妹、寝る。
まだ二話目なので話の方向性は固まっていませんが、必死に絞り出して考えますのでよろしくお願いいたします!
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_____ぃ___にい______おにい!!
「ぐはっ!?」
聞き慣れた声が聞こえた瞬間、腹部に強烈な痛みがはしった。
何もない空間に痺れた手を伸ばしながら、ゆっくりとまぶたを開ける。ぼやけた視界に写ったのは逆光と乗り掛かる影。最大まで開けられない目を必死に開けて確認する。
このシルエットは彼女しかいない。
「るなぁ……っ。いつもやめろって言ってるだろ…。」
朝日が昇り、外では車が蔓延り、信号の音や小学生の話し声が聞こえる時間。夏には似合わない冷えた部屋には、静かなクーラーの風の音だけが響く。
普段なら絶対に起きない時間だが、今日は例外。そのことをすっかり忘れていた自分に腹が立つ。
「でもね!こうしないとおにい、いっつも起きないんだもん。」
「うっ……」
俺は痛みをこらえながら、寝起きの掠れ声で力なく呟く。
俺は痛みに顔を歪めながら苦笑いを浮かべた。起きたところだが、このまま寝てしまいたいほどに頭が痛む。
「だめだった…?」
幼稚園年中になって間もない子供。だが、頭脳は大人である。
彼女は、潤んだ目で上目遣いに見上げてきた。しかも胸にもたれ掛けながら。
なるほど、ラノベでしか見たことなかったがこれは相当くるな……。
体は危険信号を出しているのにっ……なぜだ………口からnoの言葉が出てこないっ。
「だめじゃないけど……。」
まだ答えを渋っているのを見て、瑠奈は俺の胸にその小さな頭を置いた。なにかまたされるのでは、と反射でのけ反ろうとしたが、瑠奈は俺のパジャマをしっかりつかんでいるため引き戻されてしまう。
そして抵抗できなくなった俺を見て、満足気に頷く。
あの……急にそんな顔されても何されるか分かんないんですが…。
憂いでいた想像とは裏腹に、瑠奈は顔を横に倒し、頬を俺の部屋着に擦り始めた。
「…っ……。」(ずるいだろそれは……。)
冷えたお腹にぬくもりを感じる。抱き枕として使えないだろうか…。
こうしたら何も言い返せない事を分かっている俺の妹は、一体どこの誰に似たのだろうか。
今まで何度も何度も言いくるめられてきた母の姿を浮かべるが、一瞬睨まれたような気がしてすぐに妄想を振り払う。あれは鬼だ。目を合わせたら終わる…。
嫌に発達した想像力を抑え、いつまでも見ていたくなる寝顔を目に焼き付ける。
ゴロゴロと頭を転がす彼女を見て思わず頭をなでた。
「……ん……んんっ……」
途端に頬が緩み、嬉しそうに喉を鳴らす。
スースーと自然な息遣いで寝息を立てる彼女はまさに天使であり、実の妹にこんなバカなことを言っている俺はまさにシスコンである。これが小学生や中学生の毎日喧嘩コースだと想像すると寒気がした。
瑠奈の天使のような笑顔と反応が俺の心をどんどん甘くさせている気がする。
そのおかげで何をされても強く注意ができなくなってしまった。さながらダメな父親の様である。ダメだと分かっていても甘くなってしまうのが、彼女の武器であり、俺の悪いところだ。詰まるところ俺が悪いのだが、これは可愛すぎる瑠奈のせいにさせていただきたい。
当の本人は俺の悩みなど気にする素振りなく胸の上で寝てしまっているが。
上半身を起き上がらせ、未だ俺のパジャマを掴んだままの瑠奈を抱っこする。
未だに寝息を乱さない彼女に向ける目は家族への愛情があふれていた。
このちいさな体のどこにあんな元気が詰まっているのだろうといつも思うのだが、朝7時に爆睡している時点で体力がまだ十分についていないのは明白だ。
瑠奈は一度寝たらなかなか起きないため、そのまま彼女の部屋に向かって寝かした。
離れようとしても手を話してくれない妹を可愛いと思ってしまうのは兄離れできていない証拠だろうか。
部屋には冷房がついていたので、ちょうどベットの下にあった毛布を掛けておく。
「ふぅ……。……いっ…!?」
両腕を頭の上で思い切り伸ばし、一呼吸置くと、腹が痛んだ。
さっきまで忘れていたが再燃したのだろう。
なるほど瑠奈には傷の治癒能力もあるのか。そんなふざけたことを考えながらも、次からきつく言ってやろう、と揺らぐ気配しかない決意を固め、リビングへ向かった。
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ご読了ありがとうございました。
誤字脱字等ありましたら、ご報告して頂けると幸いです。
こんな感じで、一話が短い小説ですが、よろしくお願いします。
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