第2話 2025年5月

 津田は『蔵の街』でバイトして働いていた。ゴールデンウイークだって休みはない。

 夜、酔っ払いがバイトの女、弓月瑠璃子ゆづきるりこが挨拶をしなかったと店内で騒ぎ出した。

「おい!あまちゃんよ!さっきの婦人には挨拶して、俺にはなしかよ!?」

 婦人ってのは食事を終えて、店を出て行った客だ。運の悪いことに、瑠璃子は喉を痛めていて声が出なかった。

 津田は必死に土下座をした。

 草壁は不在だった。

「頭に来たな!謝れよ!」

 酔っ払いは護身用とかでナイフを持っていた。ナイフを瑠璃子の首筋に押し当てた。瑠璃子は恐怖のあまりに悲鳴すら上げられないでいた。

 数分後、賀来賢人に瓜二つの刑事がやって来てホルスターからリボルバーを抜くと、酔っぱらいの腕の辺りを撃った。酔っ払いの腕から血が噴き出し、ナイフが落ちた。

 警官たちに酔っ払いは確保された。

 助かった安堵感から瑠璃子は涙をボロボロ流した。

「大丈夫ですか?美女を泣かすなんて、許せなーい」

 刑事は田中みな実の真似をして戯けた。刑事が警察手帳を瑠璃子に見せた。

「僕は栃木県警の千葉です。カレシいるの?」

 千葉は2ヶ月前に恋人に振られた。  

「いませんよ」

 千葉が瑠璃子とLINEを交換しようとしてると、無線がピーピー!と、鳴った。

 千葉は舌打ちをして無線に出た。

「はい、千葉です。何だよ、宇合うまかいか。何ぃ!?殺しぃ?」

『太陽にほえろ!』の石原裕次郎みたいだ。津田はごっこ遊びをしてるのかと思ってたが、覆面パトカーの助手席に乗り込んで去っていった。

 

 千葉は岩船山いわふねやまにやって来た。

 日本三大霊山、日本三大地蔵の一つとして名を連ねる。一大霊場として東国の人々の信仰を集めた高勝寺がある。切り立った崖を持つ奇妙な形をしているが、江戸時代から始まった岩船石の採掘で徐々に山体が現在のように変わった。採石場跡地では1970年代後半以降は、神秘的な景観を生かして、街中ではできない爆発シーンを含む特撮作品などのロケーション撮影に使われている。


 2011年3月の東北地方太平洋沖地震によって西側の峰がV字に崩れ、さらに別の場所でも高さ約140メートルの所から山肌が崩れた(人と家屋に被害はなかった)。


 南東の山麓には明治天皇が野点を行った場所があり、周辺を兜山公園としている。

 

 崖下に女の死体が転がっていた。女は心臓を撃たれていた。

「あ〜海外行きてぇよ」

 宇合はボヤいてる。ひょろひょろしたモヤシみたいな巡査だ。

「また、言ってるのか?」

 千葉が宇合のボヤきを聞くのは10回以上だ。

 その後の調べで女の正体が、『蔵の街』の総支配人、草壁鈴であることが明らかになった。

 鑑識はライフルマークを徹底的に調べた。

 銃身の内径は銃弾の外径よりも狭いため、発射された銃弾にはライフリングによって跡が刻み込まれる。これがライフルマークで、日本語では施条痕、線条痕と呼ぶ。複数の銃身に同じ工作機械でライフリングを刻む場合、これを切削で行うと削る工具の刃が少しずつ摩耗するので、ライフリングの形状は銃1挺ごとに微妙に異なってくる。そのため指紋と同様に銃弾から発射した銃器の種類だけでなく個々の銃まで特定することができる。

 

 使用された銃がFNブローニング・ハイパワーであることが明らかになったのは5月15日だ。同銃は、ベルギーのFNハースタル社製の自動拳銃である。

 正式名称は「ピストル・オートマティック・ブローニング・モデル・ア・グラン・ビザンス(ブローニング・オートマティック・ピストル・モデル・ハイパワー)」であり、アメリカの銃器設計者であるジョン・M・ブローニングが1926年に死去する前に、次期制式拳銃を求めたフランス軍の要求を受けて、FN社より依頼を受け、設計した最後の作品である。ブローニングの他界後、FN社のデュードネ・ヨセフ・サイーブ(FN FALの設計者)が、当時コルト・ファイヤーアームズ社が保有していた構造が同様のM1911の構造パテントが失効した1931年を期に改良し、1934年に完成した。


 量産された実用拳銃として初めて複列弾倉(シングルフィード・ダブルカラムマガジン)を採用した拳銃で、当時このようなマガジンは軽機関銃・短機関銃・拳銃では、トリガー前に弾倉を持つモーゼルC96以外にはほとんどなく、その装弾数の多さから「ハイパワー(高火力)」と名づけられた。前述のM1911やブローニングM2をはじめ、数々の傑作銃を設計したブローニングの技術の集大成ともいえる自動拳銃である。


 複列弾倉を採用しているが、トリガーバーをスライド側に収めた事で、ハイパワー以後に設計された複列弾倉の拳銃に比べればグリップ(グリップパネルはウォールナット製)は細く、握りやすい形状となっている。リングハンマー、初期のM1911の様な小さなリアサイト、半円形のフロントサイトを備える。セーフティは右手親指で操作するサムセーフティ、マガジンが挿入されていなければコックしたハンマーが起立しないマガジンセーフティである。材質はブルーイング仕上げのスチール製である。


 設計は非常にシンプルで部品点数も少なく合理的な設計であり、カム溝を用いた改良ブローニング式のショートリコイル機構は、以降に製品化された多くの自動拳銃で模倣されている。

 

 5月18日

 ブローニング・ハイパワーの装弾数は13発、宇喜多は草壁を3発で仕留めた。

 土手の上は菜の花が黄色い絨毯を作っていた。ヒバリがピーピー鳴いてる。  

 津田は男体山なんたいさんを眺めていた。

「ここにいたのか?約束守ってくれよ」

 宇喜多の口調は刺々しかった。

 津田は最近、腹痛に悩んでいた。もしかしたら魔法の使い過ぎかも知れない。これ以上使い過ぎてガンにでもなったら嫌だった。だから、宇喜多と連絡を取らなかった。宇喜多はAndroidを使いこなしていた。

 津田は指パッチンした。宇喜多は戦国時代に戻った。腹痛は起きなかった。

「気のせいだったかな?」

 

 5月19日

 江藤健一えとうけんいちは朝霧を憎んでいた。奴は優秀だった。死神は、『朝霧に比べてオマエは!』とよく比較してきた。

 江藤は、悪いことをすることで魔法を覚えるってスキルがあった。

 江藤は生前はそれはそれはモテた。大学時代なんて3人の女性とつきあっていた。

『ケンは鳥羽潤とばじゅんに似てるね?』と、聖子によく言われた。

 江藤はウォークマンで『五月の蝿 (歌︰RADWIMPS)』を聴いていた。

 江藤は栃木市郊外にある和洋折衷な本屋にやって来た。窓は洋風なデザインの縦長窓、屋根は4方向に傾斜があり、トタンを用いている。垂木を持つひさし。1階と2階を分節しているのは、洋風な装飾の胴蛇腹どうじゃばらだ。2階の窓は和風な格子窓、ベランダに洋服が干してある。下は店で、上は居住空間なのだろう。

 店内には、店長らしいメガネの中年と若い女性がいた。

手塚てづかさんのお母さんは元気なの?」と、店長。

「ええ」

「母の日には何か上げた?」

「母の日って何日でしたっけ?」

「今月の10日だけど、えっ?何にも上げてないの?」

「うっかりしてました」

 江藤は海堂尊かいどうたけるの『ブラックペアン』という医療ミステリ小説を棚から盗んだ。だが、店長と手塚って女は談笑を続けている。

 幽霊の江藤のことは見えてないらしい。

 朝霧は成績優秀なので肉体をもらったので、恋をしたりそーゆーことも出来る。

 江藤はパイロキネシスを覚えた。

 パイロキネシス(英: pyrokinesis)は、超心理学の超能力の1つで、火を発生させることのできる能力である。ギリシャ語の πυρ(pûr、「火、稲妻」を意味する)と κίνησις(kínesis、「動き」を意味する)から来ている。

 手塚って女が突然、巨大なキツネに姿を変えた。そのキツネは9つの尻尾を持っていた。

 キツネは店長を食い殺した。

 江藤は根来ねごろって冥土仲間が『スヤモ』と3回唱えて、ゾンビを燃やし殺したことを思い出した。多分、燃やすの反対言葉だ。

 江藤は「スヤモ、スヤモ、スヤモ」と唱えてキツネの顔の前に右手を掲げ、掌を広げた。

 ボッ!🔥炎が現れ、キツネをあっという間に火だるまにした。

 江藤は腹が減っていたのでキツネのステーキを食った。それからというもの、妖怪に遭遇することはなくなった。

 

 5月20日

 朝霧は久喜駅から逗子行きの列車に飛び乗った。

 今月から『テンプター』って闇組織で働いてる。『テンプター』は表向きは派遣会社で、朝霧は鉄鋼会社に派遣されていた。昨日、所長の辺見芽衣子へんみめいこにブリーフィングルームに呼ばれた。

『海上保安庁が相模湾で沈没した船からプリペイドを発見した。データを解析した結果、アジトが大崎にあることが明らかになった。大崎に行ってもらいたい』

 朝霧が了解すると、芽衣子はスーツを脱いでランジェリー姿になると誘惑してきた。確か、『テンプター』には誘惑って意味があったよな?朝霧は英語を最近勉強し直してる。

 芽衣子には旦那さんがいる。朝霧はきっぱりと断った。

 朝霧は列車の中でスマホアプリのチェスで遊んだが、全然勝てなかった。

 列車が大崎に着いた。

 駅ナカにあるカレー屋に入って、カツカレーを頼んだ。料理が来るまでスマホでYou Tubeを見ていた。アイドルのルリが踊ってる。彼女はかつて介護士をしていたが、矢吹から酷い目に遭っていた。ボーナスなし、マイカー出勤OKだが駐車場代が月1万、大卒なのに扱いは高卒。そりゃあ、矢吹を殺したくもなる。彼女の依頼があったからこそ、朝霧はアパート代を払えるのだ。

 幽霊だから踏み倒しても大丈夫かも知れないが、悪いことをして地獄に落とされたくない。矢吹は極悪人だ、殺したところで問題はないはずだ。

 それにしてもルリは何故、矢吹を殺そうと思ったのか?もしかしたら、虐待でもしてたのか?それを矢吹から脅されていた?

「カツカレーおまたせしました~」

 尻のデカいウェイトレスだ。朝霧は撫でたくて仕方がない。カレーは少ししょっぱかった。🍛

 

 店を出て、目黒川ってドブ川の辺りを歩いた。アジトの前にやって来た。レンガ造りの一軒家から、スーツスタイルの中年が現れた。朝霧は男の後を尾行した。

 中年女が連れてるコーギー犬が朝霧に懐いてきて、お手をした。人間より犬の方がよほど立派だと朝霧は思った。

 しばらく歩くと『R』という緑の看板が見えてきた。立正大学か〜。史学と心理学が有名だって噂だ。男は大崎署に入っていく。刑事だったのか?署に入るべきか?いや、怪しい行動は慎むべきだ。

 朝霧は、男が警察署に入ったことを、芽衣子にLINEメールした。コンビニに入って週刊誌を立ち読みしてると返信があった。

《了解、ゴミどもに事件を起こさせ大崎署に潜入させる。宇郷を大船で発見、大至急向かえ》

 宇郷信夫うごうのぶお折原おりはら製薬の社員。新入社員、飯泉祐也いいずみゆうやをパワハラして自殺に追い込んでいる。

 東海道線に乗り込み、大崎を離れる。

 🚃……ガタンゴトン。


 大船駅に到着してロータリーに出ると、ハイエースがパッシングした。助手席には立花夏樹、運転席には新米殺し屋の鬼頭真司きとうしんじが座っている。鬼頭は猿顔でとても人を殺すようには見えない。

『昔、浮気していた恋人をナイフで刺し殺したんですがスカッとしたんですよね〜。だから殺し屋になりたかったです』

 鬼頭は面接の時に言ってた。

 朝霧はハイエースの真ん中の席に座った。ハイエースは6人乗りだ。

「宇郷には愛人がいて、そいつが橋の向こう側に住んでる」と、立花が教えてくれた。愛人の名前は千晶ちあきというらしい。

 柏尾かしわお川という川が流れ、錦鯉が群がってる。昼下がりの街をドライブした。朝霧は眠気に襲われた。

 ハイエースがアパートの駐車場に停まる。朝霧は腰のホルスターからオートマチック拳銃、シグザウエルを出し、安全装置を外し、銃口にサイレンサーを取り付けた。龍崎もこの銃で撃った。矢吹のときはニューナンブM60を使った。

 ニューナンブM60は、新中央工業(後にミネベア(現・ミネベアミツミ)に吸収合併)社製の回転式拳銃。1960年より日本の警察官用拳銃として調達が開始され、その主力拳銃として大量に配備されたほか、麻薬取締官や海上保安官にも配備された。生産は1990年代に終了したが、現在でも依然として多数が運用されている。

「刀よ、飯は食ったのか?」

 立花が言った。刀ってのは朝霧のコードネームだ。立花のコードネームは鍔木つばきだ。

「あぁ、カツカレー」

 鬼頭をハイエースに残し、朝霧と立花は、アパートの外にある螺旋階段を足音を立てずに上った。

 205号室の前で足を止め、立花がジーパンのポケットからキーピックを出し、ドアの鍵穴に差し込む。ボルトを押し、動かす。ロックが解けた。

 キッチンで宇郷が千晶を立ちバックしていた。

「真っ昼間からいい身分だな?」

 朝霧は苦笑し、シグザウエルのトリガーを絞った。2度、こもった音を立てた。宇郷は頸椎を撃ち抜かれて即死。

 💀宇郷 4人目

「たっ、助けて……」

 千晶の瞳には涙が溜まっていた。立花が容赦なくシグザウエルを撃った。


 朝霧はアパートを出て、駅で2人と別れ横須賀線に乗り込んだ。🚃……ガタンゴトン。

 田浦で降りて駅周辺を散策した。吾妻あづま川を越えると赤く錆びた工場が見えた。旧海軍のドッグだ。プロ野球チームの練習場がある。長浦隧道を抜け、しばらく歩くと小高い山の上にオレンジ色の屋根の豪邸があった。

 朝霧は壁をすり抜けることくらい楽勝だった。

 豪邸の暖炉で銀色のオートマチック拳銃を見つけた。

 もしかしたら、これで怪物を倒せるかもしれない。聖なる銃は、人間を殺した分だけ怪物殺せる。🔫4発

 

 5月23日

 瑠璃子はサスペンスドラマ『Hatred』の主演に抜擢された。イジメに遭ってるナースの復讐劇を描いた作品だ。瑠璃子はあまり英語が得意じゃなく、ハートレッドだと思っていたが、正しくはヘィトゥレッドだ。矢吹が死んだことで、『エイプリルフール』は大活躍していた。それまでは地下アイドルで日の目を見なかったが、矢吹が死んだ直後ブレイクした。介護士やレストランのバイトをする傍ら、アイドルをしていた。中学生のとき、コンビニでチョコを万引きした直後、恋人が出来た。高3のとき、就活に苦戦していたが、自宅の隣でキャンキャン鳴いてる犬がうるさかったので、石コロを投げつけたら矢吹の施設に就職が決まった。母親が子宮癌で生死を彷徨ったが、施設に入所していた悦子えつこってババァ(認知症が酷く、財布がなくなったのを瑠璃子をせいにしたりしてた)の頭皮にドライヤーを近づけたら、癌が消えたり、瑠璃子は奇妙な人生を送っていた。

 

 5月25日

 蓮城れんじょうエミが亡くなったと『Nスタ』で知って朝霧はびっくりした。『エイプリルフール』のセンターで活躍していた美女だ。

 エミは大崎駅前ロータリーで、見知らぬ男性にナイフで刺されて亡くなった。エミを殺したのは鬼ヶ島紘汰おにがしまこうたという自称ミュージシャンの27歳だ。

 鬼ヶ島は昔、飲酒運転で人を轢き殺してる。空き缶と芽衣子は呼んでいた。鬼ヶ島は芽衣子に母親を人質に取られてる。鬼ヶ島が轢き殺したのは芽衣子の実の兄だったのだ。

『できるだけ重い罪を犯してよ。そうしたら、お母さん助けてあげるよ』と、芽衣子に吹き込まれたようだ。

 大崎駅近くのビジネスホテルに泊まってる。

 1980年代以前の大崎は山手線沿線地帯の中でも特徴の無い工場地帯であり、工場で働く従業員以外は訪れない地区であった。繁華街として賑わっていた隣の五反田とは対照的だった。しかし80年代後半より始まった大崎駅東口地区の再開発によって、大崎ニューシティ、ゲートシティ大崎などの複合施設が相次いで開業し、東京副都心の一つとしてにわかに脚光を浴びるようになった。さらに埼京線乗り入れ、東京臨海高速鉄道りんかい線開通、湘南新宿ライン、相鉄・JR直通線の運行開始などにより、品川と並ぶ山手線南端の交通結節点となった。


 21世紀以降に大崎駅西口方面の再開発が本格化し、現代的なビジネス街として大きく発展した。2007年10月には明電舎跡地にThinkPark(地上30階)がオープンし、2011年7月には、ソニー旧大崎西テクノロジーセンター跡地にNBF大崎ビル(旧:ソニーシティ大崎・地上25階)がオープンした。また、2014年1月には大崎西口地区最後となる大崎ウィズシティ(地上24階)竣工し、10月には大崎西口公園が開園、そして残る交通広場には2015年12月に大崎駅西口バスターミナルが整備された。その他、大崎駅東口方面には2007年にアートヴィレッジ大崎セントラルタワーがオープンし、2015年には大崎ブライトコアもオープンしている。その他、数多くのレストランやスーパーが開業し、高層マンションも数多く建設され、各ビルを結合するペデストリアンデッキも設けられたことで、生活面での利便性が大きく向上している。再開発が始まってからの歴史が浅いため、品川や新宿などと比較するとまだ発展途上であり、高層ビルの数は少ない。現在は有名な大企業の本社オフィスが多数存在し、日本の先端産業を支える街の一つとなっている。

   

 朝霧はホテルを出て大崎駅西口を散策した。  

 巨大な鳥が次々に通行人に襲いかかった。その鳥には9つの頭があった。そのうちの1つの首からは血が滴り落ちている。

 その血を浴びた若い女性が苦しみ悶えながら死んだ。

 きっと鬼車きしゃって中国の妖怪に違いない。

 鬼車は9つの頭を持つ鳥で、嶺外れいがい(中国南部から北ベトナム北部かけて)に多くいるもので、人家に入り込んで人間の魂を奪う。あるときに9の頭のうちの一つを犬に噛まれたため、常にその首から血を滴らせており、その血を浴びた家は不幸に苛まれるという。

 鬼車は亡霊である朝霧には慄いているのか、少し距離を置いている。朝霧は聖なる銃で鬼車を撃った。1発目こそ外したが、2発目が鬼車の腹に被弾した。3発目は心臓を抉った。

 イギャァァァァッ!!

 鬼車の死骸は鉄塔につき刺さっている。

 🔫聖なる銃 残り1発


 

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