第49話・ゴブリン侵攻4日目も暇だった

 ゴブリン襲来から4日目の朝、昨日も冒険者達のおかげで楽しく夜を過ごしたアリシアは師匠から貰った装備で自らを補強してからぐっすり眠りスッキリ起きた。


 身支度を整えて、相変わらず良い香りを漂わせるポンチョ特製シチューなどを美味しく食べ、毎度の如く特製シチュー3人前、焼きたて白パン6個、特製サンドイッチ5個をポンチョから大量に持たされて向かい側の冒険者ギルドへ向かう。


「おはようございます。アリシア様」


「ターシャさん、今日はどんな感じでしょうか?」


「今のところエルダーゴブリンジェネラルが向かって来てはいないようですが、一応は待機でお願いいたします」


「では、エルダーゴブリンジェネラルが来るまでギルドで傷薬とポーションを量産してますね」


「それはありがたいです。薬草などは大量にございますから、傷薬とポーションは数が有れば有るだけ良いのです。是非とも薬剤を量産して頂けると助かります」


 しかし、前日と同じように本日もエルダーゴブリンジェネラルの群れはエレノの町に現れず、アリシアは夕方までギルドで傷薬やポーションを量産、ほぼほぼ薬作成に時間を費やした。


(今日も平和でしたね…)


 本日は薬草200枚、上薬草200枚、ハーブ200枚、ヒールハーブ200枚を冒険者ギルドから受け取り、普通品質+の傷薬を240個、普通品質+のポーションを200本納品して依頼の達成回数を重ねた。


 ついでに余りの素材で中級品質の傷薬やポーションを大量に量産したため調薬調剤の技能が上がり、弛まぬケチ努力によりアイテム消費抑制の技能も上がる。当然の如く容器は無属性魔法のタッパーの応用なので無属性魔法の技能も上がっていく。


 ちなみにアリシアは鉄級上位ランク分の依頼達成数は既にクリアしているのだが、新規にギルドメンバーとなった者は鉄級上位になるまで約半年間の更新待機期間があるので更に上の銅級下位になるまでは暫く掛かりそうである。


 この辺のルールは冒険者ギルドが優秀な若手冒険者を使い潰す事が無いように作られている為、基本的に例外などは無く……俺、やっちゃいました?的な偉業でのランクアップも存在しない。


 冒険者ギルドは良くも悪くも相互互助の組織であり、その他ギルドも活動面では基本的に個人とギルドと国は対等であり、拠点を変えられてしまうと困るので各ギルドの待遇はかなり良かったりする。


 話は変わり、エレノの町の東門から西に伸びる道を守る冒険者達も予想外にアリシアや衛兵達が優秀でエルダーゴブリンジェネラルが町内に攻めてこず、既に丸々4日間も何もせずに北や西の門など各拠点での待ちぼうけするのにも疲れてきたようだ。


 魔法使いのアリシアの出現によりエレノの防衛能力は格段に上がり、当初は簡単に落とされると思われた東門は難攻不落となった為、ほぼほぼ出番はないのは近場の冒険者達からの協力を得られない現状では喜んで良いのか悲しんで良いのか分からない状況だった。


「おーい、俺達はもう休んで良いか?つーか、解散して良いよな?」(もう、やる事ぜんぜんねーし)


「いやいや、日没までは冒険者達には各拠点を守備して貰わなければならん。アイオス殿もよろしく頼む」(やっぱ暇だよな…)


「おいおい、2日もゴブリン野郎が来てないぞ。てかよ。4日も東門が落ちてねぇし、魔法使いの嬢ちゃん居れば大丈夫じゃね?もう俺ら解散して良いだろ?」(おいおい、緊急依頼はどうなってんだよ?)


「アイオス殿、そう言わずに……現在、斥候部隊がエルダーゴブリンジェネラルの行方を追っている。しばし待たれよ」(確かに暇なんだよな…)


「いやいや、何もしねぇで待つのも結構疲れるんだよ!エルダーゴブリンジェネラルの野郎はどこ行った!」(あー、イライラする)


 エレノの町の防衛部隊もエルダーゴブリンジェネラルが一向に襲来しない為、あまりにも暇なので物見櫓の兵士以外は全軍交代で休憩をとる事になる。


 午後に差し掛かる頃、エルダーゴブリンジェネラルを追っていた斥候部隊から連絡が有り、あまり良くない報せを持って来たようだがエレノの守備隊は少し気が緩んできたようだ。


そしてアリシアのアイテムボックス内では……


「おいーっす!お前等ー!ちゃんと修行してるかー!」


「ゴブ……シュギョウシテマス!」


「そっか、まあ、昨日の敵は今日の友!励めよ諸君!」


「ゴブ……カシコマリマシタ!オウサマ」


「あー、ソレは違うぞ?お前等の王は別に居るからなー」


「ゴブ……ワレラ、ツヨキモノニシタガイマス」


「うむ、ま、弱けりゃ王にはなれんわな。ま、お前等も頑張りゃアーチャー卒業してナイト以上にもなれるわ」


「ゴブ!?ワレラガナイトニ……」


「成れる!俺の配下がそうだった!修行せい!」


「「ゴブ!!ワレラガオウニチュウセイヲ!!」」







今後も頑張って更新していきますので、ここまで読んで面白い!続きが気になると思っていただけたら、小説のフォローや下の↓♥、レビュー★★★などお願いします!

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