第63話・ゴブリン達の奇襲

 エルダーゴブリンジェネラル追撃も佳境に差し掛かっていた。


「皆さん、エルダーゴブリンジェネラルの追撃も、もうすぐ終わりますよ!とりあえず、配布したポーションで体力を回復して下さいね」

《アリシア、外側の連中には注意をせよ。敵は油断してる時に来るものだからな》


「んじゃ、一旦休憩頼んます!みんな、ポーション飲んどけよ!」(やっと休める)

「あいよ!ちょっとなんか食べるか?」

「それは軽くにしとこうや、腹が膨れてたら動きが悪くなるしな」


「はい、では皆さんの装備の点検とエルダーゴブリンジェネラルとの戦いの前に治療をしましょう。外側の方々は重戦士さんで何時でも動けるようにお願いしますね!」

「了解!油断大敵ってね」

《うむ、なかなかに優秀だな。一人も欠ける事が無いように気を付けるのだぞアリシア》

(はい!師匠)


 この日、昼過ぎにエルダーゴブリンジェネラルの後ろに追いついたアリシアだったが、エルダーゴブリンジェネラル率いるゴブリンナイトの陣から少し離れた場所で鉄級ランク冒険者達と休憩を挟み、ポーションを飲んで武器を手入れした。


 ここに来るまでに遭遇した雑魚のゴブリン達は鉄級ランク冒険者達が根こそぎ倒し、あとの敵はゴブリンジェネラル率いるゴブリンソルジャー、ゴブリンアーチャー、ゴブリンナイトの部隊を倒すのみである。


 冒険者達は一度装備を外しポーションを飲み、携帯食と水で腹を満たして休憩するが、冒険者達は少しばかり油断していた。


 その油断の隙を狙ってエルダーゴブリンジェネラル配下のゴブリンナイト率いるゴブリンソルジャーとゴブリンアーチャーの群れが鉄級冒険者達に奇襲をかけたが、それも折り込み済みで冒険者達は外側の防御陣形を維持しており、円陣の外側の冒険者達は即対応を開始する。


「ギャガ!」(殲滅せよ!)


「ギャギャギャギャ!」(前進!)


 ゴブリンナイト率いる群れの一斉攻撃……しかし、油断しながらも臨戦態勢をとり、予め近くに武器を用意していた冒険者達は急ぎ武器を取り、即座にゴブリンソルジャー達に応戦する。


「うわ!?ゴブリン共、向こうから来やがったな!」(タイミング最悪)

「各パーティー、応戦用意!前衛タンクは盾を構えて!皆さん、方陣を展開して下さい!」

《ほら来たぞ。アリシア、集団戦では数の多い方が勝つ。先ずは敵を減らすんだ》


 先日のアリシアのアイスストームなどの魔法により大量のゴブリン達を討伐され、一旦東の森に有るねぐら近くまで退却したエルダーゴブリンジェネラルであったが、東の洞窟前で体勢を立て直しゴブリンナイト、ゴブリンソルジャー、ゴブリンアーチャー達を再編成し、アリシア達に猛烈な反撃を開始する。


 アリシア率いる鉄級ランク冒険者達61人とゴブリンナイト率いるゴブリンソルジャーとゴブリンアーチャー二百匹余りの混成部隊の戦いが遂に始まった。ちなみに冒険者よりもゴブリンソルジャー達のレベルは少しばかり高かったのだが、アリシアの指揮の技能や鼓舞、そして付与魔法の力で強化された冒険者はゴブリンソルジャー達と同等以上の能力を発揮する。


「グガ!」(押し潰せ!)


「ギャギャ!」(突撃!)


「狩人の皆さんは後方で間接攻撃を!」

《敵の頭を押さえた後が勝負だアリシア。魔法の真髄をゴブリンに見せてやれ》


「よし、盾持ちの戦士は前に出ろ!」


「スイッチ出来るように剣士は盾持ちの後方で待機だ!」


 初戦、数で劣るアリシア達は味方の間接攻撃専門職の狩人部隊を後方に下げ、重戦士のタンク要員を前衛に配置した堅実な守りで前面を守り、アリシアは重戦士の盾で止められたゴブリンソルジャー達の後方に魔法での攻撃を仕掛ける。


「皆さん、攻撃魔法いきます!」(味方を巻き込まずに敵を倒す!)


《さて、何魔法を使うかね?ここは森、答えは分かるな?》


「魔法使い殿、一発噛まして下さい!」


「では、いきます!敵を貫け!ウッドランス!」(これならば…)


《正解》


 ウッドランスは木魔法の範囲攻撃魔法で地面から鋭い木の槍を真上に打ち出す。それが凄まじい勢いで下から直撃してゴブリンソルジャー達は串刺しとなり、ゴブリンの陣形は崩れに崩れた。


 アリシアにはゴブリン達数十匹分のプラナが流れ込み、その身体が光り輝く。


ドドドドドドドド!


ザク! ザク! ザク! ザク!


「「「ギャアアアアア!!」」」


 前衛の重戦士の盾に魔法で追われ必死となったゴブリンソルジャー隊が近付き冒険者達が防御する中、アリシアの範囲魔法であるウッドランスがゴブリンソルジャーの後方に次々と炸裂する。


 凄まじい勢いで地面から射出されたウッドランスにより、ゴブリンの群れの後方にいたゴブリンアーチャーの肉塊や血飛沫が飛び散り、前衛のゴブリン達も恐慌をきたす。


 またもアリシアにゴブリン達のプラナが吸収されていく。


 そして、串刺しにされながらも生き残った手負いのゴブリン達には更なる追撃が成された。


「今です!後衛の皆さんは弓矢で間接攻撃を!」

「後列、矢を放て!」


「「「おう!」」」


ヒュン! ヒュン! ヒュン! ヒュン!


トストストストス!


「「「ギャアアアアア!!」」」


 アリシアの範囲攻撃魔法で多数のゴブリン達が肉塊と化し串刺しとなり、追い討ちの狩人達の間接攻撃で更に数を減らす。


 なんとか反撃に出る敵のゴブリンアーチャーの攻撃は防御魔法のディフレクトアローで跳ね返し、指揮技能と鼓舞を使用しつつ支援魔法のバフで仲間の冒険者の地力を倍増させていく。


 






今後も頑張って更新していきますので、ここまで読んで面白い!続きが気になると思っていただけたら、小説のフォローや下の↓♥、レビュー★★★などお願いします!

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