第45話・有利に進むゴブリンとの戦い


 アリシアの攻撃魔法により出鼻を挫かれ、多数の犠牲が出たエルダーゴブリンジェネラル群は態勢を立て直すべく前衛のゴブリン達を踏み台にした突撃を敢行する。


 怒りに震えるエルダーゴブリンジェネラルも前に出ていき指揮を開始した。


「グガァーーーーーーー!」(ソルジャーは投石せよ!殺れ、アーチャー!)


 そんな中、怒りに震えるエルダーゴブリンジェネラルが大声で咆哮すると、東門前で鋭い石槍に傷付けられ、足やら腕に傷を負ったゴブリン達は足元に散らばる尖った石をスリングに乗せて投げ始めたが未だ多くの犠牲を出していた。


 しかし、暫く経てば初手で劣勢だったエルダーゴブリンジェネラル率いる大群達も次第に調子を取り戻し、数や練度が劣るエレノの町の兵士とは圧倒的に練度や数で勝るゴブリンとゴブリンアーチャーの攻撃もいっそう激しくなり、流れ矢を防ぐ為、エレノの兵士に囲まれながらアリシアは後方の臨時兵舎に下がる。


 しかしながら、アリシアは第二陣のロックジャベリンを用意していたのでキャンセルされた魔法は不完全な形ながらも直上からゴブリンの群れに降り注ぐ事となった。


 その後、戦局は膠着し、アリシア自体はたった一、二度の調整用に使ってみた適当な魔法を唱えただけなので戦闘としては物足りず、自らに降り注ぐゴブリン達のプラナのおかげで位階が上昇、ほぼほぼ全く疲れを感じてもいないが次は負傷した兵士達の治療を開始する。


 そして、初日とはうって変わり、負傷した兵士達は直ぐさまアリシアの前に連れて来られ、手際良く治療されては前線に復帰するゾンビアタックを再度敢行した。


「魔法使い殿、本日も負傷者の治療をお願いします!」(ああ、見ただけで癒されるな…)


「はい、分かりました!皆さん順番に並んで下さいね。重傷の方は優先的にお願いします」(治療治療…)


 本日もゴブリンの投石やゴブリンアーチャーの矢を受け怪我をした若い兵士達がアリシアの前に列を作るが、本日は昨日うっかりと使うのを忘れていた簡単な麻酔の魔法【アネスト】を使って治療を行った。


 アネストは治癒魔法と言うよりは精神魔法に分類される痛覚を一時的に遮断する魔法だが、強すぎる痛みには効果が低い。


「しかし、魔法使い殿の攻撃魔法のロックジャベリンでしたか?あれは凄まじい威力ですね!」(魔法使いって半端じゃねぇな…)


「うーん、あれは失敗でしたね。私は水や風や炎や雷の方が得意なんですけど……エレノの町は森に囲まれてますからね。ちょっと魔法の選択や威力と範囲に問題有りです」(うーん、次は何を試そう?)


「はあ……魔法使い殿はあれ以上の魔法も使えると?」(魔法使い様、マジスゲー!)


「はい、あれは名もない村で赤狼団を相手に使った別の魔法位の威力だと焼け野原となって問題が有ると思いまして、そこそこ威力を落とした劣化魔法なんですよね。うーん、そうですね……明日はもう少し色々と試します。とりあえず、負傷した皆さんを治療しましょう」(うん、治療…)


「あれが……そこそこ?」(魔法コェー!)


 ゴブリンジェネラル襲来2日目の本日も、ゴブリンアーチャーの矢が逸れ、たまたま急所に当たってしまった運の悪い兵士数人がエレノ側で殉職したが、アリシアの治癒魔法のお陰で、それ以外の兵士達はメンタル以外は然したる損害はなく、日が沈む頃には怒りに震えながらもエルダーゴブリンジェネラル率いるゴブリン群団達は撤退した。


「グガァーーーーーーー!」(撤退だ!)


「ギャギャ!」(撤退!)


「ゴブリンが撤退します!」(終わった…)


「斥候部隊散開!」(さて、偵察しないとな)


「剥ぎ取り開始!ゴブリン達の装備と魔石を魔術師殿に献上せよ!」(魔法使い殿、明日も頼んます)


 本日は戦闘開幕の初撃でゴブリンを大量に殲滅したアリシアにゴブリンの死体から剥ぎ取られた装備やカード、魔石は渡され、エレノの東門の前には新たに石の槍に貫かれ、切り刻まれた不気味なゴブリンのオブジェが追加された。


ついでに尖った石が地面からビッシリと生えており、そこそこ危険な状態で有る。


「魔術師殿、こちらに剥ぎ取りを完了したゴブリン達の装備とカード、魔石をどうぞお納め下さい!」


 アリシアの前に置かれたのは大量の魔石、大量のカード、大量のゴブリンソードに粗末な弓矢、割と新しい冒険者の装備品が数十点、ベテラン冒険者と思われる者達の装備品が1パーティー分で有る。


 そして硬貨などの袋も大量に置かれていた。


「えーと、コレは私が貰って良いのでしょうか?今回戦った兵士の皆さんで均等に分けませんか?」(あれ?ゴブリンの装備やカードに魔石がいっぱいですよ……それに小袋も?)


「ははは、これは魔術師殿の魔法による戦果の分です。是非ともお受け取りください!我々もある程度は分配されておりますので気に為さらず!」(うむ、魔術師殿は庶民派なのかな?)


「はい、皆さんもちゃんと分配されてるんですね。では、お言葉に甘えさせて頂きます。ありがとうございます」ぺこり


「魔法使い殿はマジックバッグをお持ちですよね?装備品などは全てここに置いても?」


「はい、いただきますね!」シュワッ……


《アリシア……そこは自重せよと……》


「おう!これがマジックバックへの収納ですか!」


「は、はい、そうです!コレが猫ちゃんポーチの真なる力です!」


《はぁ……それで誤魔化せれるのか?》


(だ、大丈夫なはずです!)


「す、凄いですね!初めて見ましたよ!では、失礼致しました!」


《アレで誤魔化せた……だと!?》


(えっへん)




今後も頑張って更新していきますので、ここまで読んで面白い!続きが気になると思っていただけたら、小説のフォローや下の↓♥、レビュー★★★などお願いします!

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