手紙『2』

 お陰と言えば、君のお母さまである美里先生にも、大変お世話になりました。


 あまり、ここで話すには気が引けるけれど、

 それでもこのことは、いつか、誰かから君に話さなければいけないことだと思っていたから、俺から伝えようと思います。


 美里先生の事故は、俺と佐央里の所為なんだ。


 あの日、佐央里が我儘を言って美里先生を困らせたんだ。

 美里先生は「大丈夫、大丈夫」って笑っていたけど、俺は先生を困らせた佐央里が許せなくて、いい加減にしろって言ったんだ。

 けど佐央里は美里先生に謝らなかった。謝るどころか、大嫌いって言って道路に飛び出したんだ。

 美里先生は佐央里を追いかけて、俺も一緒に追いかけて、美里先生を止めようとしたんだけど、ダメだった。


 先生は、俺たちの所為で、死んでしまった。


 美里先生がひかれたあと、俺たちは決めたんだ。美里先生のご家族に、もう二度と迷惑を掛けてはいけないと。


 罪を償う――ではないけれど、そんな気持ちで生きてきたんだ。


 美里先生の子供がいるとは知っていたけど、それが海音だって知った時は正直、怖かった。そもそも同じ高校だと思わなかったし、初めて会った時の君は、美里先生にそっくりだった。そう思ったのは君が女装していたからかな(笑)


 君には申し訳なかったけれど、

 俺は君と出会って、

 美里先生への償いが出来ると、思ったんだ。


 こんな気持ちで君に近付いた俺を、どうか、許さないでほしい。


 俺は罪を償うどころか、

 君を、好きになってしまった。


 美里先生の死んでしまった原因を、海音に言えなかったです。

 手紙という形で伝えたこと、男として恥ずかしく思います。

 本当に、ごめんなさい。

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