手紙『2』
お陰と言えば、君のお母さまである美里先生にも、大変お世話になりました。
あまり、ここで話すには気が引けるけれど、
それでもこのことは、いつか、誰かから君に話さなければいけないことだと思っていたから、俺から伝えようと思います。
美里先生の事故は、俺と佐央里の所為なんだ。
あの日、佐央里が我儘を言って美里先生を困らせたんだ。
美里先生は「大丈夫、大丈夫」って笑っていたけど、俺は先生を困らせた佐央里が許せなくて、いい加減にしろって言ったんだ。
けど佐央里は美里先生に謝らなかった。謝るどころか、大嫌いって言って道路に飛び出したんだ。
美里先生は佐央里を追いかけて、俺も一緒に追いかけて、美里先生を止めようとしたんだけど、ダメだった。
先生は、俺たちの所為で、死んでしまった。
美里先生がひかれたあと、俺たちは決めたんだ。美里先生のご家族に、もう二度と迷惑を掛けてはいけないと。
罪を償う――ではないけれど、そんな気持ちで生きてきたんだ。
美里先生の子供がいるとは知っていたけど、それが海音だって知った時は正直、怖かった。そもそも同じ高校だと思わなかったし、初めて会った時の君は、美里先生にそっくりだった。そう思ったのは君が女装していたからかな(笑)
君には申し訳なかったけれど、
俺は君と出会って、
美里先生への償いが出来ると、思ったんだ。
こんなやましい気持ちで君に近付いた俺を、どうか、許さないでほしい。
俺は罪を償うどころか、
君を、好きになってしまった。
美里先生の死んでしまった原因を、海音に言えなかったです。
手紙という形で伝えたこと、男として恥ずかしく思います。
本当に、ごめんなさい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます