドベア八百匹、ゴブリンが四千匹、ネームドのエルダーゴブリンジェネラルと雑魚多数を合わせた馬鹿げた力が有ります。
「あー、そうですよね……私、やたら胸がズキズキしたり、手足がウズウズして、未だに間合いや力の入れ具合が分からないんですよねー」
《うーん、それは身体の自己防衛本能が働いたのだろうな……今の不安定な身体でも全力で一時間位は戦えるだろう》
ピアシングアローは初級の弓術で使える正確無比な弓攻撃で急所を一撃で貫くアーツです。
※アーツとは武技と呼ばれる先達が創った技や技能を指す言葉ですが、技名を唱える必要は無いので厨二病感が半端ありません。
理不尽な独り言を言いつつも鋭い鉄矢を回収して、巨大なマッドベアの血抜きを速やかに行います。こんな時は魔法のウォッシュとクリーンが役に立ちます。生きている時は血液でも、死んでしまえば汚れですから簡単に血抜きや消毒を行えるのです。
アリシアはルーム内でさくっとマッドベアを解体していき、殺人熊の肉、内臓、骨、手、足や毛皮1枚に魔石やカードを手に入れました。
「うーん、水源地まで来たんですし、お昼ごはんを食べて冷たい水も補給しますかね♪」
アリシアはインベントリ内のルームで時間を大幅に節約して冷たい水を入れる樽を数百個単位で造って水を入れました。
水源地から湧き出す大量の冷たい水を大きな樽に詰め、お昼ごはんを食べたアリシアはのんびりと辺りを散策します。水源地から少し離れたところで彷徨っていた沢山のモコモコシープをルームにお持ち帰りして、水源地の近くを散策しながら帰ります。
冒険と云う名の散歩に満足しつつ、大量の薪や倒木に綺麗な石、ルームにはモコモコシープが群れで百数匹と牧草になりそうな草を大量に入れました。
帰りにもマッドベアやタスクボアなどを大量に狩り、解体は後にしてアイテムボックスに仕舞っていきます。
倒木が一直線に倒れ、地面が抉れて綺麗な石が沢山落ちている場所の先に、ちょっとした大物モンスターも居ましたが、今日のところはスルーします。
一応は冒険者ギルドに報告するつもりですが、エルダーゴブリンジェネラル襲来がおさまったばかりの今の状況で報告すると一波乱有りそうな予感がします。基本的に動きはかなり鈍そうですが巨体なので倒すのは大変そうでした。
本日のモンスター討伐数はホーンラビットニ十五匹、フォレストウルフ八匹、タスクボア八匹、マッドベア三匹でした。
少しエンカウント率が高過ぎる気もしますがゲームの世界のように始まりの町の近くには弱い敵がいるとは限らないのが世の常ですが、その分スキルやプラナ量は上がります。
今後も頑張って更新していきますので、ここまで読んで面白い!続きが気になると思っていただけたら、小説のフォローや下の↓♥、レビュー★★★などお願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます