第十二話 戦略の女神②
「お待たせいたしました。アイスコーヒーです。」
(さて、どうしようか。)
そうなってくると話は別だ。
被害者達はあの事件の真相を知らず、俺に恨みを持って死んでいっているはず。
記憶も残っているとしたらなおさらだ。
植え付けられた恐怖や憎しみほど、そう簡単に忘れるものじゃない。
現に俺も恨みつらみを晴らすために現世に舞い戻ってきたわけなのだが…。
「あの、私の顔に何かついてますか?」
「あ、す、すみません。」
「アイスコーヒーです。失礼します。」
危ない。じっと見すぎていたか。
難しいことは分かっているが、彼女の力はどうしても必要だ。
(とりあえず何か話さないことには…そうか!)
「お会計210円になります。」
「はい!」
俺は1000円をすかさず出すと一緒にこういった。
「あ、あのすみません。」
「どうしました?」
「これ、僕の連絡先が書いてあります。少しお話がしたいので、バイト終わったら連絡してほしいです!では!」
(…って。これただのナンパじゃん!!)
恥ずかしさのあまり相手の顔も見ず、外へといそぎ足出て、家までもうダッシュしたが、その間も顔のほてりは収まらなかった。
俺は前世でもほぼほぼ女子との交流を断っていたし、今世でもまだ明桜としか話していない。
もちろん、ナンパや告白なんてもってのほかだ。
そしてなんとか、これは作戦のためだと言い聞かせ、落ち着いた。
それはそうと、
果たして彼女は連絡してくるだろうか。
それなりに見た目はかっこいいとはいえ、初対面でまだ会話もほとんどしてないし、俺自身もぎこちなかったであろう。
なんて、考えていると。
ピコン…!
突如、スマホの通知音が鳴った。
恐る恐る画面を除くと、
知らない電話番号からのショートメール。
相手は…先程の彼女だった。
転生できるけど異世界は興味ないから、世界創り変えてみた。 針井保汰 @ruaseshin423
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