メイドの過去---②
悩みの原点から話そう。
私は零様と同じ小学校に通っていた。何の変哲もない普通の公立校。なぜお嬢様が普通の公立校に通っていたのか、疑問に思うだろうが、それは零様の父親が、小中高すべて公立校だったからである。
新堂真樹也__一代で莫大な財産を稼ぎ、新堂家を繁栄に導いた実業家。零様がお嬢様たる所以である。
彼女の両親には、考えの食い違いがあった。
真樹也様は、娘には外の世界を体験して、自由に生きてほしいと思っていたが、真樹也様の妻、留美様がそれに反対。結婚して5年ほど経って、初めて対立したらしい彼らは悩み、結果、留美様の妥協案で、幼稚園だけは私立に通わせようという話になったのだ。
そして、問題は起きた。
小学生特有の軽い嫌がらせ。
零様は裕福な家庭で生まれ、甘やかされて育ったので人に自慢したり、はっきりとものをいうことが多かった。
ただ、精神がまだ安定していない幼稚園児や小学生にありがちなことであり、大抵は周りを見て、自ら改善していくため、両親はさほど心配していなかった。だが、零様は私立の幼稚園で通っていたため、同じような人が周りにも存在した。私立に通う子供たちはそのままエスカレーター式で小中高と上がるため、改善のしようはあったが、零様はいきなり公立の小学校に上がったので、変化に適応できなかった。
小学校三年生あたりから始まった一部の女子からの嫌がらせが、まだ成長しきっていない零様の精神に影響を与えるのは至極当然のことだった。家では親に気付かれないように隠していたが、校内での零様は明らかに暗かった。私はというと、零様の違和感には気づいていたものの、直接口には出せなかった。恥ずかしながら、私も当時は未熟で、何が原因か分からなかったのだ。
何も言えずに一か月が経ったある日、零様は急に前までの調子を戻した。私は驚き、我を忘れて聞いてしまった。
「どうしたの?!昨日まで元気なかったのに……。」
聞いてからハッとして、すぐに後悔したが、零様は、
「なんでもないわよっ」
と、とても嬉しそうに言った。
私は何度か聞き直したが、理由は話してくれなかった。
その次の日、零様の家でいつものように遊んでいたときに、彼は来た。
高山陣。これが彼との出会いである。
__________________________________
ご読了ありがとうございます。
回想を書くのも初めてなので、何か不自然な点がありましたら、ご報告よろしくお願いします。
ブックマーク、フォローって何?と思っていた人間なので、強く言えませんが、フォローよろしくお願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます