第2話

――今日も今日とて冒険者がダンジョンへと訪れる。今回の冒険者グループはある程度腕は立つのか、俺が住むダンジョンの奥へと乗り込んで来た。

 だが俺の敵ではなかった。一人、また一人と倒れ、最後に残った一人を俺は捕らえていた。


「くっ! こんな事でこの私が屈するとでもぉぉぉぁぁぁあああああ! そんなとこ触っちゃらめぇぇぇぇ!」


 手足を捕らえられた冒険者の身体に、俺の触手が侵入する。

「あふぅん!? 壊れる! 壊れちゃうぅぅぅぅぅ!」

 触手の動きに合わせて嬌声が上がる。抵抗を感じるが、その身体から力――生命力が抜けて触手に染み渡ってくる。

「だ、駄目なのに……私には大事な人があぁぁん!」

 冒険者は初めこそ屈しないという精神を見せていたが、触手を動かすとあっという間に身体と共に表情を弛緩させ、恍惚とした物に変える。

「……おい」

「もうらめぇ! これ以上はらめなのぉほぉ!」

「……おいって」

「わ、私は負けない! こんな触手に屈しぬわーっ!?」

「おいゆうとるやろ!」

――我慢の限界だった。動かすの止めたのに何か勝手にわめいてる冒険者の頬を引っ叩いて正気に戻す。

「……え? 触手が喋った?」

「いや喋るよそら。生き物だし」

 俺の言葉に冒険者は「えぇ……」と顔を顰めた。

「いやそれよりもな、言いたい事あるんだわ」

「わっ、私を辱めておいて! これ以上何だというのだ!?」

 息を荒くし、顔を赤らめた冒険者が俺を睨みつつ叫ぶ。

「あのな――チェンジで」

「……? チェンジ?」

 冒険者が首を傾げる。


「ああ――チェンジだよ! これ以上むさいおっさん相手にしたくないんだよ!」

 冒険者――髭面のおっさんがショックを受けた様に表情を強張らせた。


「な、なんてひどい……こんな辱められて、妻にどんな顔して会えばいいかわからないんですよ!?」

「んなの知らねぇよ! 大体何でお前ら全員おっさんしかいねぇんだよ!?」

 そう言って倒れたおっさんの仲間を指す。そこにいたのは格好から恐らく僧侶と魔法使い。どちらもおっさんである。

 妙に細い魔法使いのおっさんと、僧侶なのにでっぷりと太ってハゲたおっさんが俺の粘液やら自分の体液まみれになりながら、恍惚とした表情を浮かべて倒れている。正直汚かった。まぁやったのは俺だが。

「そっ、そんな!? 我々を弄んでおいてなんてひどい言いぐさ!?」 

「んな趣味ねぇよ! お前らが人の住処入って来るから対処してんの! てか来る奴来る奴みんな! みーんな男ばっかりじゃねぇか! 一体どういう事だよ!?」


――俺の悩みというのは、来る冒険者がどいつもこいつも男。それも揃って中年のおっさんばかりであると言う事だ。

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