第48話・ゴブリン侵攻3日目は暇だった

(よし、明日も頑張ろう!)


 良く働き、沢山食べてアイテムの補修して、ゴブリンジェネラル襲来3日目もスッキリと目覚めたアリシアなのだが、魔力制御や魔法の範囲などの準備万端整えて待っていたものの、肝心のエルダーゴブリンジェネラルの襲撃はなかった。


 しかし、アリシアの治療のお陰でエレノの町の兵士達の肉体的なコンディションは非常に良い。(連日のゾンビアタックで精神的には最悪なのだが……)


 アリシアは暇な時間を利用して大量の薬剤やポーションの調合も続けているので前線の兵士全体に傷薬が配布されつつある。非常用の質の高いポーションもかなりの数が用意された。


 結局、エルダーゴブリンジェネラル侵攻三日目は丸一日を何事もなく過ごし、暇な時間を潰す為に大量の傷薬やポーションを作成し続けて夕方となり、本日の依頼終了をギルドに報告しに来たアリシアを受付のターシャが出迎える


 本日のアリシアは傷薬とポーション作成がメインで終了の為、調薬調剤の技能はますます上がり、アイテム消費抑制の技能も上がる。


 更に器を無属性魔法で作成するので無属性魔法の技能も上がり、中級クラスの傷薬とポーションも猫さんポーチに300個近く備蓄出来てたりする。


「アリシア様、本日も依頼達成ありがとうございます」(金儲け万歳♪)


「本日はゴブリンが一匹も来ませんでしたね。エレノの町や兵士に怪我人もなくて良かったです」(仇討ちは出来ませんでしたけど…)


「はい、アリシア様には臨時兵舎での待機中の報酬はしっかり払いますので引き続き依頼を継続願います」(お金♪お金♪)


「えーと、今日はエルダーゴブリンジェネラルの襲来もなく、私は臨時兵舎内で傷薬やポーションを作って暇を潰してましたし、ほとんど治療する事もなく待機しかしてませんから報酬は要りませんよ?」(あれ?私なにもしてませんけど…)


「いえいえ、一流の魔法使い様を丸一日拘束しているのですから、依頼の報酬はお受け取りください。こちらをどうぞ。明日も依頼を出しますのでよろしくお願いいたします」(役所にもきっちり請求してますから♪)


アリシアは魔法使いの一日拘束報酬と暇つぶしで作った傷薬やポーションを納品して多額の報酬を手に入れ、冒険者カードのランクが鉄級下位から中位に上がった。


「分かりました。では、また明日」(私、本当にこれで良いのだろうか?)


「アリシア様、ポンチョの宿でごゆっくりお休みください」


 アリシアは何もしてないにも関わらず金貨50枚と端数の銀貨と銅貨多数の報酬が支払われて目が点になりつつも冒険者ギルドから外へ、銀貨でずっしり重い革袋をアイテムボックスにしまい、向かい側のポンチョの宿に行く。


 数歩の距離を歩いた瞬間から肉が焼ける良い香りと、騒がしいながらも楽しい冒険者達の集うポンチョの食堂に入って行った。ゴブリンジェネラルの襲来が無い本日は、戦死者もない代わりに手柄も一切無いが、一日の緊張や疲れを癒すためエレノの兵士や冒険者達の騒がしい酒盛りは今日も続く。


「ぎゃははははは♪飲め飲め♪」


「「乾杯!!」」


「誰か歌えや!」


「はーい!私歌います!」


「がはははははは♪良いぞ~唄え魔法使いの嬢ちゃん♪」


「おーい、エール追加だ!」


「だから料理作んのが忙しいんだよ♪セルフだセルフ♪安く呑めるんだから自分達で注いでくれぃ♪」


 冒険者ギルドからの緊急依頼は危険なわりに収入が少ないのが難点なのだが、今回の緊急依頼でも依頼報酬はランク別に分けて木級ランク銅貨10枚~銀級ランク大金貨1枚位は出るので、木級の冒険者だろうと宴会代金には事欠かない。


 だいたい、ポンチョの食堂兼酒場は料理全般が焼き鳥小銅貨2枚から定食が小銅貨5枚と安く、酒はセルフで勝手に飲んで、冷たいエール大ジョッキ小銅貨2枚から、そこそこ上等な酒一本で銅貨1枚程を樽前の箱に置いていくシステムなので銅貨3枚も有れば豪遊出来てしまう。


 つまり、今日みたいな何も無かった日には宴会しかやることがないので、冒険者達は毎日代わる代わるポンチョの食堂に押し寄せた。


 静まり返った町の中、ここだけは別世界のように景気が良かったりする。


 アリシアも無属性魔法でコップや器を作って熱々の料理をアイテムボックスに収納したり、冒険者達の精巧なミニチュア造りなどの隠し芸がますます冴え渡り、詩を唄えば吟遊詩人とのコラボで大盛況、年配の冒険者から色々と料理を奢って貰えたので満面の笑顔である。


 そして、隠し芸や声楽の技能がますます上がり、唐揚げ4人前、厚切りステーキ5人前、スパイシーソーセージ3人前、塩焼き鳥3人前、タレ焼き鳥3人前、スパイシー焼き鳥3人前、冷たい果実水・アップル味3杯、冷たい果実水・オレンジ味3杯、冷たいエール5杯にお捻りを大量に稼いだ。


 もはやポンチョの酒場で一流芸人として暮らしていけるレベルになっているアリシアだが、ふと考えた…(私、太るかもしれない…)






今後も頑張って更新していきますので、ここまで読んで面白い!続きが気になると思っていただけたら、小説のフォローや下の↓♥、レビュー★★★などお願いします!

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