第8話・天然の天才少女
「あーい!」
「ではいくぞ!全プラナ解放!そして魔素をマナ変換!そーれ活性化じゃ!ふん!!」
バチ! バチ! バチバチバチ!! バチバチバチバチバチバチ!!! 「アキャーーーーー!」
凄まじい電撃のような力がアリシアの体内を駆け回り、アリシアの内に秘められた力が一気に解放されます。
しかし、師匠の基準のすこ~しは半端ではないモノでした。
恐らくはこの辺りでアリシアの頭のネジが外れ、回路が少しばかりおかしくなったのではないでしょうか?
「よーしよし、体内のプラナとマナは……うん? これは? ぶわっはっはーーーー! これは大当たりじゃの!」
「ししょー! いま、バチバチでアキャーーーーー! ってなりましたよ~。ひどいです~!」
「だから言ったではないか。すこ~し、ほんのすこ~しだけじゃが最初はビリビリするとな」
「すこ~しじゃないですよ~!」
「まあまあ、別に良いではないか。そんなモノは気にするでないわ。ぶわっはっはーーーー! お主、なかなかに凄いぞ? 今までのわしの弟子の中でもとびっきり、最高の資質が有るわい!」
「わたし、そんなにすごいんですか?」
「うむ、ほんにアリシアの将来が楽しみじゃわい! ぶわっはっはーーーー!」
アリシアの才能が一気に開花し、師匠がアリシアの才能を看破のスキルで覗き見ると……思いもよらぬ凄まじい天賦の才に喜色を隠せません。
アリシアは困惑するものの、師匠が上機嫌なので良いかなぁ?などと思うだけであった。
そして、師匠とアリシアの更なる修行が開始されるますが。
「うーむ、お主は才能の化物じゃな。これだけの才が有るなど……実に教えがいの有る弟子よ」
「ししょー、まほーってすごいですね~」
「まあ、凄いのは当たり前なんじゃが……何故に最初に覚える魔法がタッパーなんじゃ? 次に治癒魔法と収納に生活魔法?身体魔法が先で攻撃魔法が一番最後? まあ、最も覚えにくい筈の治癒魔法はタッパー覚えるついでに覚えてしまうのは嬉しい誤算じゃったが……何故にタッパー?」
「タッパーはさいきょーなのです!」
「まあ、良いか……アリシアじゃしな」
魔法には様々な種類が存在する。
無属性魔法は属性の無い雑多な魔法を示し、例えば体内のマナと空中の魔素を混ぜ合わせて物質に変換させて即興で器を創り出せるなどのそこそこ便利な用途が有ります。
生活魔法は小さな火種、身体を清潔にするなどの生活に役立つ応用の効く魔法で有り、空間魔法はあらゆる物などを収納したり、様々な空間を創り出す事が出来、身体魔法は体内のプラナを増大させて身体に闘気を纏い強化出来たりしました。
攻撃魔法は魔法使いが最も得意とする各種の属性による攻撃を担い、治癒魔法は大成すれば死すら恐れる事もない究極の癒しを施す事も出来るという素晴らしい魔法です。
基本的に一系統の何れかの魔法を一つでも覚える事が出来れば一生安泰と云われる魔法の数々、それを全ての系統において然したる苦労もなく覚えるアリシアは正しく天才でありました。
「ぶわっはっはーーーー! このような逸材をわしに与えるとは、あの阿保の神々も衰えたものじゃ! 弟子よ、わしの全てを受け継ぐが良い」
「あーい!」
「うーむ、しかし……才能が有り過ぎるのも問題であるな。このままでは良くないか? アリシアよ、すこ~し能力にかる~く封印を施すが良いかの?」
「あーい!」
「よし、背中を出しなさい」
「あーい!」(あり?もしかして……)
「プラナ解放!マナ解放!封印魔法『コンテイン・ア・テンス!』」
ギチ! ギチ! ギチギチ! ギチギチギチギチ!
「アキャーーーーー!」
「うむ、これくらいで良いかの?」
「ししょー、またです~」
「ぶわっはっはーーーー! 気にするな弟子よ! 過ぎたる力は周りを不幸にしかねん。森の外で魔法などをみだりに使ってはならんぞ?」
「あーい!」
「お主、素直過ぎるのも逆に怖いんじゃがの。悪い大人に騙されんか心配よな。まあ、封印しても才能の塊みたいな奴だし問題はなかろ」
しかし、師匠の悪い予感は既に的中しており、アリシアは現在進行系で村に来る悪徳商人に盛大に騙されていたりするのでした。
アリシアと師匠の予期せぬ出会いから数ヶ月が経ち、師匠は孫のように小さなアリシアを可愛がり、日々魔法の鍛練は続いていきました。
師匠による鍛練は続きますが……アリシアは名もなき小さな村内では魔法などは一切使わず、習得した様々な技能や師匠により軽く封印を施された自らの凄まじい身体能力を隠すようになります。
異常に高い魔力に強力な魔法の数々を覚え、驚くような速さで成長していくアリシアの才能に惚れ込んだ師匠は、自らの手で磨き上げた流派の初歩的な技の継承も同時に進めていきました。
「弟子よ……お主は優秀よの。もしかすると、わしの技も継承出来るやもしれん」
「わざ?」
「物は試しというしの。やってみるか?」
「あーい!」
「では、あ、やっぱちょい止めじゃ」
「え~~~」
「先ずは狩りをするぞ」
「あい!」
しかし、まだまだ身体的に成長途中であるアリシアに負担を強いる事は出来ず、先ずは魔物の森の浅い場所での狩りを交えて戦う技術を教えます。
「ほれ、ビッグラットが来るぞ。とりあえず、教えた技で倒して見せよ」
「てぃ!」バキッ
「えぃ!」ゴキッ
「ピギャッ」パタン
「ししょー、できました~!でもいたいです〜」
「こやつ……やはり天才か。しかし、身体の負担が大き過ぎるかの。先ずは身体作りからじゃ!これからはもっと大きなネズミを狩るぞ!」
「あーい!」
魔物の森に多く生息する中型犬並みのビッグラットや大型犬や猪のような大きさのネズミの魔物であるジャイアントラットの狩りは少女の身体能力を伸ばすのに最適でした。
「し~しょ~おししょうさま~!」
「なんじゃ弟子よ。静かにせんか。お主ここを何処だと思っておるのか」
「おししょうさま~、ジャイアントラットがきますよ~」
「ふむ、それを先に言いなさいアリシア。さて、ふむふむ……数は三十匹ほどかの……」
「あーい!」
師匠は最初、アリシアの眼と反射能力の鍛練に遠距離から弓と魔法を主に使わせてましたが、やはりアリシアは天才です。
数日と立たず、一人でジャイアントラットを大量に狩るようになったのでした。
暫く経ち、アリシアは数多くのスキルを育ててジャイアントラットを一人でも狩れるようになると……薬草採取の傍らジャイアントラットよりも格上となる長い角を持つ巨大ウサギのホーンラビットから、更に格上で群れを為す巨大な大狼であるフォレストウルフなどを狩れるようになりました。
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