第十話 始動
明くる日。
俺は高校へと足を運んだ。
が、登校しに来たわけではない。
『自主退学届』
これを出しに来ただけだ。
校長も担任もさすがに引き止めてきたが、そのまま聞く耳もたず学校をあとにした。
というのにもわけがある。
これは今朝方の出来事だ。
俺は昨日の幼馴染のこともあり、流石に今日は学校へと行こうと考えていた。
そのため朝早く起きて、全知の能力で調べ、違和感なく馴染む準備をしようとした。
だが、調べていくとあることに気づく。
実はこの学校。そして近辺。転生者がかなり寄せ集められているのだ。
それも昨今亡くなった人たちが主。
確かに半数以上は異世界転生した様子だが、
それでも3分の1の人は現世に転生したみたいだった。
神も正直色んなところに転々と転生させるのも違和感が出ると思ったらしく、神の管轄といっても過言ではないこの土地にまとめたらしい。
たしかに高校生としてやっている方が世間には馴染むし、学校にいても能力は広範囲で使える。
昨日の実験でも十分に分かったが、場所が遠くなればなるほど、深く調べれば調べるほど、能力使用中は無防備になるという欠点がある。
もしも学校の中に転生した記憶を残している者、同じような能力を持っている者などがいれば、寝首をかかれる可能性は無きにしもあらずだ。
前世で無実とはいえ、大量虐殺の罪を弁解したわけでもなく、現世に転生してそうそう、同じような事をやったわけだし。
もし知られれば恨み狙われるのは間違いない。
という理由も全て踏まえた上で、俺は退学したわけだ。
(さて、これからどうするか。)
世界を創り変える。
もらった力でねじ伏せることもできるが、よりよくするにはそれはナンセンスだ。
となると、
(まずは協力者だな。)
協力者。それもかなりの能力を持ったもの。
俺の欠点である能力時の無防備。
雷技のときはまだしも、調べるときが一番の無防備。
戦いになった場合調べ上げている間に確実に殺られる。その為知恵を補える能力がふさわしいわけだ。
俺はすぐさま全知の能力を発動し、転生者の中にある能力を探した。
(見つけた。)
まず俺は彼女のもとへと行くことにした。
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