第54話・ゴブリンの大群に炸裂した大魔法
防衛戦5日目、斥候の兵士がエルダーゴブリンジェネラルとゴブリンシャーマン合流の情報を手に入れた翌日、早朝から勢力を増したゴブリンジェネラルが襲撃を掛けて来る。
先日のアリシアの魔法の一撃により、一時は勢力を三分の二まで減らしたゴブリンジェネラルは、ゴブリンシャーマンの群れを吸収して膨れ上がり五千匹程の群れを再度形成していた。
「敵襲!敵襲だ!エルダーゴブリンジェネラルが攻めてきたぞ!」(ゴブリンの数が増えてやがるぞ)
「早く魔法使い殿を呼べ!」(不味い!不味いぞ!)
「全軍戦闘配置につけ!」(急げ!)
脅威度が金級災害級以上……更に脅威度が増したエルダーゴブリンジェネラルの大群が東門近くまで襲来する。
そして、エルダーゴブリンジェネラルの一声でゴブリン達はエレノに突撃を開始した。
先鋒は有象無象の下位種のゴブリン達であったが、その勢いや数の暴力にエレノの兵士達は恐慌をきたす。
「ゴアアアーーー!」(前進!)
ズダダダダ……ズダダダダ……
「ギャギャギャ!」「ギャギャ!」
「な、なんだこのゴブリンは……」
「終わりだ……」
「これ、どうすりゃ良いんだよ……」
「ま、魔法使い殿」
「大丈夫です。任せて下さい」
《アリシアよ……本当に本気を出すのだな?》
(はい)
《良かろう!俺がサポートしてやるから阿呆なゴブリン共に躾をしてやれ》
しかし、この状況で浮き足立つエレノ防衛軍の中、アリシアは非常に落ち着いていた。ゴブリン達を半数以下に減らせば兵士や冒険者達が一緒に名もない村の仲間達を助けてくれる。
アリシアは再び名もない村で使ってしまった情け容赦ない全力の魔法を使う事にする。
「ゴアァアアーーー!」(全軍突撃せよ!)
ズダダダ……ズダダダダダ……ズダダダダダ……
「「ギャギャギャーーー!」」
「ひぃっ!?魔法使い殿!」
そして、師匠監視とサポートの元、魔物の棲む森以外ではなるべく使うなと言われた禁断の力が解放された。
前進して来るゴブリンの中心にアリシアが放つ強大なマナが集中、魔物の森に充満した魔素と撹拌され、魔法の文言により冷たい空気が流れ出す。
気温が急激に下がり空気中に白い氷の礫が現れる。次第に礫を巻き込んだ突風が渦を巻き、ゴブリンの中心に暴風が吹き荒れ、それは氷の刃を内包した強大な嵐となってゴブリンや木々を纏めて凍らせ切り刻んだ。
「今日は本気を出します!全てを凍りつかせよ!唸れ!アイスストーム!」(仲間の為に死んで下さい!)
《うむ、なかなかのコントロールだ。次々といくぞ弟子よ》
(はい師匠)
ブォオオオオオーーー!ピキピキピキピキ……ズバッ!ズバッ!バシバシバシバシ!
「「「ギャアアアアアア!」」」
「こ、これは……」
「ゴブリンが竜巻に巻き込まれてるのか?」
「す、スゲェ!」
「魔法使い殿万歳!」
「ゴブリン共がバラバラに……」
「凍りつく嵐?なんだよコレ……」
次々と凍りつくゴブリン達、さらに東門の前に氷の結晶を内包した暴風が吹き荒れる。
そして倒れたゴブリン達から大量の光り輝くプラナがアリシアに流れ込みアリシアの位階が次々と上がり続けて全身が光り輝くが、まだまだアリシアの魔法は止まりません。
「唸れ!アイスストーム!ゴブリンを巻き込み切り刻め!」
《さあ、アイスストームの重ね掛けの次はアレをやってみろ》
(はい)
バキバキバキバキ!ブオオオォオーーーン!
「「「なんと!?」」」(凄まじい威力だ)
再度放たれたアイスストームは前のアイスストームと合わさり、エレノの町の東門に続々と襲来していたゴブリン数百匹程が一度に凍りつき、後続部隊も効果範囲に捉え、後続のゴブリン達は既にまともに歩けない状態でした。
倒れたゴブリン達から溢れ出る膨大なプラナが流入してアリシアが更に光り輝きます。
この時点で千を超えるゴブリン達がアイスストームに飲み込まれて死に、先鋒のゴブリン達は混乱の坩堝と化しました。
「ゴアァアアーー!」(恐れず進め!)
「ギャギャギャーーー!」(前進!)
「まだ来るのか!?」
「魔法使い殿!」
しかし、先鋒の使い捨てのゴブリン達、その第二陣がエルダーゴブリンジェネラルの一声で纏まって東門ヘ殺到、数千のゴブリンの大群、そこへ三度吹き荒れる氷点下の魔力の暴風がゴブリン達を襲う。
「まだまだ!凍りつけゴブリン!アイスストーム!」
ビュウウウウーーー!ビシビシビシビシ!ピキピキピキピキ……
「ギャガ……」
エレノの町の東門付近の魔の森には凄まじい猛吹雪が吹き荒れ、次々とゴブリンが氷像と化していく。
アリシアのアイスストームの重ね掛けでエレノの町の東門前の魔の森の地形は一変した。凍りついた大地にはズタズタに引き裂かれて砕け散った幾千のゴブリンの破片が舞い散る。
そして、ゴブリンの先鋒を任されたゴブリンシャーマンが魔法を東門に向けて放出した。
氷属性と真逆の炎属性のファイアーボールが壁に直撃するが、アイスストームで周囲の空気が氷点下まで冷やされているため大した効果は得られず、ゴブリンシャーマンは悔しさに歯噛みする。
魔法使いとしての圧倒的な力量差により、ゴブリンの上位種中の上位種で有る強者で有る自分の力が通じない事を知ったシャーマンはここで悪手を打ってしまう。
今後も頑張って更新していきますので、ここまで読んで面白い!続きが気になると思っていただけたら、小説のフォローや下の↓♥、レビュー★★★などお願いします!
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