第3話 能力開発
翌朝、麗子は出勤するとすぐに昨日読んでいた英語論文の続きを読み始めた。
「あれ、凄いかも!」
昨日までは全然スムーズに読めなかった論文が簡単に読めるようになっていたのだ。
「おはようございます〜」
優香が出勤し、麗子と隣の席にドンっと座った。
彼女は日常の動作がいちいちドタバタしている。
「おはよう。優香ちゃん」
麗子はいつものように笑顔で挨拶した。
「麗子さん、なんか楽しそうですね」
「えっ、そうかな?」
「はい、なんか嬉しそうな感じがします」
優香は意外と勘が良く、麗子のご機嫌を見抜いた。
「実はね。凄いアプリを見つけたの」
麗子は脳トレガチャについて説明を始めた。
「そういうことだったんですね!麗子さんは言語能力が高くなるゲームが当たったんですね!めっちゃいいじゃないですか!」
優香は興奮気味だった。
「優香ちゃんも一回やってみたら?良いの当たるかもよ」
「はい、やってみます!」
優香は元気よく応えた。
優香は麗子のことを信じ切っている為、何の迷いもなく、アプリをダウンロードし始めた。
「麗子さん、ダウンロード出来ました!」
優香は嬉しそうだった。
麗子は自分も知ったばかりのアプリの使い方を丁寧に教えた。
「じゃあ、ガチャやってみますね」
優香はスマホの画面をサッとタップした。
麗子は何でこんなにもすぐに他人から勧められたものをやってしまうのだろうと思った。
「麗子さん、出ました!自己制御能力を鍛えるゲームが当たりました!」
「えっ、凄い!良かったね!」
麗子のただでさえも大きな瞳が更に大きくなった。
あのアプリのインストール後、優香は仕事だけではなくプライベートも上手くいき始めた。
まずは、自己制御能力が上がったおかげで、仕事の先延ばしがなくなった。
その結果、彼女は上司からの評価もどんどん上がっていった。
優香は今では部署の中でもダントツで早く仕事をやり終える。
しかも、ホウレンソウなどといった仕事の基本も抑えつつ、上司の意向も先回り出来るようになった。
実は、彼女はアプリに追加で課金し、新しい能力を手に入れてまくっていた。
その為、コミュ力や先読みをする能力がアップしていた。
プライベートでは自己制御能力が上がったおかげでダイエットも成功した。
今では女性として痩せ過ぎでもなく太り過ぎでもない理想的なスタイルを維持している。
更に、コミュ力の向上に伴い、新たな出逢いを掴む力が上がり、彼氏もゲットすることが出来た。
控えめに言っても彼女の人生は完全にリア充と言われるものになっていった。
「本当に麗子さんのおかげで毎日が楽しんです。昔ならウジウジ悩んでいたこともアプリのおかげでポジティブに考える力を鍛えれて悩むことも減りました。本当にありがとうございます」
優香は穏やかな表情で感謝の意を述べた。
麗子は本当に良かったと心の底から思えた。
これで毎日が穏やかになったのだ。
優香が幸せに過ごしてくれたら、彼女の愚痴を聞く必要もない。
こればかりは本当に嬉しい知らせだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます