デート③
「ねぇ。こんなのとかどうかしら」
「うん……いいと思うけど」
「…さっきからそれしかいってないじゃん!」
「はい…そうですよね……。」
ーー仕方ねぇだろこの野郎!!これで何回目だよ!初めの方は似合ってるとか大人っぽいとか、ちゃんと言ってたよね?別々の感想なんて言えるわけないじゃん。俺の今の服装見ろよ。ジーパンと白Tシャツだぞ?これがオシャレ下級者に見えないのか……。
ショッピングモールについてかれこれ2時間ほど。ずっと留まっているわけではないのだが、店は変わってもやっていることは試着ショーである。まったくそんなに試着して疲れないものなのか。男の俺にはわからないが、当の本人は満足顔だ。
「零様はもともとファッションにあまり興味がなかったんですが、帰国する3か月前ほどから焦ってファッションを勉強し始めて、今ではファッションに目がないんです」
半年前のことを懐かしむように語る楓恋。
え?何でこんなにスムーズに話せてるかって?
それは彼女の姿を見れば一発で分かる。足元まである長い裾は外出には絶対に向いてない。多くの視線にさらされることも含めて。そう、メイド服である。
あの事件(事故?)のあと楓恋は俺と執事を車から追いやり、30秒たったかと思えば、車から出てきた楓恋はまごうことなきメイド姿だった。本人曰く、普段メイド服しか着ていないため、他の服だと落ち着けないらしい。自分があんな様子だったことの原因はそれだという主張は、なんというか迫真で勢いがすごかった。余談だが、楓恋が抱き着いてきたことを話そうとすると、ふいっと顔を背け、10分は口を聞いてくれなかった。
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