第42話・エルさんとガルムさんの治療

「お帰りなさい!魔法使い殿!」


「ただいまー!ケビンさん」


「本日の冒険はどうでしたか?」


「色々と手に入りましたよー♪今度ポーションのお裾分けしましょうか?」


「いえいえ、エレノ町役場から支給品が有りますので大丈夫です!お気遣いありがとうございます!」


「あー、そういえば、ゴートさんを紹介して頂き、ありがとうございました。お陰で色々と出来るようになりました♪ケビンさんのお爺さんの剣はどうなりました?」


「はい、あの剣はゴートさんが繋ぎの素材を手に入れ次第修理して下さるそうです!こちらこそ、ありがとうございました」


「おーい!アリシアちゃん!母さんの腰もよろしくなー!」


「はーい!今から遊びに行ってきますよー♪」


「おう!母さんも楽しみにしてる!」


「はい、ではお仕事頑張って下さいね!」


 アリシアは北門からエレノの町の中心街に有る役場の直ぐ隣の公営共同住宅まで歩いて行きます。


 途中でカリルさんの雑貨屋を見ますが繁盛しているようで、後継者だろう引退冒険者も忙しそうでした。


 以前来た時には居なかった若い女性が店先に居たので、彼女がカリルさんの雑貨屋の後継者に間違い有りません。


 忙しそうだったので声は掛けずに公営共同住宅まで行くと、日当たりの良い場所でエルさんが日向ぼっこをしていました。


「あらあら、アリシアちゃんじゃない」


「おう、アリシアちゃんが来たぞい!」


「こんにちは!エルさん!ガルムさん!」


「アリシアちゃんは元気そうじゃな!冒険者の生活は大丈夫かい?危険な事はしとらんじゃろうな?爺は心配で堪らんぞい!」


「あらあら、村長は心配性ですね。大丈夫よね?アリシアちゃん」


「はい!私は大丈夫ですよ♪昨日は治療院で一日お医者さんをしてました♪皆さんは来なかったので体調は大丈夫でしょうか?」


「うーん、ワシ等は少しばかり町の暮らしが騒がしくての……村が懐かしいのぉ」


「そうね……私は腰は調子が良いのだけど都会には馴染めてないの。ほんと、歳はとりたくないわ」


「ああ、そうです!エルさんの腰に効きそうな魔法を覚えましたから、試してみましょう!」


「あらあら、そうなの?治癒魔法って高いんじゃないかしら?」


「何を言ってるんですかー、エルさんからは特製の干し芋を貰うつもりですよー♪」


「そうなの?特製の干し芋位で大丈夫なのかしら?治癒魔法って、教会だと一回で聖金貨が数枚程掛かるそうよ?アリシアちゃんが損をしないかしら?」


「えー、私はアップル10個とか鶏2羽とかで治療しますよ?私は村でお医者さんしてた時と変わりませんから♪周りの人は、お金お金って騒ぎ過ぎなんですよねー。都会ってほんと怖いですよね!」


「そうね。都会って怖いわー」


「そうじゃな、都会は怖いのぉ」


「では、エルさんから始めましょう!キュア・コンディション!」


「あらあら?腰が……全然痛くないわ。何時もの湿布みたいに痛みが和らぐ感じじゃなくて、腰痛が無くなったみたいな感じよ?」


「はい、エルさんの腰をスキルで見て見ても腰痛の元だった骨の歪みが治ってますよ♪」


「おう!それは凄いのぉー。ワシにも掛けて貰えるかの?盗賊にこっぴどくやられた後にゴブリン共に小突かれて身体中が痛いんじゃよ」


「はい!ではいきます。キュア・コンディション!」


「おう!なんじゃこれは!確かにエルの言う通りじゃわい!身体から痛みが無くなったみたいじゃ!」


「そうですねー、ガルムさんはエルさんよりも危険な状態でしたよー。もう少しで手遅れになる位に身体中に変な塊が沢山出来てましたー」


「ふむ、最近身体中が痛かったのは盗賊とゴブリンに負わされた怪我が原因じゃなかったんじゃな……アリシアちゃんには感謝感謝じゃ!この爺を治してくれてありがとう!」


「あらあら、腰が軽いわ。直ぐにアリシアちゃんに特製の干し芋を持って来るわね」


「エルさーん、走らなくても良いですよー」


「ほっほっほ、本当に元気になったみたいじゃ!まだまだ爺も死ねんのぉ」


「そうですよ!ガルムさんは死んじゃ嫌です」


「おうおう……アリシアちゃんは優しいのぉー。ワシも頑張るぞい!」


「あらあら、干し芋をこんなに持っても腰が痛くないわ。アリシアちゃん、私の特製の干し芋を持っていってね」


 元気になったエルさんは大きな麻袋に大量の干し芋を手に持ってきましたが、普通に考えても老人が持てる量では有りませんので、オルソンの馬鹿力はエルさん由来だと思われます。


「エルさん!そんなに干し芋持って大丈夫なんですかー?」


「あらあら、持てちゃったわ。アリシアちゃんの魔法って凄いわね」


「もう、あんまり無茶しないで下さいね!干し芋ありがとうございます!また遊びに来ますねー♪」


「おうおう……何時でも爺を訪ねて来ておくれ」


「私も特製の干し芋を作って待ってるわね」


「はーい!では、また来まーす!」


 アリシアはまだ明るいエレノの町中を冒険者ギルドに歩いて行くがあの大きなモンスターを報告するべきなのだろうか?





今後も頑張って更新していきますので、ここまで読んで面白い!続きが気になると思っていただけたら、小説のフォローや下の↓♥、レビュー★★★などお願いします!

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